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特定非営利活動法人 空き家対策協会

 近年よく耳にする空き家問題。総務省の平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果では、空き家数は820万戸と、5年前に比べ63万戸(8.3%)に増加し、空き家率は、13.5%と過去最高でした。埼玉県でも平成45年には約3軒に1軒が空き家と予測されていますが、空き家の何が問題なのか、どこに相談したらいいのか、まだまだ知らないことも多いのではないでしょうか。
 こうした空き家対策に取り組むため、様々な業種の専門家が集まって活動するNPO法人空き家対策協会。平成30年1月には2日間、彩の国ビジネスアリーナ2018で共助社会づくり課のブースに出展し、空き家問題について情報発信しました。今回は、このNPO法人空き家対策協会理事の新井さんと番匠さんにお話を伺いました。

新井さん(向かって左)と番匠さん(右)

  • 共助社会づくり課
    「空き家対策協会さんは様々な企業や士業の方々が集まって活動されていますが、活動のきっかけについて教えてください。」
  • NPO法人空き家対策協会 
    「空き家問題の解決には多くの人が携わっています。不動産屋さん、リフォーム屋さん、解体業の方、庭の掃除をする方、様々です。実際の空き家のフォローから空き家予防対策を含め、地元の中小企業主の皆さんが携わり、協力して解決していこうと活動を始めました。また、私(新井さん)自身は、もともと大家で、その経験を発信できないかと誘われたことがきっかけでした。番匠さんは、仕事柄空き家問題に興味を持たれ、同じ行政書士の理事からこの活動を紹介されました。」

  • 共助社会づくり課
    「どんな悩みが多いですか。」
  • NPO法人空き家対策協会
    「空き家を取得した経緯の半分以上が相続によるものです。空き家と相続の問題は切り離せません。
     加えて、行政側と空き家所有者の側で悩みが異なるのもこの問題の特徴です。行政側では建物の倒壊や放火・空き巣、近隣住民とのトラブルの回避が大事ですが、一方の所有者は固定資産税の捻出に苦労し、また相続の解決ができないために、結果として手をつけられずに空き家になっています。空き家の問題はさまざまな専門家が協力して対応することが必要です。」

  • 共助社会づくり課
    「どこに相談したらよいかわからない方も多いですよね。相談はどなたからが多いですか。」
  • NPO法人空き家対策協会
    「既に空き家を所有している人のほか、高齢者が施設に入る際に家をどうするかを心配する御家族もいらっしゃいます。いくつかの選択肢を示すことで安心される方は非常に多い。その空き家の方向性を示す、ファーストステップまでを当法人では無料で相談にのっています。
    空き家の問題は、相談先によって回答が変わってしまいます。例えば、不動産屋さんに相談すれば売却の話になりますし、ハウスメーカーに相談すれば家を壊してアパート経営を勧められる、というようにどうしてもそれぞれの商売に結びつけるような回答になりがちです。そこで我々は様々なメンバーを集め単一的な回答ではなく、セミナー、個別相談、協力企業の紹介までをワンストップで行えるようにしています。」

  • 共助社会づくり課
    「どのくらい費用がかかるのか、だまされないか、みなさん不安なところですよね。
  • NPO法人空き家対策協会
    「空き家の問題は、将来的な処分方法や、不動産評価額の調べ方、共有名義の対応やリフォームのアドバイスなど多岐にわたります。一口にリフォームと言っても、100万円から400万円まで金額に応じていくらでもできますから、相談者側にもそれなりの知識が必要になってきます。自治体に相談しても、具体的な解決策や個別の業者の紹介にまで踏み込むのは難しいですしね。」

  • 共助社会づくり課
    「空き家になる前に、できることはどんなことでしょうか。」
  • NPO法人空き家対策協会
    「元気なうちに親子の間で話しあっておくことが大事です。介護が必要になった親が施設に入所する時に実家をどうするか、そうした問題についても親族間の見通しを立てておくことが必要です。 
     例えば、最近相談が多いのは、認知症の問題です。家の持ち主が認知症になると売ることも貸すこともできませんし、その方が亡くなって相続するまで、子供達でもその家に関して何もすることができません。
     また、ようやく相続しても、所有権が分散されてしまうと、意見が分かれ、やはり処分できないということもよくあります。成年後見人制度も、持ち主の財産を守ることが第一なので、空き家対策にはならない面もあります。いずれにしても元気なうちから、空き家になったらどうするかを家族で話しておかなければいけませんね。事前に対策しておくと、当事者も地域社会も自治体の負担も軽減できます。」

