NPOなどの相談を受けて最も適した人材や資金等をマッチングするコーディネーター「共助仕掛人」。
個人の専門家ボランティア登録者のうち、一定の要件を満たしたうえで、「共助仕掛人」として共助社会づくりに取り組む意欲のある方を「専門家ボランティア共助仕掛人(以下、専ボラ共助仕掛人)」として登録しています。
本レポートは、「専ボラ共助仕掛人」になった方にスポットをあてて特集します。
今回の活動レポートに御協力いただいたのは、飯能市内で主に自然保護活動に取り組む浅野正敏(あさのまさとし)さんです。
一級建築士として建築事務所を営むかたわら、NPO法人天覧山・多峯主山の自然を守る会(通称:てんたの会)の代表理事として天覧山・多峯主山を中心として飯能市の歴史、文化、自然環境を保全し、後世に伝えることを目的に活動をされています。
浅野さんには、NPOでの活動のことや「専ボラ共助仕掛人」への想い、今後の目標についてお話を伺いました。
浅野正敏(あさのまさとし)さん
飯能市にあります天覧山という低山(標高197m)をご存知の方も多いと思います。そこからハイキングコースで登れる多峯主山(標高271m)までの一帯は、飯能市民にとって大切にしたい緑のシンボル地です。ここに平成7年、大規模分譲地開発計画が発表されました。これに異を唱え、自然環境保全を訴えたのが、私が代表を務める「天覧山・多峯主山の自然を守る会」(通称:てんたの会)です。
10年後の平成17年に開発計画は中止となり、現在では事業者・行政・市民の三者協働で自然環境保全に取り組んでいます。平成18年にNPO法人となり、自然環境調査や自然観察会を行う一方で、天覧山裏山の一画(約1,400㎡)をナショナル・トラスト運動で買い取り、この地の里山保全整備活動にも力を入れています。
また、飯能市に残る歴史的建造物や街並みを案内する街歩きガイドをしながら、それらの保存活用を図っていくための活動も行っています。
平成28年度 てんたの会主催「天覧山麓で薪割り&石窯ピザ作り体験」 ナショナル・トラスト運動により取得した里山の一画を保全整備活動として活用するために、「薪割り体験エコツアー」などを行っています。会員みんなで製作した石窯を使ってパンやピザを焼いて食べるのも楽しみの一つだそうです。
これまで飯能市域を中心に活動していましたが、登録を勧められた折、広く県民の皆さんとも情報交換ができることは必要と感じて仕掛人になろうと思いました。
コロナ禍の中で活動が制限されているのは皆さんと同じ悩みですが、それとは別に、後継者不足が深刻です。以前よりスタッフの高齢化が進んでおり、活動を引き継いでくれる若者が少ない状況です。
天覧山から多峯主山一帯の自然環境は多様な連携で保全が進められてはいますが、保全の仕方も多様な考え方があり、その調整が大変なところもあります。一方、市街地では飯能市に残る歴史的建造物が次々と解体され、趣のある路地は消えていく状況があり、歴史を感じる街並みを保存活用していく難しさに直面しています。
平成28年度 飯能まちなかを元気にする会主催「全国路地サミットin飯能」 浅野さんは当会のアドバイザーで初日のシンポジウムでは座長を務め、2日目のイベント「路地ツアー」のガイドを担当。写真は、路地ツアーの様子。
天覧山から多峯主山一帯の里山は、動植物の多様性に富んだ貴重な自然環境を有しています。また、飯能市街地には、明治〜大正〜昭和初期にかけて絹と木材(西川材)で繁栄した足跡として歴史的建造物が点々と残されています。こうした故郷の宝とも言える自然と歴史・文化を大切にした暮らしを楽しめる街であってほしいと思っています。そのための活動を今後も続けていきます。
新型コロナウイルスに翻弄された世界では、これまでの価値観が一変するのではないかと思っています。これを機会に、自然と歴史・文化の大切さを改めて見つめ直す暮らし方、スローライフを目指してみませんか。
「てんたの会」が里山保全整備をしている「ほとけどじょうの里」で草刈り作業中の浅野さん(平成29年撮影)
〇専門家ボランティア共助仕掛人へのリンクは以下をクリックしてください。
○NPO法人天覧山・多峯主山の自然を守る会(通称:てんたの会)
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