特定非営利活動法人 生涯学習コーディネート協会
「仲間づくり」「たまり場づくり」「仕事づくり」を柱に地域に生涯学習の場を提案する特定非営利活動法人生涯学習コーディネート協会(以下コーディネート協会)。
活動のひとつに、障害のある方たちにパソコンと就職活動支援の講座を行っています。講師として運営を担うのはパソコンボランティアの方たちです。
今回、その様子を拝見するため、活動現場である、さいたま市の「大崎むつみの里」を訪ねました。
-「仕事づくり」のアイディア-
コーディネート協会では、これまで高齢者や子育てを終えた女性を対象に
パソコン講座を実施してきました。代表の三浦雅光さんは、その時
「団塊世代の社会貢献への意識が年々高まっている」と感じたそうです。
そこで、柱のひとつ「仕事づくり」として、団塊世代に社会貢献活動の場を増やすことはできないだろうか。パソコン操作を身に付けた団塊世代にパソコンボランティアになってもらえないだろうか。そんなアイディアが生まれたそうです。
-思いをカタチに・・『パソコン支援研修会』-
自分のできることで社会貢献がしたい!そんな団塊の世代の思いをカタチにと考えた三浦さん。
定年退職した方を対象にパソコンの操作スキルを身につけもらい、パソコンボランティアとして障害のある方にパソコンの楽しさを伝える。そんな講座を開催したら・・
そこで、難しい用語を使わないでパソコン操作の説明をするための研修会を企画し、昨年度、埼玉県から「共助モデル推進事業※」の助成を受け『パソコン支援研修会』が実現させ、団塊の世代の「自分のできることで社会貢献したい」の思いを生かす仕組みを作りました。。
※「共助モデル推進事業」とはNPOが「つなぎ役」となり、
地域における共助の仕組みを構築する事業に対する助成制度です。
写真は昨年の『パソコン支援研修会』の様子
今回訪ねた「大崎むつみの里」には特別支援学校などを卒業した障害者が、将来の就職に向け、作業訓練や工場に出向いての職場体験で実習を積んでいます。
コーディネート協会は、ここで毎月2回、知的障害のある方たちに‘就職活動講座’と‘パソコン講座’を開催しています。履歴書や職務経歴書の書き方、ワードやエクセルなどでの文書作成、丁寧な言葉の使い方などを個々に合わせて教えています。
-社会貢献につながることへの喜び-
この日は、手書きで書いた履歴書を入力する‘パソコン講座’。
コーディネート協会から三浦さんと坂本さん、そしてパソコンボランティアの市川千鶴子さんと岩澤徹さんの4人が出向き講師となりました。
‘就職活動講座’コーディネート協会副代表の坂本さん パソコンボランティアの岩澤さん(写真手前)
ゆっくり、でも確実にキーをタッチする音。
分からずに手が止まっても、それぞれに合わせて丁寧に教えていきます。
市川さんと岩澤さんは、『パソコン支援研修会』で障害のある方と一緒に年賀状や
バースデーカード作りを通して世代間交流を図りながら、パソコン操作を
レベルアップさせてきました。
「これまでパソコンを教えたことも、障害のある方と接したこともなかった。でも
障害をひとつの個性と捉えると教えやすくなった」
「ゆっくり伝えることなら自分にもできる。それが障害のある方の支援に少しでもつながるのが嬉しいです」と市川さんと岩澤さん。
-団塊世代と障害者をコーディネート-
パソコン教室を通して直接コミュニケーションをとりながら世代間交流ができる。
就労支援にも携われる。まさにコーディネート!
「障害の有る無いに係わらず、誰でも得意なこと苦手なことがあります。
得意なことを身近なニーズと一致させるのが、私たちコーディネート協会の活動」
「上手にコーディネートさせれば、誰もが暮らしやすい社会になるのでは」と
三浦さんは語ってくれました。
最後に岩澤さんと市川さんにパソコンボランティアとしてのやりがいを伺いました。「先日、このパソコン体験講座に来なくなった方がいて、どうされたのか施設の方に聞いたら、工場に就職が決まったとのことでした。この講座で私たちと共に学んだが生かされれば本当に嬉しいです。」
(取材:共助社会づくり課 花田洋司 平成25年7月)
左から三浦さん坂本さん市川さん岩澤さん
生涯学習コーディネート協会ホームページ
http://genki365.net/gnks13/mypage/index.php?gid=G0000091