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特定非営利活動法人エコシティ志木

市内を新河岸川と柳瀬川が流れ、さいたま市との市境を荒川が流れる志木市。江戸時代には、川越城主松平信綱が新河岸川を改修して河岸場を開き、河岸場を中心とした商業の町として栄えました。江戸、明治を通じて周辺近郊の農作物が集積され、交易の市がたち、経済文化の中心地として賑わいました。

その志木市において、市内の緑地を保全するため、様々な活動をするエコシティ志木の代表理事の天田さんにお話を伺いました。

【活動レポート】エコシティ志木

共助社会づくり課

活動を始めたきっかけについて、教えてください。

特定非営利活動法人エコシティ志木 代表理事 天田さん(以下天田さんと表記)

市の環境大学講座の卒業生を中心に、1995年に活動を始めました。きっかけは、市の環境基本計画策定に先立ち、「市民の手で志木市の環境基本計画をつくろう」と考えたことで、これは『市民がつくる志木市の環境プラン』の出版で結実しました。

その後、市の環境基本計画策定にも多くの会員が参加し、2002年にNPO法人となりました。

当初は、自然環境の活動だけではなく、環境全般や福祉の活動も行っていましたが、現在は、自然環境の活動が中心で、会員は45名程度です。

志木ぶらり散歩 市民がつくる志木市の環境プラン
「志木ぶらり散歩マップ」と「市民がつくる志木市の環境プラン」

共助社会づくり課

普段行われている活動について教えてください。

天田さん

一つは、市内2か所の市が管理する緑地公園の保全活動です。市民による緑地保全活動の制度がないので、名目は美化活動ですが、市内の貴重な緑地を保全するための活動です。

2か所で月に5回程度活動しており、ごみ拾いや園路沿いの草刈り、低木類の剪定、外来種の除去など幅広い活動をしています。市は自然の保全についての知識・人材が不足していますので、10年以上前から私たちの方から、市の緑地の保全活動を積極的に行っています。

いろは親水公園こもれびのこみち

緑地保全に取り組む「いろは親水公園こもれびのこみち」

共助社会づくり課

市の財源などにも限りがあることから、積極的に力を貸してくれる天田さんたちの存在は市にとっても頼りになりますね。他にはどのような活動をされてますか。

天田さん

他には、志木中学校前の柳瀬川の河川敷や志木市役所下流の新河岸川河川敷で、外来種のオオブタクサの除去作業を行っています。オオブタクサは、4月から芽を出し、夏には3~4mの高さになります。

そうすると、地面まで太陽の光が届かず他の植物が生育することができません。さらに、夏には、ジャングルのように繁茂し、大量の花粉を飛ばします。自然豊かな河川敷にするためには、このような外来種の駆除が欠かせません。

また、この柳瀬川の活動では、近くの志木中学校にも協力を呼びかけ、毎年150人程度の中学生が参加してくれています。新河岸川の活動では、志木市社会福祉協議会のボランティアプログラムからのボランティアを10数名受け入れており、中学校や社会福祉協議会と連携した取組になっています。

志木中学校の生徒も参加するオオブタクサの駆除

志木中学校の生徒も参加するオオブタクサの駆除

共助社会づくり課

NPO法人だけの力だけではなく、色々な団体との連携にも力を入れられているのですね。他に市民向けのイベントも行っているとお聞きしました。

天田さん

市民向けのイベントでは、志木の自然観察会や新河岸川ぶらり散歩、志木ぶらり散歩など年に6回程度開催しています。市民の方に志木市の歴史や自然などを感じていただくイベントです。私たちは、志木市の植物や魚、昆虫などを集めた生きもの図鑑も作成しています。

イベント参加者には、この図鑑を利用し志木市の自然と生きものを身近に感じてもらいたいと思っています。この図鑑は、エコシティ志木の創立20周年記念事業として、作成しました。志木市に生育する植物や生息する動物など、実際に市内で観察できるものを集めました。会員自らの手で作成し、完成まで約4年半かかりました。

イベントではありませんが、小学校の総合学習の時間では、志木市の自然に関する講座の講師も派遣しています。

生きもの図鑑 小学生向け総合学習

創立20周年事業の生きもの図鑑と小学生向け総合学習

共助社会づくり課

自然保護の活動を行う上で、大切なことはありますか。

天田さん

市内に自然保護に取り組む団体は私たちしかありません。市民一人一人が日ごろから身近な自然に関心を持つことが大切だと思います。志木市でも年に2回、市民が参加する大規模なごみ拾い活動があります。しかし、これはある意味、セレモニーのようになってしまっており、環境保全について考えるのは、その日だけになってしまいます。継続的な自然保護活動には、日ごろから身近な自然に関心を持つことが必要です。

そのためにも、まず私たちの自然観察会に参加していただき、身近な自然に楽しく親しんでいただく。そして、その後に私たちが行っているような草刈りやごみ拾い、外来種駆除などの具体的な自然を守る活動に参加してもらいたいです。

私たちは、自然保護を専門に学んだ専門家ではありません。志木の自然を守りたいと集まった素人集団ですが、それぞれが得意分野で力を発揮しこれまで活動してきました。今後も微力ではありますが、志木の自然を守る存在でありたいと思っています。

また、自然保護には、行政との連携も欠かせません。行政は、公園の緑地を管理する部門と環境保全に取り組む部局が異なるなど、効果的な活動には部局を横断した連携が必要です。部局を横断した、行政との取組を提案していきたいです。

野鳥観察会 自然観察会

野鳥観察会と、いろは親水公園での自然観察

注:取材は令和元年度に行ったものです。

特定非営利活動法人エコシティ志木