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特定非営利活動法人AEA英語通訳キッズプロジェクト

日本代表の快進撃も記憶に新しい、ラグビーワールドカップ2019大会。

埼玉県でも熊谷市で3試合が開催され、世界中から多くの観戦客が訪れました。

来年にはオリンピックの開催を控え、更なる外国人観光客の来日が見込まれる中、熊谷市を拠点に英語で外国人をもてなす「おもてなしガイドキッズ」の養成に取り組んでいるのが、特定非営利活動法人AEA英語通訳キッズプロジェクト(以下AEAと表記)です。

ラグビーワールドカップ大会中には、試合会場付近で観戦客へのおもてなしで活躍したほか、熊谷会場での試合に臨んだ各国の選手にラグビーボールを贈呈するなど、その活動に今注目が集まっています。

今回は、AEA代表理事の赤井さんにお話を伺うとともに、在日米国大使館で執り行われたラグビーボール贈呈式の様子についてもお伝えします。

サモア大使館での様子

おもてなしガイドキッズがサモア大使館を訪問し、ラグビーボールを贈呈

活動取材:AEA英語通訳キッズプロジェクト

共助社会づくり課 

活動内容について教えて下さい。

AEA英語通訳キッズプロジェクト 代表理事 赤井さん(以下赤井さんと表記)

日本に興味関心のある外国人観光客に対して、英語でのおもてなしができるように子どもたちを育成し、子供たちとその家族が一緒になってガイドを行うボランティア活動を展開しています。

月に1度の英語のワークショップ、そして、日本を訪れた観光客に英語でのおもてなしを実践する課外活動学習を、熊谷市で毎年開催される「うちわ祭」や「うどんサミット」など、外国人観光客が多数来日するイベントにおいて実施しています。

うちわ祭りでの活動の様子

熊谷うちわ祭での活動の様子

共助社会づくり課

単なる通訳ではなく、「英語でのおもてなし」を子どもに身に着けてもらう、という取組ですが、活動のきっかけを教えてください。

赤井さん

私は元々、英語教師として学校に勤めていたのですが、日本の子どもたちには「生きる力」を身に着ける場が不足している、と感じていました。その後、学校を離れて民間企業に勤務する中で、世界中の様々な教育のあり方を知る機会があり、日本の子供たちにも「生きる力」を培うための教育が必要だ、という思いをより強くしました。

加えて、子どもの出産を契機に「働き方を変えたい」と考えるようになり、埼玉県のウーマノミクス課が実施するリーダー育成研修を受講しました。そこで出会った様々な専門分野を持つ仲間と、英語を通じた学校以外の学びの場を提供する場として、2016年にAEAの前身にあたる団体を設立しました。

共助社会づくり課

「生きる力」を培うための教育、ということですが、「英語でのおもてなし」を学ぶことには、どのようなねらいがあるのですか。

AEA英語通訳キッズプロジェクト

「生きる力」とは、自ら考え、学び、解決していく力のことです。この力を育てるために必要なのが、現場で実践しながら学ぶ「アクティブラーニング」です。

AEAでは、日本を訪れた外国人観光客を、子どもたちがボランティアとして英語でもてなすことで、学んだことを現場で実践する場としています。

また、世界共通語である英語を通して、世界中の様々な価値観や文化的背景を持つ人と接することで、世界標準での人間力を培うことができるとも考えています。

書道のワークショップの様子

書道文化について学ぶワークショップ

共助社会づくり課

日々活動していて感じることはありますか。

赤井さん

本来教育とは、無償で与えられるべきものです。しかし、活動を維持するための必要経費として、AEAでは参加費を徴収して講座を実施しており、受講したくてもできない子供たちが沢山います。

そこで検討しているのが、様々な事情を抱えた子どもたちが多く集まる子ども食堂などの団体との連携です。学校での勉強を助けるボランティアの方の支援に加えて、AEAにしかできない教育を通じて、子どもたちの視野を拡げる助けになりたい、と考えています。

共助社会づくり課

現時点で団体としての課題はありますか。

赤井さん

今後も長期的に活動を継続するための体制が整っていないことが一番の課題です。

まず、人材が不足しています。2016年に活動を始めて以来、スタッフがほぼ変わっておらず、将来の世代交代を見据えた新たな人材が必要な状況です。

新しいスタッフ、そして、今活動に参加している子どもたちに次の活動を担うリーダー的存在になってもらうため、人材養成に着手しなくてはなりません。

そして、財政面では、民間や行政の補助金、そして、自団体の賛助会費に、運営費の財源で依存している状況です。安定した運営ができるよう、今の事業内容を見直さなくてはならない、と考えているところです。

