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KHJ埼玉けやきの会 家族会

 
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 KHJ埼玉けやきの会家族会は、ひきこもりの人とその家族を支え、本人が社会に復帰できるようサポートする活動をしています。昨年度のチャレンジサポート事業では、ひきこもりの人の社会復帰に向け、清掃活動と団体での就労体験を実施しました。

 今回は、代表理事の田口さんにお話を伺いました。

 

◆ひきこもりの現状◆

 

 平成22年7月に内閣府が発表したひきこもりの人数は全国で推定約70万人となっています。10代から20代といった若者ばかりではなく、30代や40代の人もいるとのことです。彼らは社会的なつながりが欠如しているために、自己肯定感が低く、コミュニケーション能力が低下してしまっています。

「ひきこもりの人は自分の人生に対して危機感を持ったりします。でも仕事を探しにハローワークに行くことができません。自分のことをうまく説明できなかったりするからです。だからこそ、彼らには仕事を探す前に、社会復帰のプログラムが必要なんです。」

 

◆社会復帰の第一歩◆

 

 昨年度のチャレンジサポート事業では、社会復帰プログラムとして、公園などの清掃活動や法人の事務作業を手伝ってもらいました。特徴は、参加者に交通費や報酬を支給したことです。たとえ少額でも自己肯定感が低いひきこもりの人にとっては、自力でお金を稼ぐ経験が達成感につながるとのことでした。

「今年度は独立行政法人福祉医療機構の社会福祉振興助成事業を受け実施しています。交通費と報酬を支給するための財源を確保することは大変ですが、ひきこもりの人たちにとっては社会復帰の第一歩となる事業なので、ぜひとも続けていきたいと考えています。」

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◆次のステップ◆

 

 社会復帰のためにはコミュニケーション能力の向上が必要です。いろいろな人と出会うきっかけづくりのため、他団体との連携を進めています。(特)サポートあおいが主催する「若者のための就労支援」への参加もその一つです。知らない人と会って話したことも、ひきこもりの人にとっては自信の一つになったそうです。

 また、福祉施設でのボランティアや企業での就労体験プログラムも用意しています。ボランティアの際に知識と経験の無さを痛感して専門学校に進学を決めた人や就労体験を通して自信を回復させ、そのまま就職した人もいます。

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団体の機関誌の発送作業

 

◆今後の課題◆

 

 現在の経済状況では、ひきこもりだった人を受入れる就職先が少ないそうです。

 また、たとえ回復したと言っても、ひきこもりの人がフルタイムで働くことは体力的にも精神的にも難しいそうです。職場の理解が無ければ再びひきこもりの状態に戻ることもあり得るので、十分なサポート体制がある信頼できる職場の開拓が現在の大きな課題となっているとのことでした。

 

◇訪問を終えて◇

 

 少子高齢化が進み、生産人口が減少している日本にとって、ひきこもりの人が社会復帰できることはとても重要なことだと考えます。今回の取材で、専門的な知識と多くの経験があるNPOのサポートを受けながら、ひきこもりの人が社会復帰できていることを知りました。彼らが再び活躍できる埼玉県にしていきたいと思いました。

 

(平成22年10月取材)