いよいよ来年夏に開幕する東京オリンピック。埼玉県内でもゴルフ、射撃、バスケットボール、サッカーの4競技の開催が予定されており、今後ますますの盛り上がりが期待されます。
今回御紹介するのは、草加市内を流れる綾瀬川を拠点に活動する、特定非営利活動法人草加市カヌー協会(愛称:草加パドラーズ、以下左記のとおり表記します)です。
2020年東京オリンピックの正式種目でもあるカヌー。山間地の川や湖など、レジャーで楽しむイメージが強いかもしれませんが、草加パドラーズが活動する綾瀬川は市街地の真ん中を流れており、駅からほど近いところにあります。
なぜ市街地を流れる川で、カヌーに乗る活動を始めたのでしょうか。
2019年8月10日に綾瀬川にて開催されたカヌー体験会を訪問し、代表理事の中島清治さんに伺いました。
活動のきっかけについて教えて下さい。
「日本一汚い川」※と呼ばれた綾瀬川の、かつての美しい姿を取り戻したい、という思いが出発点です。
清掃活動を始めよう、となった時に、カヌーが趣味の知人から「カヌーに乗って水中のゴミを集めてはどうか?」という提案を受け、2014年に任意団体「カヌーを愛する会 草加パドラーズ」を発足し、活動を開始しました。
私自身カヌーの経験はありませんでしたので、まずはカヌーの練習をするところから始めました。
2017年には特定非営利活動法人草加市カヌー協会としてNPO法人の認証を受け、現在に至ります。
カヌーでの清掃活動について教えてください。
週に3回、メンバーが集まりカヌーでの清掃活動を行っています。
開始当初は、1度の清掃で10~20袋もの量のゴミを回収していましたが、現在では数袋に収まるようになりました。これまでの活動で、累計3000袋以上のゴミを回収しました。
ゴミは6割がプラスチック系、残りは空き缶・ビン、紙、木材などで、大半を燃えるゴミが占めています。
以前は、ゴミに付着したヘドロのせいで川がドブ臭かったのですが、今では臭いが漂うこともなくなりました。
当初はゴミを集めるために始められたカヌーですが、今日の体験会のように、カヌーの普及にも取り組んでいらっしゃいますね。
以前は地元の人もあまり寄り付かなかった綾瀬川ですが、綺麗になるにつれ、だんだんと人が集まるようになりました。カヌーの体験を通じて川の楽しさを知ってもらうことで、清掃活動に留まらず、綺麗な川をみんなで守っていこう、という「クリーンリバー」の精神を参加者に身に着けてもらいたいと考えています。
今日開催しているカヌー体験会は、獨協大学が主催し、草加パドラーズが実施をサポートしています。
獨協大学主催の体験会のほか、草加市商工会などの様々な団体が主催する体験会を、パドラーズがサポートする形で年に数回開催しています。
このほか、各地の川でカヌー体験会を開催しています。
今後の活動の目標について教えてください。
綾瀬川は、松尾芭蕉が立ち寄ったことでも有名な「草加松原」のすぐそばを流れています。街中でありながら、素晴らしい景観をカヌーと併せて楽しむことができる貴重な場所です。
そこで、草加といえば「せんべい」だけではなく「カヌー」とも言われるような、カヌーの聖地にしたいと考えています。
そして、草加市発祥の「カヌーでゴミ拾い」を、草加のみならず他の街にも広げることを目標に、活動を続けていきます。