NPOなどの相談を受けて最も適した人材や資金等をマッチングするコーディネーター「共助仕掛人」。
個人の専門家ボランティア登録者のうち、一定の要件を満たしたうえで、「共助仕掛人」として共助社会づくりに取り組む意欲のある方を「専門家ボランティア共助仕掛人(以下、専ボラ共助仕掛人)」として登録しています。
本レポートは、その専ボラ共助仕掛人になった方にスポットをあてて特集します。
今回の活動レポートに御協力いただいたのは、小川町内で主にまちづくり活動に取り組む平山友子(ひらやまともこ)さんです。
NPO法人小川町創り文化プロジェクト(愛称:まちぶん)の理事として、小川町の地域活性化のための企画立案・運営・支援等に関する各種事業を行い、地域の活性化及びまちづくりを目的に活動をされています。
平山さんには、NPOでの活動のことや専ボラ共助仕掛人への想い、今後の目標についてお話を伺いました。
平山友子(ひらやまともこ)さん
「まちぶん」(NPO法人小川町創り文化プロジェクトの愛称)は、小川町の歴史的建造物の保存再生を行うNPO法人です。小川町は和紙や絹産業で栄えた歴史があり、産業遺産ともいえる貴重な建物が残っています。
まちぶんは平成30年に、旧養蚕技術伝習所だった玉成舎という建物をレストランなどの複合施設に再生するお手伝いをしました。また、昨年は明治17年設立の旧比企銀行社屋の再生に向けた橋渡しをしました。他にも、後世に伝えたい建物のお掃除会や見学会などを行っています。
旧比企銀行の調査の様子。所有者は解体する意向でしたが、粘り強く交渉した結果、建築系の大学院生達につないで再生できることになりました。
活動を開始した当初から行っているのが、まち歩きの案内と年に1度程度のシンポジウムの開催です。これまでに建築史やまちづくりの専門家をはじめとする大勢の方が来町してくださいました。また、地元の方からは「小川町に何十年も住んでいて、改めて町の面白さがわかった」という感想をいただいています。貴重なご意見やアドバイスの数々が私たちの財産です。
昨年はまちぶんとは別に、町内の女性グループを立ち上げ、「マルシェ・おがわまち」を開催しました。目的は、①女性が力を発揮する場をつくること、②会場分散の回遊型マルシェとすることで小川町を散策して、町の魅力を発見してもらうことでした。11月29日のマルシェ当日は、町の路地に人が順次往来し、夢が叶った思いがしました。
まち歩きの様子(写真はともに令和元年度に撮影されたもの)
上写真:まち歩きは要請があれば実施している。本庄市の商工会の皆さまをご案内した際に、再生した玉成舎の前で説明をしている様子。
下写真:町なかを流れる槻川を渡るコースはとくに好評。民家の学校の皆さまをご案内したときの様子。
個人的には、7年ほど前から「チエコ」という活動をしています。チエコは小さなエコの略で、多くの方が小さなアイデアを出し合いシェアすることで大きな"知恵庫"をつくろうという活動です。コロナの発生前までは、毎年エココンテストを開催していました。コンテストといっても優劣を競うのではなく、和気あいあいとエコについて語り合う1日にしています。
現在は、ホームページ上の「知恵庫」にアイデアを募っています。また、アフターコロナのイベントの企画を練っている最中です。ぜひ、ホームページを覗いてみてください。
・チエコHP(別ウィンドウで表示します)
平成26年度 チエコのエココンテスト公開審査会の様子。
これまでさまざまなボランティアをしてきたのですが、ボランティアという言葉には、何かをしてあげるというニュアンスが感じられ、あまり好きになれずにいました。頑張りすぎて疲れてしまったことも多々あります。
しかし、最近は利害関係に縛られず好きなことができる自由がボランティアの良さではないかと思うようになりました。まず自分が楽しいと思えることをして、それが結果として世の中を良くしていくことにつながれば、こんなにうれしいことはありません。そんな楽しみ方を発信できたらと思っています。
平成30年度 「全国町並み保存連盟 第9回関東街並みゼミin小川町」(会場:小川町立図書館) パネルディスカッションで工学院大学の後藤治理事長や共助仕掛人の朽木宏さんらが登壇したときの様子。
ボランティアは無償というのが世の中の通念です。それ故に動きにくい思いをしています。
まちづくりの活動で歴史的建造物の所有者とその建物を有効活用したい新規購入者の橋渡しをしようとすると、私たちのことをよく知らない人からは「何が目的なの?」と聞かれます。「ボランティアです」、「この建物を残していただきたくて活動しています」と言っても、裏に何かあるのではないかと思われてしまい信用されません。社会的信用を得やすくするために、事業の内容次第では無償ではなく有償で行うシステムをつくっておく方が良いように思います。
平成30年度 「シルクロード・ネットワーク・鶴岡フォーラム2018」(会場:山形県鶴岡市先端研究産業支援センター) 平山さんが小川町の歴史的建造物と玉成舎の再生について話をしている様子。
よく、「何をするかよりも誰とするか」と言われます。わくわくすることは、人との出会いの中から生まれます。そんな出会いを大切にし、また私も人と人をつなげる活動を続けていきたいと願っています。
まちぶん、マルシェ・おがわまち、チエコの活動のうち一つでも関心を持たれたら、ぜひ遊びに来てください。まずは楽しんでいただけたらと思います。
上写真:玉成舎の再生は、ワークショップによる自力施工を多く取り入れた。再生に携わった建築家の指導の下、土間のたたきをつくったときの様子。
下写真:「埼玉県 平成30年度 空き店舗ゼロリノベーションコンペ」で玉成舎が最優秀賞を受賞し、お祝いの席で地元の人が大勢集まった時の様子。
〇専門家ボランティア共助仕掛人へのリンクは以下をクリックしてください。
○NPO法人小川町創り文化プロジェクト
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〇チエコ
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