  • 共助社会づくり課
    「空き家の事例は、歴史や文化的な空き家を補修して飲食店にするなどのモデルを目にしますが、ごく普通の、一般の方の空き家の活用はどのようなものになりますか。

  • NPO法人空き家対策協会
    「現在私たちの法人では、子育て世帯や高齢者、身体障害者の方たちなど住宅確保要配慮者の方々に空き家をマッチングできないかと考えています。
     空き家は売却物件としては安いため、当然手数料も安く、不動産業界では積極的な動きがないこともよくあります。固定資産税見合いの賃料でもよいので貸したいという所有者の方もいますので、安く借りたい人とお互いによい関係づくりができれば住宅のセーフティーネットを築くこともできます。
     とはいえ、空き家を高齢者の方向けの共同住居として利用する場合であれば、バリアフリー改修などで関わることができるので、介護に携わるNPO法人などから情報提供を受け取り組んでいきたいですね。」

  • 共助社会づくり課
    「さいたま市内で実施されたセミナーは大盛況で、個別相談を再度開いたそうですね。関心が高まっている感じはしますか。」

  • NPO法人空き家対策協会
    「実は、セミナーを開催してもはじめは参加者が集まりませんでした。告知活動は重要で、自治会の回覧に出していただいてから、とても多くの方に参加していただけるようになりました。
     活動するに従い、みなさんの関心の高まりを感じています。セミナーに参加された方は、どこに相談したらいいのかわからず、最初の一歩が踏み出せなかったという方がほとんどです。」

空き家対策協会ののぼりの前でポーズをとるさいたま市キャラクターヌウ

講師の指さす黒板を熱心に見る30人くらいの後ろ姿

さいたま市のセミナーの様子

  • 共助社会づくり課
    「空き家対策専門相談員の養成について教えてください。」
  • NPO法人空き家対策協会
    「平成30年度のうちに、内容を固めて空き家対策専門相談員を養成していきたいです。空き家の相談には、幅広い知識が必要ですが、どなたでも参加していただきたいと考えています。現在私たちの法人は、川越市、さいたま市、熊谷市に拠点がありますが、この3地域から県内全域に相談できる場を広げたい。気軽に相談できる人をつくっていきたいと思っています。」

  • 共助社会づくり課
    「空き家というと一軒家のイメージが強いですが、今後はマンションも増えますよね。また異なる問題が考えられますか。

  • NPO法人空き家対策協会
    「マンションに関しては、固定資産税のほかに管理費や修繕費がかさむので、空き家になる前に売却することが多いでしょう。今後は駅近くの利便性のよいところは売却され、そのほかは空き部屋となるような二極化が進むかもしれませんね。」

  • 共助社会づくり課
    「法人運営で苦労していることは何ですか。」

  • NPO法人空き家対策協会
    「やはり一番は活動資金です。セミナーも個別相談会も有料にしてしまうと参加に二の足を踏む方が多い。ですが無料のままで続けていくのは継続が難しいですし、人手も不足してしまいます。
     たくさんの御依頼があっても手が回らないということになります。 」

  • 共助社会づくり課
    「今後の予定、イベントなどお知らせください。」

  • NPO法人空き家対策協会
    「平成30年もセミナーを四半期に一度、年四回くらいは開催したいと考えています。さいたま市の後援が受けられそうなので、また自治会経由で地道に告知していく計画です。セミナーを上尾や春日部といった他の地域へ拡充していく予定もあります。
     それとともに、住宅セーフティーネットのサポートにも取り組んでいきます。また会員を増やし、相談員の増加につなげ気軽に相談できる環境を作っていきたいと考えています。」

2団体が出展するブースの前でパネルを確認する3人の男性

ビジネスアリーナ2018へ出展し、空き家問題を情報発信。

特定非営利活動法人 空き家対策協会ホームページ http://www.npoakiya.jp/

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