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トップページ > 活動レポート > 共助社会づくり課による取材 > 令和3年度 地域つながりレポート > #4 まんまる放課後等デイサービス(加須市)「お母さんが幸せなら子どもも幸せ」

#4 まんまる放課後等デイサービス(加須市)「お母さんが幸せなら子どもも幸せ」

加須市を拠点に⼦どもたちの社会体験活動に取り組む「⼀般社団法⼈まんまる結び」。「子どもは社会とつながり、⺟は⾃分⾃⾝とつながる」を理念に掲げ、親⼦の健やかな⾃⽴の⼀歩を踏める場として、ものづくりや農体験等を取り⼊れた地域と共⽣・共存する活動をされています。⼦どもたちの実現したいことをサポートする「まんまるプログラム」事業の他に、令和3年9⽉から加須市に社会体験型の「まんまる放課後等デイサービス」をオープン。こちらに訪問して、活動にかけた想いや施設の特徴などについてお話を伺ってきました。

※「放課後等デイサービス」:児童福祉法に基づき、幼稚園及び大学を除く学校に通う児童のうち、障害や支援の必要がある児童で、授業の終了後又は休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進、その他必要な支援を行う制度。

(取材年月:令和3年9月)

↓「まんまる放課後等デイサービス」

「manmaru2020.com」と書かれたオレンジ色のテント看板が掲げられた施設

①施設の特徴

↓施設となりの畑では野菜を育て、毎日のおやつは子どもたちと作る。家事全般のスキルを上げることが目標。

2人の子どもが一緒に畑の大根を引き抜いている様子

↓様々な療育道具を使って体を動かしたり工作をしたりできるプレイルーム。卓球台もある。

広い室内スペースに様々な運動器具が置かれている

↓学習する意欲を引き出すスタディルーム

黒い壁面の前に勉強机と椅子が3点ずつ置かれている

↓ゆっくり読書ができるリラックスルーム

インテリアテントとソファー、テーブルが設置されている

  • 「まんまる放課後等デイサービス」(以降、「まんまる」)の対象は、⽣きづらさを抱える発達障がいの子どもや、それにより不登校となっている⼦どもです。
  • コンセプトは、「社会体験型の放課後等デイサービス」。⼦どもたちに⾃⽴に向けた活動を楽しくできる感覚を⾝に着けてもらうことを⽬指されています。
  • 社会体験活動として毎日のおやつ作りだけでなく、買い物、メニュー決め、食器洗い、農業、野外活動、職場しごと体験など多様な活動プログラムがあります。中庭では、バーベキューや七輪で秋刀魚やせんべいを焼いて食べるなど、子どもたちの心に残る季節ごとの体験を提供されています。
  • 「まんまる」では、障がいのある小中高生が通う一般的な放デイの枠にとどめず、地域の人やお母さん方に集まったり、訪ねたりしてもらうための工夫が随所に施されています。またシンプルかつシックなインテリアにし、感性が豊かになる空間づくりを大切にしています。目指しているのは、ここに通うことを誇りに思ってもらえる居場所づくりだそうです。
  • 敷地内には2つの建物があり、中庭を囲んで繋がっています。「まんまる放課後等デイサービス」と「みんなの居場所アトリエルーム」、そして一軒家の2階には「お母さまのためのリラクゼーションルーム」などが併設されています。
  • この施設には趣の異なる部屋がたくさんあります。メリットはその時の気分や気持ちに合わせた空間を提供できることです。「どこでなにをしたいか」を子どもたち自身が決めることで、自主性を育みます。見学に訪れた親御さんからは、これだけ部屋があれば、子どもがどんな気分の時でも安心していられると言ってもらうことが多いそうです。また、お母さんのためのリラクゼーション整体も好評とのことです。
  • 取材⽇の午後に、IKEA新三郷(イケア・ジャパン株式会社)からの寄贈品の家具が到着しました。⼦どもや保護者、施設職員、近隣の⼤⼈も混ざって、汗をかきながら協⼒して組⽴作業に取り掛かりました。完成した家具を各スペースに設置した光景を⾒て、皆さん⼤変喜ばれていました。

[IKEAの家具の寄贈について]

イケア・ジャパン株式会社の「IKEA Family 子ども基金」を活用したプロジェクトです。(公募は行っていません。)

↓IKEAからの寄贈品 「みんなの居場所アトリエルーム」に設置したソファーとベンチソファー

正方形の大きなテーブルの横にグレーのカバーがかかったソファーとベンチソファー

②代表理事・根崎由美さんへのインタビュー

発達障がいや不登校など様々な事情を抱えた親子が安心して集える居場所をつくり、そこで好きなことや得意なことを見つけて社会との接点や活躍の場をつくるための方法を長年模索してきました。

多くの障害児通所施設は、障がいの有無に関わらずどんな子でも集える部屋というものを併設していません。しかし、生きづらさを抱えていて学校に居場所のない子どもたちもいます。そういった子どもたちにも利用してもらえるよう「まんまる放課後等デイサービス」と隣接して、「みんなの居場所アトリエルーム」を作りました。子どもたちからは、学校帰りに勉強しに寄りたい、ボランティアで手伝いに来たい、通信制高校に行きながら通いたいなど多くの反響があります。ここに通いたくて、初めて福祉サービスを受けるための手続きをされた親子も多くいらっしゃいます。

子どもたちが自分から「やりたい、通いたい」と思えることは、社会性の第一歩です。

そして、目の前にいるスタッフや親御さん方に幸せでいてもらうことが私の最大の目標です。お母さまが幸せで安心感を持っていれば、子どもも安心することができます。親が社会を優しいものだと希望を持っていれば、子どもも希望を持つことが出来ます。しごと体験に加えて、ご飯が炊けるようになったり、家事ができるようになったりすることで一番喜ぶのは親御さんです。子どもたちの自立は、本人の喜びや自信にもつながり、皆が幸せになりますよね。

NPOの活動やデイの運営などを通して母親支援をしてきた中で、いつも願っていることは「この子がいたから幸せな人生だった。生んでよかった。生まれてきてくれてありがとう。」とお母さまに思ってもらいたい、それだけなのです。親子ともに幸せを感じる時間が増え、そして子どもたちの居場所を社会の中に創り出すお手伝いが微力ながらできれば、私も幸せです。