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特定非営利活動法人 こすもす

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   特定非営利活動法人 こすもす

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           ◆NPO紹介◆

 

 2007年8月、東坂戸団地で知的障がい者らが手作り豆腐を製造・販売し、併設の喫茶店で店員として接客もする「こすもす作業所」を開所しました。団地の中で障がい者が働く作業所としては埼玉県では第1号です。豆腐の他、豆腐定食や豆腐のスイーツを喫茶店で販売しています。また、不要となった布を裂いて織り直す“裂き織り”や桜で布を染める染織作業も行っています。『「仕事をしたい。お店で働きたい」という障がい者達のそんな願いをかなえたい、障がい者と地域住民が、共に生きる喜びを実感したいと思い、日々活動しています。』今回は、理事長の油井京子さんにお話を伺いました。

 

◆インタビュー◆ 

Q キャチコピー“団地という『街』に生まれた、障がい者と住人のための憩いの店”はとても素敵ですが、どのような想いを込められたのですか。 

 団地の住人の高齢化が進み、東坂戸団地の多くの店舗がシャッターを下ろしています。その中で、東坂戸団地の住人がいつでも通ってこられるような憩いの場所をつくりたいと思っています。そこに、障がい者が仕事をしながら住人とつながっていけたらどんなに素敵だろうと考えています。一人暮らしの高齢者が気軽に通ってきてほしい、障がい者が生き生きと働いてほしい、そして、人と人とが繋がり、絆を深めてほしい、こんな願いを込めています。

 

 Q 主な活動内容を教えてください。 

 畑で野菜や大豆を栽培し、収穫したものを原料にして様々な商品を作業所で作っています。全て無農薬なので安心して、自信を持って販売できます。野菜は収穫してそのまま販売したりもしています。収穫した大豆を使った豆腐、豆乳シフォンケーキ、おからパンなどをつくっています。また、人参をジュースにしたり、そば粉からそばを作ったりもしています。作っているかりんとうは市内の保育所のおやつとして提供しています。畑で採れた無農薬の野菜を小学校の学校給食で使ってもらえたら最高だと思っています。また、不要になった和服の生地を裂いて糸にし、裂き織りや桜の染織にも取り組んでいます。裂き織りの布でバッグやポーチを縫製専門の方に作っていただいています。染織はTシャツやハンカチなどを絞り染めにしています。とてもやわらかい風合いに仕上がって、一つ一つの作品が一点ものです。

 
   

 

Q 県のマッチング事業を活用して経営的な視点を取入れていますが、効果はいかがですか。 

 埼玉県の共助仕掛人により、税理士を紹介していただきました。事務的な部分や会計報告等、苦手な部分の助言をいただいています。快く、NPO法人の支援を引き受けてくださった税理士の方に感謝しています。今は、昨年度の決算書の確認をしていただいています。埼玉県共助仕掛人に税理士を紹介していただいて、とてもよかったです。

<マッチング事業とは>

 NPO法人が抱えている課題を解決するために、必要としている内容の専門家を「共助仕掛人」が紹介するなどの支援を行う事業。

 

Q 障がい者の就労支援における大きな課題は何だとお考えですか。 

 現在、27名の障がい者が作業所で働いています。みんな生き生きと、得意なことを中心に自分の仕事をやっています。障がい者に対しては社会人として接することが大切です。多くの人は社会人として接することをためらいますが、彼らに対しては個性に合わせて、生活年齢を大切にしながら社会人として接していく視点を持つことが私たちに必要だと考えています。 

 

Q 障がい者が就労することの良い点は何ですか。 

 仲間同士の行き違いや障がい者本人がうまく仕事を進められなくて、混乱することもあります。そんな時は、一人一人の話をよく聞いて、一緒に考え、障がい者が落ち着いて仕事に取り組むことができるようになるまで一つ一つ丁寧に対応します。仕事を経験しながら障がい者は、仕事をすることの大切さや楽しさを実感してくれます。お客さんに「お豆腐、おいしかったよ」や「ポーチ、上手にできているね」、「バッグ、かわいいね」などと励ましの言葉をいただくと、それが自信となって障がい者の心も成長していきます。私は笑顔で仕事をしてくれることが何よりも嬉しいです。障がい者は仕事に対してとてもまじめに、一生懸命取り組むので私が驚くほどの出来栄えに仕上がります。出来上がった商品を車に積んで、遠い時は板橋区まで販売に行っています。自分の住んでいる地域以外の人と接することも良いところだと考えています。 

 

  

Q 宿泊体験について詳しく教えてください。

  平成21年から宿泊体験を東坂戸団地の部屋をお借りして行っています。障がい者の方々はやがて親元を離れて暮らすことになります。将来の自立をイメージするために希望者を対象に仕事終了後、共同生活をします。料理や片づけなど日常生活で親御さんにやってもらっている内容を、実際に自分たちで行います。障がい者が障がい者を助けていく経験をし、短い期間で大きく成長します。その、成長した姿を見て親御さんはとても喜んでいます。一緒に生活することでお互いの理解も深まり、共に暮らすことの楽しさを実感します。宿泊体験について、取り組み始めた直後は、親御さんの不安や心配は大きかったようですが、今では積極的に協力してくれます。

 

 

 Q  宿泊体験について、親御さんからの要望などはありますか。 

 親御さんからは継続してほしいという要望が多いです。さらに、親御さんが宿泊体験で成長する姿を見て、親御さんからグループホームを立ち上げてほしいと強い要望が出てきました。障がい者が安心して暮らしていける環境を整備していきたい、様々な人が共生していくまちづくりをしたいと以前から考えていたところに親御さんからの熱い要望が重なり、親御さんに背中を押される形でグループホームを立ち上げる決意をしました。今はグループホームの設立に向けて、少しずつ準備をしているところです。

  

Q 今後、力を入れたい活動を教えてください。

  特定非営利活動法人ウェル坂戸さんに昨年度、9月から3月まで、月1回のダンス教室をやっていただきました。3月の坂戸市のイベントで一緒にダンスの発表を行いました。その時、イベントに参加していた小学生やその保護者の方と接する機会をいただくことができて、とても有意義でした。今年度も継続してダンス教室を開催していきたいと考えています。障がい者の音楽のとらえ方や、リズムのとり方は非常に個性的で、表現豊かに踊ります。今年度も、そんな姿を多くの方々に見ていただけたらと思っています。

 人と人とが共に生きていく共生社会を目指して日々、活動していきたいと思います。諦めずに継続することで、少しずつ地域に受け入れられてきました。今後も地道に活動して、たくさんの地域で受け入れていただけるように頑張りたいです。まだまだやるべきことはたくさんあると思います。一歩ずつ前進していけるように明るく笑顔で生活し、人とのつながりを増やしていきたいです。

 

(平成27年6月取材)

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