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特定非営利活動法人 さいたまチャイルドライン

今年4月に認定NPO法人※となった『さいたまチャイルドライン』を紹介します。

※認定NPO法人とは

運営組織・事業活動が適正で公益の増進に寄与する団体として一定の要件を満たし、所轄庁の認定を受けたNPO法人のことで、寄付者も認定NPO法人も税制上の優遇措置を受けることができる。主な税制優遇として①個人が認定NPO法人に寄付した場合「寄附金控除」制度が適用される。②法人が認定NPO法人に寄付した場合、一般のNPO法人への寄附に比べ、経費として扱える寄附金の限度額が高くなる。③認定NPO自身は収益事業にかかる法人税が軽減される。が挙げられる。(『コバトンびん』内のNPO法人の認証・認定・指定もご参照ください。)              

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 認定特定非営利活動法人さいたまチャイルドライン

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                                          ◆NPO紹介◆

 18歳以下の子どもがかける専用電話「チャイルドライン」全国76拠点に広がるネットワークのうち、ここ埼玉での活動拠点が『さいたまチャイルドライン』です。

「ねえ、ねえ、聞いて」って言いたいけど話す相手がいない、誰かと話したい。そんなとき話を聞いてくれるのがチャイルドラインです。

 チャイルドラインの基本は、かかってくる電話に、一方的な問題解決や指示は示さず、子ども自身が気持ちを整理して自分の心の本音に気付かせること。全国統一フリーダイヤルでかけられた電話から、発信県のチャイルドラインに優先的に着信する仕組みで、全国各地のチャイルドライン拠点はそれぞれ独自で運営費を賄っています。『さいたまチャイルドライン』でも、子どもたちを支えたいと願う方々からの寄附金が重要な資金源となっています。

 今回は、代表理事の太田久美さん(写真右)と事務局長の斉藤裕子さん(写真右)に、お話を伺いました。

               ◆インタビュー◆

Q太田さんは全国の拠点をネットワークする『NPO法人チャイルドライン支援センター』の代表理事でもいらっしゃいますが、チャイルドラインにはどのような電話がかかってくるのですか?

A (太田代表理事)

 昨年度一年間で、全国で受けた子どもからの着信は214,643件でした。携帯電話の普及で年々増えています。会話の内容をみると、男女とも小学生では雑談と人間関係が多いのですが、中学生からは男子は性への興味関心、女子は人間関係の内容が急激に増加していきます。深刻な問題を含む電話については、虐待が増加傾向にあります。また睡眠薬など薬物を使用しながらかけてきていると思われる電話も増加しています。今は、子どもの側にたってじっくり話を聞いてくれる人が少なく、取り巻く環境は悪化しているように感じます。

 

Q子どもの電話を受けているスタッフはどのような方たちが担っていますか?

A(太田代表理事)

 私たちは、子どもに自分自身で気持ちを整理して問題に気づき、解決の第一歩を踏み出してほしいと考えています。子どもたちの声に、耳を傾け寄り添うことを心掛けていますが、実はこれが、すごく難しいのです。

 子どもと直接話しをする「受け手」はチャイルドラインの最前線にいますが、基本的には無償ボランティアです。受け手を希望される方には十数回の養成講座を経て、また「受け手」になってからも、研修会などで情報交換をしながら常に力量を高めています。

 A (斉藤事務局長)

『さいたまチャイルドライン』では3回線を「受け手」3人と、受け手をサポートする「支え手」1人の4人で電話を受けています。今は62人の方がボランティアで協力してくれています。昨年、ここで受けた着信数は約19,214本。アクセスは57,262本でしたので、全てを受け取れていないのが現状です。

 着信数を上げるためには、回線も受け手もまだまだ少ないのが現状です。そのために、体制面も資金面も強化が必要になっています。

 

Q今年4月に認定NPO法人を取得しましたが、組織はどのように変わりましたか?

A (太田代表理事)

 それまでは会員からの会費や一部の企業からの寄附、県からの助成金に頼っていました。

 私たちは『子どもが生きやすい社会にしたい』という思いを一般の方、特に子育て世代やチャイルドラインを利用したことのある若い方たちに共感してもらうため、電話の向こうで子どもたちが何を考え、置かれている状況を数値化・可視化して年次報告書にまとめ、社会問題として寄附者にフィードバックしました。また、専門家や新しい理事を招いて組織の新陳代謝を図り、客観的な視点を取り入れながら、受け手の養成と回線増設のための計画を具体的にしました。

 今では、子どもたちの生の声を日本で一番多く集めている組織と自負しています。

 

Q埼玉県が行った「平成25年度埼玉県NPO実態調査」で認定(仮認定)NPO法人の申請についてアンケートしたところ「認定のための基準を満たすことができない」「取得手続きが煩雑」「会計や税務に関する知識を持つスタッフがいない」との回答が多くありました。『さいたまチャイルドライン』では認定取得に向けてどのように取り組みましたか?

A (斉藤事務局長)

 年次報告書には社会的課題の他、社会(政策)提言を発信し寄附者と一緒に解決を考えられるよう工夫しました。学校にカードやポスターを配布したり、寄附者のメリットである税額控除もわかりやすくして配布したりしました。徐々に一般の方からも寄附が集まり社会的信用や認知度が高まっていく実感を得ました。

 取得に向けて準備するにあたり「2年間は踏ん張ろう」と理事会で確認しましたことで、不慣れな会計手続きも、県の担当の方と一緒にスタッフ皆で取り組むことができました。

                                

Q最後にチャイルドラインの活動の原点を教えてください。

A (太田代表理事)

 子どもの権利条約にある「子どもの最善の利益」ってなんだろう?から始まっています。チャイルドラインは多くの方の寄附金や厚意に助けられています。その支援を未来を担う子どもたちのために役立て、社会の中で役割を果たすことが使命です。

(取材:共助社会づくり課 花田洋司 平成25年9月) 

認定特定非営利活動法人さいたまチャイルドライン   http://saitama-cl.com/