めだかふぁみりぃ
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健常者にとっては何でもないことでも、障がいを持つ人の目線で見れば辛いことは多い。 障がいを持つ人が普通に暮らせるまちを目指して、「めだかふぁみりぃ」は日々活動している。その発足は1983年、代表の山下佳子さんのお子さんに知的障がいがあったことがきっかけだそうだ。障がい児である前にまず、一人の子ども。成長しても障がい者である前にまず一人の人として生きて欲しい。わが子が大きくなったときに、街の中で街の人達と一緒に生活できるように…との願いが原点だそうだ。そのためには「何が必要か」と常に考えていたという。 山下さんは、障がいがあっても、一人の市民として、豊かな人生を生きていくためには、“3つのささえ”があればいいと話す。1つは就労支援(働くことを通して社会参加をすること)、2つ目は生活支援(地域社会の中で普通に生活していくこと)、そして3つ目は余暇活動支援(好きなこと、趣味をみつけていくこと)である。 山下さんは仲間と一緒にこの3つを軸にした地道な取り組みを続け、2001年に特定非営利活動法人の認証を受けた。その後2003年には「知的障がい者通所授産施設 社会福祉法人 めだかすとりぃむ」を設立した。現在この2つの団体が両輪となって連携をとりながら活動し、主に就労支援と生活支援を「めだかすとりぃむ」が、余暇活動支援をこの会が担当している。
障がい者も老若男女もごっちゃ混ぜの交流会 この会では、交流イベントやハンディの有無に関わらず参加できるカルチャースクールなどを地域や教育機関の協力を得て実施している。この活動は2009年に27年目となり、初期の交流会に参加していた子どもたちが、今ではお父さん、お母さんとして子どもと一緒に参加してくれるのはうれしいこととと山下さんは話す。 この会で行っている取組の一つ「ラムネス交流会」も17年続いている。内容は運動会と「共歩大会」。「競歩」ではなく、手を携えて共に歩く会だから「共歩」と称している。ハンディの有無にかかわらず、大人も子どもも一緒に、汗を流しながら交流しましょうと運動会を開催したのが始まりだそうだ。地元の小・中学校のグランドや体育館を借り年1回開催していた運動会が、その後だれでも参加可能な共に歩く「共歩大会」となり、会を代表する催しとなった。 |
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2008年ラムネス交流会。 錦太鼓会の演奏を聴いています |
障がい者への接し方を理解した子どもたち
「ラムネス」の名称は、催しを共催する4つの団体、ライオンズクラブの「L」めだふぁみりぃの「M」、地元の錦太鼓会の「N」、ライオネスクラブの「S」の4文字を組み合わせたものだ。障がいを持つ子が、ほかの子どもたちと手をつないでうれしそうに歩く、ふざけあう、そして友達になっていく場となり、山下さんにとって非常に感慨深かったそうだ。 「今まで両者の間にあった溝は交流の機会が無かったためだったのかと。子どもたちは、障がいのある子にどう接してよいのか、わからないからではないかと思いました」と山下さんは振り返る。 |
2009年ボランティア交流会。 ボランティアさんとの交流デー |
2009年たたらまつり。 スーパーボールすくい出店 |
2009年国際交流。 東南アジア青年の船のみなさんと交流 |
自立のためのお店の経営 一方の「めだかすとりぃむ」では知的障がい者のために、手作りパン・クッキーと木工の工房や店舗の「すいーつばたけ」事業と「地域活動支援センターめだかSUN」を運営している。「すいーつばたけ」の施設は、工房兼店舗の「SELPすいーつばたけ」と2つの専用店舗「クッキー工房すいーつばたけ」(川口安行本店)、「すいーつばたけ栄町店」(川口銀座商店街)の3施設である。工房で障がい者たちがパンやクッキーなどを作り、直営店でも彼らが販売、レジ打ちや商品展示など店舗運営を自らしている。作業所での活動とはまた違った緊張感を持ち、障がい者の意識が大きく変化する。店舗は市の公民館の一部であるが、商店街の振興組合が市から借り上げたスペースを利用している。商店街、行政との連携の成果といえる。 最後に新しい試みのことをうかがった。川口商工会議所が主催する「次世代3GYO(農業・安行・商業)プロジェクト」への参加である。これは植木の街として発展した安行の自然を生かした歩く体験型観光コースを提供するプロジェクトであり、安行の自然環境を眺め、触れることである。そして川口商工会議所では、そのためのウォーキングをテーマにした体験型観光コースを地域住民に提案するなど、地元農産物の普及・促進を目指す農業と商業のネットワークづくりをしている。「今後、マップづくり等でお手伝いをしていきたい」と山下さん。今後とも地域のために頑張っていただきたい。 |