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トップページ > 活動レポート > 共助社会づくり課による取材 > 平成24年度 NPO訪問 > 埼玉県産いろどり繭を守る会

埼玉県産いろどり繭を守る会

NPO等との協働によって、障がいを持つ方々とともに、埼玉県産の繭「いろどり(※)」
を使った生糸づくり、販売をする取組が始まりました。今回は、取組の中心的な役割
を担った「埼玉県産いろどり繭を守る会」のメンバーの皆様にお話を伺いました。
 
 (※)「いろどり」は、秩父地域でのみ生産されるブランド繭であり、抗菌性に優
れ、紫外線吸収率も高く、こしや艶のある生糸が生まれるのが特徴です。現在、
繭の特徴を活かし、様々な商品が開発・販売されています。


■織の音まゆ工房
 JR宮原駅からほど近く、とても交通の便利な場所に設置された「織の音まゆ工房」
では、障がいを持った従業員の方々が、生糸づくりや機織りを行っています。
もともと花屋だった場所を、生糸づくりや手織り体験の拠点として改修し、開設した
のが昨年11月。県内の養蚕農家への視察や製糸技術の指導、商工団体からビジネスノ
ウハウの指導を仰ぎ、様々な団体との協働の中で、オープンにこぎつけました。
 しかし、5キログラムの繭玉から、1キログラムしか出来ない生糸は扱いが難しく、
当初は、糸作りにとても苦労をしたそうです。しかし試行錯誤の末、今では通常の絹
糸とは違う、蚕の吐いた糸の特徴を残した「太繊度低張力生糸」と呼ばれる特殊な品
質の生糸も作りだせるようになりました。


■繭を通じた文化の継承
 製糸業は日本の明治期から昭和初期にかけて、外貨獲得のための重要な産業でした。
しかし、「現在、日本に流通する繭の約98%は、外国産の繭なのです」と、同会のメン
バーで、NPO法人川越きもの散歩の代表理事を務める藤井さんは危惧します。今では製
糸工場も全国で2つしかなく、県内の養蚕農家も58件となってしまっているのだそうで
す。
 埼玉県産のいろどり繭を使った今回の取組は、国産で生産者の顔の見える繭を通じて、
日本の養蚕技術や絹文化を継承していきたいという願いも込められています。


■今後に向けて
 同会のメンバーで、NPO法人織の音アート・福祉協会の金さんは、「ゆくゆくは、こ
の生糸を使って自分たちならではの製品を作りたい」と将来の展望を話してくれました。
 繭からの糸作りの設備を備えた手織り工房として、地域の住民や、学校、保育園など
からの来訪も多く、障がい者と地域の人々との新たな交流の場にもなっている「織の音
まゆ工房」。繭を通じて、地域とのつながり、そして埼玉の養蚕・絹文化の継承が、な
お一層期待されます。


◇取材を終えて
 「いろどり」繭は、世界に誇る埼玉のブランドです。今回の取組のように、NPOなら
ではの協働の力によって、埼玉の価値をどんどん発信していけたらと思いました。


さいたまブランド繭「いろどり」

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0904/909-20091209-210.html

「埼玉県産いろどり繭を守る会事務局(NPO法人 織の音アート・福祉協会)」ホームページ

http://orinone.jimdo.com
http://space.geocities.jp/orinoneartw/

NPO法人 川越きもの散歩 ホームページ

http://kawagoe-kimono.jimdo.com


(平成25年2月取材)