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特定非営利活動法人 チャイルド・ギフト

発達障害は生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼少期から症状が現れ、成長するにつれて自分自身の不得手な部分に気づき、葛藤することが多いと言われています。  発達障害の啓発を進め、偏見をなくし理解することで発達障害を抱える人とそうでない人が共存できる社会を目指すため、川口市で活動をされている特定非営利活動法人チャイルド・ギフト(以下「チャイルド・ギフト」)の代表理事 吉野春江さんにお話を伺ってきました。

共助社会づくり課
「活動を始められたきっかけを教えてください。」

チャイルド・ギフト 吉野さん
「私の息子が発達障害と診断されたことがきっかけです。私も発達障害を抱えていたので、学生時代に苦しい思いをしました。『私と同じように息子に苦しい思いをさせたくない』、『この子が大きくなったときに発達障害に対するイメージが良くなるよう活動をしてくれる団体が必要だ』と思い、任意団体を立ち上げました。」

共助社会づくり課
「どのような活動から始められたのですか。」

吉野さん
「最初は子供たちを集めて、本の読み聞かせを開催するなどの活動をしていました。しかし、発達障害に対してどのような対策があるのか手探りの状態で、有効的な支援はできませんでした。現在では活動の幅も広がり、発達障害を抱える子どもを持つ御両親に対する支援や企業での講演などを行っています。」

共助社会づくり課
「発達障害を抱える子どもを持つ御両親に対して、具体的にどのような支援を行っているのですか。」

吉野さん
「FAMiIKUというペアレントトレーニング(以下「ペアトレ」)の一種を行っています。自治体などでもペアトレを行っていますが、開催日が平日で『参加しづらい』、『教育的な部分が大きく精神的な負担になる』という声を受け、開催することにしました。  チャイルド・ギフトが行うペアトレは、教えるのではなく一緒に考え、サポートをしていくイメージです。もちろん、質問をされた場合には教えることはあります。  家族の中に発達障害を抱える人がいることは想像以上に辛いことです。だからこそお母さんが一人で抱え込まないように、家族全員でサポートできるような家族(ファミリー)を育成する思いを込めてFAMiIKUと名付けました。」
※ペアレントトレーニング・・発達障害の子どもを持つ親に対して、子どもの特性や対応の仕方を教えるトレーニングの一種

共助社会づくり課
「企業の講演ではどのようなことを行っているのですか。」

吉野さん
「発達障害を抱える人が良い環境で働けるためには、その人が持っている発達障害の特性を理解することが重要です。  発達障害を抱える人は、苦手なものがとことん苦手です。例えば、ADHDの人は人の話をしっかりと聞けない、忘れ物が多いなどの特性があります。その代わりに、アイデアを出すことに関しては秀でています。  また、発達障害の人に指示をする際には『この紙2部をコピーして机の上に置いておいて』ではなく『どの紙を使うのか』『どんな風に机に置いたら良いのか』まで事細かに指示する必要があるということも講演では伝えています。」

共助社会づくり課
「講演を受けられた企業の方からの反響はどうですか。」

吉野さん
「反響はとても良く、すでに東京都と埼玉県の企業4社で講演を行いました。中には新規採用職員の研修で講演を行う企業もあります。  講演を受けることで、同僚に発達障害を抱える人がいる場合に、接し方が多少なりとも分かるようになります。また、接客業などでは、お客様が発達障害を抱えている場合もあります。研修で発達障害を学ぶことで、お客様に合った接客を提供することができると考えています。」

共助社会づくり課
「チャイルド・ギフトのホームページを拝見したところ、多くの広報手段を持っているようでした。どのような広報を行っているのですか。」

吉野さん
「ホームページやフェイスブック、ツイッター、インスタグラム、メールマガジンなどを用いた広報は以前から行っており、近頃ラインワークスをはじめました。このアプリにはポイントを付ける機能があるので、イベントに参加するとポイントが付き、集めたポイントでグッズと交換できるような仕組みを構築していこうと考えています。  その他にはFM Kawaguchiにゲスト出演しています。番組は毎週月曜日の午前9時から30分間放送され、発達障害をテーマに私の実体験や、私の友人の体験談などについてトークをしています。内容は発達障害についてしっかりと向き合うものになっていますが、自虐ネタなどを織り交ぜて、聞き手が暗い気持ちにならないように明るく話すことを心がけています。」

DJ金谷さんと吉野さん

DJ金谷さんと吉野さん

共助社会づくり課
「法人を運営するうえで御苦労されている点がありましたら、教えてください。」

吉野さん
「人材の面でも資金の面でも満足しているとは言えません。  通常、チャイルド・ギフトの運営は私ともう一人のスタッフで行っており、人手が足りていません。ですが、幸運なことにチャイルド・ギフトを応援してくれる方は多く、イベントの際には多くの方が協力してくれるのでなんとか運営が出来ている状況です。  事業を行っているけど高いお金を取ることは出来ないので、資金面については正直、厳しいところです。というのも、子どものことを考えて講座を受けたいのに、その受講料を払うために働く時間を長くする。その結果、子どもと一緒に過ごす時間が無くなってしまう家庭があるのではと思うと、高い受講料は設定出来ないからです。」

共助社会づくり課
「発達障害を抱える方は、どのような事が理解されにくいと思われますか。」

吉野さん
「頑張っていることを理解されづらいことではないでしょうか。発達障害を抱える人は洋服を着ること、学校で友達と遊ぶことも頑張っています。健常者にとっては当たり前のことかもしれません。当たり前が当たり前ではないことを理解してもらえたらと思います。  発達障害を抱える人はできないことが多いかもしれません。できないことを強要するのではなく、『できないことを認めて出来ることをやる』『できないなりにどう進めるか』が大切だと思います。」

共助社会づくり課
「最後に、このレポートを読まれている方にメッセージをお願いいたします。」

吉野さん
「発達障害は一人で抱え込めるものではありません。発達障害は知っているもの同士でしか理解できないと私は考えています。相談したから解決するものとは言い切れませんが、相談してみてください。本当に苦しかったら、連絡をください。私で良ければ、いつでも話を聞きます。」


メールアドレス【チャイルド・ギフト事務局】:npo-office@child-gift.org

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