リーダー養成ワークショップの様子

子どもたちをリーダー的存在として養成するためのワークショップ

共助社会づくり課

2019年はラグビーワールドカップが熊谷市で開催され、大会に合わせてAEAも活発に活動されました。来年2020年には、埼玉県内にも競技会場が設定されている東京オリンピックが開催されるなど、今後ますます日本に対して世界からの注目が集まることが想定されます。

今後AEAは、どのように活動を進めていきますか。 

赤井さん

2020年は、AEAにとっても活動の節目であると考えています。これまでの活動で培ってきた、子どもたちを「おもてなしガイド」として養成し、実際にボランティアとして外国人観光客と交流する、というプログラムを、今度は他の地域にも広げる活動に力を入れていきます。

まずは、これまでの拠点である熊谷市、及びさいたま市から飛び出して、埼玉県内のオリンピック開催地でのボランティアガイド活動から着手する予定です。

また、県外でも同様の取組が横浜市、大阪府、宮崎県で動き始めています。

将来的には、日本全国で活動が繋がっていくことが目標です。

ウルグアイのサポーターと子どもたち

ラグビーワールドカップ熊谷会場にて ウルグアイのサポーターとおもてなしガイドキッズ

活動訪問:アメリカ大使館でのラグビーボール贈呈式

ラグビーワールドカップ開幕を目前に控えた9月17日。東京都港区に位置する在日米国大使館にて、AEAのメンバーがラグビーアメリカ代表に宛てたラグビーボールを贈呈しました。

在日米国大使館を訪問したのは、AEA代表理事の赤井さん、スタッフの新島さん、そして、熊谷会場での試合当日のガイドボランティアにも参加した子どもたち7名です。

AEA大使館訪問の様子

今大会の熊谷会場で開催される試合に参加した全ての国の代表選手に、ラグビーボールを贈呈したAEA。

アメリカ代表選手に対しては、在日米国大使館を通じてボールが届けられました。今回は在日米国大使館の代表として、文化・スポーツ交流担当官のマイケル・ターナーさんにご対応いただきました。

AEA大使館訪問の様子

まず子どもたちは、英語の直筆メッセージ入りのラグビーボール、そして熊谷の名産品やラグビーワールドカップにちなんだ品々をターナーさんに手渡しました。

AEA大使館訪問の様子3

英語での挨拶を終えた後には、ターナーさんとの交流の時間が設けられました。
子どもたちがそれぞれ用意してきた質問を、直接ターナーさんにぶつけます。

AEA大使館訪問の様子4

年齢も英語の習得度も様々な子どもたちですが、身振り手振りを交え、この日のために練習してきた英語での質問に臨みました。

AEA大使館訪問の様子5

ターナーさんの出身地や趣味についてなど、全て英語でのやりとりながら、子どもたちそれぞれがターナーさんと向き合い、しっかりと言葉を交わしました。

AEA大使館訪問の様子6

子どもたちの中には、ラグビーを習っている、という子も。
今回のラグビーワールドカップ大会に対して感じていることを、英語で丁寧に、ターナーさんに伝えていました。

最後には、日本語を勉強している最中というターナーさんから、日本語での質問が飛び出すなど、贈呈式は終始リラックスしたムードで進みました。

AEA大使館訪問の様子7

贈呈式終了後、子どもたちからは「ターナーさんはフレンドリーで、楽しく話すことができた」「アメリカ代表選手にボールを届けてもらうことができ、嬉しい」との声が聞かれ、参加者全員が笑顔で、無事に終えることができました。

AEA大使館訪問の様子8

ほぼ全てのやり取りを英語でこなした子どもたち。当日はAEAスタッフの方2名が付き添っていましたが、ターナーさんからの返答に対して、子どもたちはその場で考え、自らの言葉で、英語で応じていました。

AEAの現場での実践を重視する教育が、子どもたちの自ら考え、学び、解決する「生きる力」を確かに伸ばしつつある、と感じさせられる光景でした。

在日米国大使館でのラグビーボール贈呈の後、ラグビーアメリカ代表チームよりメッセージが届いたとのことです。(外部サイトが開きます)

特定非営利活動法人AEA英語通訳キッズプロジェクト

団体HP:https://www.aea2016.com/npo/(外部サイトが開きます)
facebook:https://www.facebook.com/aea.kumagaya/
コバトンびん団体ページ:http://www.saitamaken-npo.net/database/kyoudou/group.php?mode=detail&id=161122170730