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特定非営利活動法人 古太萬の会

活動レポートでは、NPOを訪問してその団体の活動をご紹介しています。
今回紹介するのは、11月に認定NPO法人※を取得したばかりの『古太萬(こだま)の会』です。
※認定NPO法人とは
運営組織・事業活動が適正で公益の増進に寄与する団体として一定の要件を満たし、所轄庁の認定を受けたNPO法人のことで、寄附者も認定NPO法人も税制上の優遇措置を受けることができる。主な税制優遇として①個人が認定NPO法人に寄付した場合「寄附金控除」制度が適用される。②法人が認定NPO法人に寄付した場合、一般のNPO法人への寄附に比べ、経費として扱える寄附金の限度額が高くなる。③認定NPO自身は収益事業にかかる法人税が軽減される。が挙げられる。

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(認定)特定非営利活動法人古太萬の会(読み方:こだまのかい)

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              ◆NPO紹介◆

 古太萬の会では、精神障がい者の自立支援を行うため、就労継続支援B型事業所『佐久間さんち』、本庄市委託の地域活動支援センター『ポノポノ』、グループホームの三つを運営しています。当初は、日常生活に不安や支障をきたした方たちの憩いの場として『佐久間さんち』を開設しましたが、今では、利用者一人ひとりに生産活動や就労の機会をきめ細かく提供する福祉サービスを展開しています。
 今回は、設立当初から運営に携わり『佐久間さんち』施設長でもある中嶋恭子さんに話を伺いました。そこでは、どのNPO法人にも起こる将来への不安を語って下さいました

Q 『佐久間さんち』素敵な建物で驚きました。入口にも古太萬の会の理念が掲げられていますね。

A 古太萬の会には敷地内に『佐久間さんち』、『ポノポノ』、グループホームの三つの建物が隣接しています。もともと設計士であった私が設計し、平成20年に増改築しました。通ってくる利用者の方が心身ともに楽しく開放的になってほしいという思いで、オープンテラスを前面にして、木質化した内装で温かみのあるデザインにしました。
 入口の「佐久間さんちの開設に寄せて」(写真)は法人の代表理事であった櫻井秀夫のものです。今年5月に亡くなるまで、運営面、資金面など様々な面で利用者や私たちスタッフが活動しやすいように陰で支えてくれました。

 

Q さて、古太萬の会は先日、認定NPO法人を取得されましたが、きっかけを教えてください。

A 今から3年ほど前、代表理事だった櫻井(故人)が事業を持続的に維持・安定させたい、特に資金面で後継者に苦労をかけたくないと考えたのがきっかけです。NPO法人から社会福祉法人への転換も考えましたが、そのままNPO法人として事業を継続し、税制上の優遇措置のある認定NPO法人格を取得するという結論を出しました。

※認定取得による税制上の優遇措置はこちらをご覧ください。
http://www.saitamaken-npo.net/html/shinsei_todokede/houritsu_seido/ninteiseido.html

 

Q 組織がいずれ直面する運営資金への不安や、特定の個人に責任や作業が集中することを見越して、将来の備えとして認定を取得されたのですね。

A はい。利用者のために古太萬の会を維持しなければならない。その手段として認定の取得を目指しました。会計に詳しい理事がいたことも幸いでした。その間、お弁当の販売、清掃業務や資源回収、メール便などを受託して、利用者一人ひとりに合った就労体験の機会を広げました。月に数回は、スポーツ大会やオープンカフェを開催して、支援者や地域の方とのふれあいを深めています。

 

 施設内にあるCafe(左) お花見会の様子(右)

 

 

                                                                      
Q 『佐久間さんち』では就労支援で始めたお弁当がご近所で評判のようですね。 

A 最初は、利用者の生活訓練としての料理作りだったのですが、知人に頼まれ1日10食のお弁当作りになり販売するようになりました。地元のお米や有機野菜など素材にこだわりながら、その日手に入る食材で作り、お母さんの手作りのような味、ということで口コミで広がり注文が増えました。調理場が手狭になってくると、行政や福祉財団などの補助や助成金で設備を整えました。それでも資金が足りなく、ほとんどは支援者から提供してもらいました。それ以来私は「貰うの大好き中嶋さん」なんて呼ばれています。
 でも、設備を整えることよりも、運営を手伝ってもらえるスタッフを増やしたことで、私たちの取組に賛同してくれる方が増え寄附者拡大につながりました。

 

Q 「利用者一人ひとりに合った」ということですが、利用者たちと どのように関わっているのですか。

A ゆったりとした時間の中で、自分のやりたいことを見つけてほしいですね。利用者にとっての‘自立’とは、自分らしく生活を送ることだと思うので参加のルールも緩やかです(写真)。これは『佐久間さんち』も隣接する『ポノポノ』も同じ考えです。ですから、利用者が、その都度その場に合った目標を設定できるように多くの就労を用意しています。
 レクリエーションとして年に数回旅行にも出かけています。今の時期はグランドゴルフや押し花で楽しんでいます。

 

Q 中嶋さんのパワーの源を教えてください。

A 私は、自分がしてもらったことを、自分にできる事で世の中に返したいという想いがあって、以前から‘(お世話を)される側’から‘する側’を経験したいと考えていました。それに設計士の仕事は、お客様と1年以上かけて建物を作り上げるので、その過程でお客様の考えや生活観をじっくり聞くことが大切です。それが、心に病を抱える方たちに寄り添うことに生かされています。

 

Q 今後の活動を教えてください。

A 利用者の中には、心の病から命を絶ってしまった方もいましたが、悲しいことも、そして嬉しいことも、古太萬の会ではスタッフ全員で共有しながら乗り越えてきました。その度に、初心に返って支援の在り方を考えています。
 地域移行支援員として、長く入院されている方の退院支援を新しく始めました。次は、障害のある家族やその周りの人への相談支援事業で総合的な福祉サービスをしていきたいと思っています。古太萬の会も組織として、その都度その場に合った目標を設定し、利用者それに地域の方と共に歩んでいきたいと思います。  

(取材:共助社会づくり課 花田洋司 平成25年11月)

【ホームページ】                                                                      特定非営利活動法人古太萬の会『佐久間さんち』
http://www7b.biglobe.ne.jp/~hkmjd081/