自然観察さいたまフレンド
身近な自然観察を…大宮台地斜面林と芝川低地から 「当時、自然観察というと高尾山や尾瀬沼などの山が多く、平野部ではバードウォッチングだけでした」と語る「自然観察さいたまフレンド」会長の小野達二さん。当団体の経緯をうかがった。 1991年、身近なところを歩いて自然観察をしようと旧大宮市に住んでいた自然観察指導員(日本自然保護協会主催講習会終了登録者)の6名で当団体は結成された。その頃は、自然観察会を開くたびに会員が増えていたという。2006年にNPO法人を設立。現在会員は142名、そのうち自然観察指導員は45名(2009年)。大宮台地斜面林と芝川低地(見沼田んぼ)の北西部を中心に自然観察会と調査を実施している。
生態系に影響を与えている繁茂してきている外来種 この会では、2009年の8月から県との協働により5ヵ年計画で見沼田んぼの芝川に生きものモニタリング調査をしている。植生調査、野鳥調査が中心で、なかでも外来種の植生調査に力を入れている。 毎月第一日曜日の朝7時頃、会員限定で芝川石橋たもとに集合し、早起きバードウォッチングと合わせて開催し、調査観察している。 昔のこの辺りの川辺には、アシやガマ、土手には、オギという風景だったが、近年は、外来種のオオブタクサ、アレチウリ、セイバンモロコシなどが蔓延し、生態系に影響を与えている。アシに棲んでいたオオヨシキリ等の野鳥の姿も見えなくなった。 一般の人が参加できるのは、偶数月の第一日曜日の午後の「見沼の自然ふれあいウォーク」。さいたま市の合併記念見沼公園で開催されるこの観察会は、野鳥観察、生き物観察昆虫観察、花樹観察など大体4つの班に分かれて芝川の川辺約5キロにわたっての生態系を観察調査しながらウォーキングをしていく。参加費として、自宅を出てから帰るまでの傷害保険費を負担してもらうという。また、そのときどきのテーマで自然観察をしているのが、奇数月の第一日曜の午後の「見沼ぶらり・おもしろ自然観察」。こちらも大宮第二公園南管理棟前集合で、一般の人を交えての会だ。どの会もリーダーは、自然観察指導員である。 年4回開催される見沼田んぼくらぶ主催の「見沼の自然と史跡を訪ねて」では、見沼田んぼを知りつくしているこの会の会員がガイドになり、引率している。 他に芝川周辺で湧水の水量水質調査、水生生物の調査を行い、自然観察を行っている。
学術調査にも協力、シンポジウムのパネラーにも 大学との協働では、芝浦工業大学システム理工学部環境システム学科2年の選択科目の一つとして環境調査体験があり、中口毅博教授指導の下、学生と水の環境調査、雑木林の保全作業、樹木のCO2吸収作用の調査などを行っている。芝浦工大のシンポジウムのパネラーにも呼ばれたこともあるそうだ。 楽しそうなウォーキングと学術的な自然観察調査を行っているこの会の活動は、県内全域に広がっている。一般の人が楽しめて、また、子どもたちも参加できる自然観察。内容は初歩的な樹木の名前や、草花の生態、野鳥の名前から高度な植生、水質、野生生物の生態系調査など多岐にわたっている。「早起きバードウォッチング」の調査によるとこの見沼田んぼ内の芝川にも外来生物が生息しているそうだ。植物の植生や野鳥の定期的で、息の長い定点観測調査が自然保護に大きな実りを挙げそうである。樹木のCO2吸収率は、CO2吸収計算式があるので樹木の種類、幹の太さと高さを計測すれば大体の吸収量がわかると小野さんは丁寧に教えてくれた。 |
飛来したサギ
「早起きバードウォッチング」は
ここに集合
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☆協働相手からの応援コメント☆ |