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トップページ > 活動レポート > 共助社会づくり課による取材 > 平成23年度 被災地・避難者を支援する県内NPO > NPO法人ハンズオン埼玉

NPO法人ハンズオン埼玉

 

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「ハンズオン埼玉(以下、ハンズオン)」は、さまざまな組織や人をつないで、参

加型のまちづくりをめざす中間支援のNPO。福祉作業所のクッキーを地元企業や学

校とのコラボレーションで開発したり、県や生協と協働してお父さん達の地域での友

達づくりを促す「ヤキイモタイム」キャンペーンなど、ユニークなプロジェクトを展

開してきました。今回は、常務理事の西川正さん、ボランティアスタッフの山田孝文

さん、鎌田光帆さんにお話を伺いました。

 

◆さいたまスーパーアリーナにおける震災ボランティア活動の経緯◆

 3月16日、埼玉県が東京電力福島第1原発周辺からの避難住民を受け入れること

を発表して以降、一時避難所に指定されたさいたまスーパーアリーナ(以下 アリーナ)

には、2000人近い被災者の方々が避難をしてきました。

 いち早くアリーナに駆け付けた西川さんは、当時を振り返ってこう言います。「何が

できるか分からなかったけど、ボランティアのマネジメントが必要になると確信して

行ってみました。とりあえず集まったNPO・市民団体同士で役割を分担して、それ

ぞれの専門性を活かした支援をはじめました」。

 3月18日に埼玉県社会福祉協議会との連携によって「災害ボランティアステーシ

ョン(※2)」が設置されると、個人でやってきた一般ボランティアの受け入れも開始

され、連日1000人を超える多くのボランティアが活動を始めることになります。

 

※2 災害ボランティアステーション(以下、VS)は、埼玉県社会福祉協議会が中

心となって設置された組織(3月18日~31日)で、個人で参加していた一般ボ

ランティアをボランティア・マッチングという形で、それぞれの役割に割り振った

り、届いた物資を仕分けする作業を行ったりしていました。またVSの下で、各N

PO・市民団体を中心に炊き出し班、福祉班、保育班、情報班などの班が結成され、

それぞれの団体が専門を活かした活動を行いました。

【VSの運営に携わった団体(順不同)】

埼玉県社会福祉協議会、NPOハンズオン!埼玉、NPO彩の子ネットワーク、埼

玉中央青年会議所、震災支援ネットワーク埼玉、埼玉レスキューサポート・バイク

ネットワーク、災害支援ボランティアACTNOW、NPO千葉レスキューサポー

トバイク、日本防災士会埼玉支部

 

◆避難所のコミュニケーションデザイン◆

 ハンズオンの役割は情報班。トイレや医務室などの施設内の案内表示はもちろん、

食事の時間やゴミの処理方法などの生活情報、お店やお風呂などのアリーナ周辺情報

など、「避難している方々が、なるべく安心して生活できるように、丁寧に情報を提供

していくことを心がけた」(西川さん)そうです。

 さらに「福玉ボード」と名付けられたメッセージボードを設置。埼玉から福島の人

への応援の気持ちだけではなく、福島から埼玉の人への感謝の気持ちも沢山寄せられ、

双方向のコミュニケーションの場として、マスコミなどにもたびたび取り上げられま

した。

 

◆「善意」の活かし方◆

 こうした多くの善意で支えられていた避難所ですが、その一方で、様々な問題も起

こっていたようです。「避難者の皆さんから怒られることは無かったけど、他のボラン

ティアさんからは怒られたことが度々ありましたねぇ」と苦笑するのは、ボランティ

アスタッフの山田さん。「(ボランティアの募集は)一切、受け付けていません」とW

EBなどでアナウンスを繰り返しても、毎日大勢のボランティア希望者の方々が詰め

かけ、騒然とした空気になったりしたそうです。

 山田さんは言います。「アリーナは避難者のみなさんにとって日常生活の場でした。

相手を顧みない善意は、かえって迷惑になる可能性も理解しておかなければならない

と思います」。

 

◆被災者にどう接していくべきか?◆

 いつ終わるともしれない避難所での生活を強いられる方々に対し、多くのボランテ

ィアさん達は自分が出来ることを精一杯、提供しようとします。しかし、「ボランティ

ア活動をしていく中で「『助けなければ』から『一緒に作っていく』のが大切だと気づ

きました」と、ボランティアスタッフの鎌田さんは言います。「ボランティアの難しさ

は、時と場合によって何かをしてあげることが支援になることもあるし、そうならな

いこともあるというところです。だからこそ『してあげる』ことが目的になっていな

いか、あらためて考えたいです」と、西川さんは言います。

 最後に西川さんは言いました。「これまで福島から電気を送ってもらっていた私達。

一時の一方通行的な支援ではなく、これからも長いつきあいを考えていきたいです」。

 

◇訪問を終えて◇

 大学1年生の鎌田さんは、今回のボランティアをきっかけにハンズオン!埼玉の仲

間入りをしたそうです。震災を通じて、こうした若い世代による支援の輪も拡がって

いるようです。

 被災地の支援は、本当にまだ始まったばかりです。これから、また沢山の知恵 を出

し合って、一日でも早い被災地の復興を目指していければと思いました。ガンバレ日

本!

ハンズオン!埼玉さんのホームページ。さいたまスーパーアリーナでのボランティア

の様子が紹介されています。

http://www.hands-on-s.org/blog/

 

ハンズオン埼玉さんの「つながリーナ」内のミニHPはこちら↓

http://www.saitamaken-npo.net/database/kyoudou/group.php?mode=detail&id=050615103945

 

 

(平成23年4月取材)