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トップページ > 活動レポート > 共助社会づくり課による取材 > 令和元年度 NPO訪問 > ギニアこころのクリニックとおむすびの会

ギニアこころのクリニックとおむすびの会

就労目的で日本を訪れ、滞在する在留外国人が年々増加しています。
埼玉県内の在留外国人数は17万人を超え、中でも、市町村別の在留外国人数で県内1位、全国3位にランクインしているのが、東京都に隣接する川口市です。(※)

※ぶぎん地域経済研究所調べ・平成30年6月時点

特定非営利活動法人ギニアこころのクリニックとおむすびの会は、川口市内を拠点に、様々なルーツを持つ地域住民同士の交流や、相互理解を図るための活動、そしてアフリカのギニアへの支援に取り組んでいます。

活動の中で大切にしていること、そして今後の活動の目標について、代表理事の木村麻衣子さんにお話を伺いました。

ギニアこころのクリニックとおむすびの会

共助社会づくり課

活動を始めたきっかけについて、教えてください。

ギニアこころのクリニックとおむすびの会 木村代表理事(以下木村さんと表記)

私は日本生まれ日本育ちで、海外を特別に意識することはありませんでした。
日本に留学していたギニア出身の夫と再婚し、初めてギニアとの接点ができたのですが、夫が故郷のことを話す機会はあまりなく、夫が実家に仕送りをすることしかできませんでした。

契機は、夫との間に息子が生まれたことです。
肌の色が周囲の子とは違うことを息子は気にするようになり、ギニアには自分の家族がたくさん暮らしていて、決して一人ぼっちではないんだよ、ということを伝えたくて、ギニアとつながりたいと考えるようになりました。
実際、息子は小学校に進学すると、肌の色を理由にいじめられるようになりました。
息子の「みんな(白人とのハーフなど)とは違うハーフなんだ」という言葉が、ずっと頭に残っています。

その頃は、2016年の終わりごろにあたり、アフリカで甚大な被害をもたらしたエボラ出血熱がようやく終息した時期でした。
そこで、感染病予防に有効な「手洗い」の大切さを伝えるための活動として「おにぎり」と「手洗い」を組み合わせた普及啓発にギニアで取り組むことを思いつきました。

2017年には、クラウドファンディングで資金を集めてギニアに渡航し、地元の人たちとおにぎりを作って、手洗いの大切さを伝えました。
また、おにぎりを作った現地の子供たちの写真を応募した「おにぎりアクション2017」(※)では、「こんなところでよく撮ったで賞」という賞もいただきました。

※おにぎりアクション
特定非営利活動法人TABLE FOR TWO Internationalが主催している取組。
おにぎりにまつわる写真に#OnigiriActionを付けてSNSまたは特設サイトに投稿すると、協賛企業が寄付し、TABLE FOR TWOを通じてアフリカ・アジアの子どもたちに給食5食が届く。

おにぎりアクションに応募した写真

おにぎりアクションに応募し、受賞した写真

ギニアでの活動終了後には、クラウドファンディングを通じて、寄付いただいたサポーターの方に対して報告会を行いました。すると、サポーターに留まらず、もっと多くの人にこの話を伝えるべきだ、という意見を沢山いただき、継続して活動していくための団体として、2018年にギニアこころのクリニックとおむすびの会を立ち上げ、現在に至ります。

共助社会づくり課

普段行っている活動について教えてください。

木村さん

ギニア支援については、資金援助のほか、文化を通じてギニアを知ってもらうために、イベントを主催したり、国際交流イベントに参加したりしています。

常日頃行っている活動としては、川口市の地域に暮らす人たちを対象にイベントを企画しています。
近所のゴミ拾いをすることもあれば、ダンスをしたり、防災マップを作ったり、料理教室を開催したり...と活動は様々ですが、子どもたちが楽しみながら「自分の暮らす地域」や「世界」に目を向けることができるような内容を心がけています。

活動の中で感じるのは、川口市に多く暮らす外国籍の人や、不登校の子、発達障害を抱える人など、既存の地域コミュニティに入ることを難しいと感じている人たちが、多く参加してくれているということです。
当初は私と息子というほぼ2人の態勢で始めた活動でしたが、今では地域に暮らす様々な家族が参加してくれるようになりました。

地域全体で、様々な立場の人が混ざり合って活動することは、既存のコミュニティを難しく感じていた人たちにとって、地元の人に「ありがとう」といってもらい嬉しく感じている子供達の様子をみると成長の場となっていると思います。
また、いずれの活動でもSDGs(※)を念頭に置き、活動しています。

SDGs(持続可能な開発目標)
20159月の国連サミットで採択された、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のための目標。2030年を年限とし、貧困や衛生面の是正など、17の国際目標が定められている。

防災マップの写真

子どもたちが自分の足で地域を実際に歩き、作成した防災マップ

共助社会づくり課

今年度は、ご自身のこれまでの経験を、学校で子供たちに伝える活動にも取り組んでいらっしゃると伺いました。

木村さん

グローバル人材育成センター埼玉が実施する、県内の小中学校や公民館などの教育機関に講師を派遣して国際理解教育を行う「世界へのトビラ」事業に派遣講師として登録し、国際理解を深めるための授業を行っています。
子どもたちに共通して伝えているのは、アフリカには勉強したくてもできない子供たちがたくさんいるのだということ。そして、私の過去の経験を踏まえ、夢を決して諦めないでほしいということです。

実は、私は現在の夫と結婚する前に一度離婚しています。シングルマザーとして、一時期はとても厳しい生活を送っていました。ですが、現在の夫など、様々な人との出会いに恵まれ、現在に至っています。
また、私は発達障害もあり、大勢の人の前で話をすることがとても苦手です。ですが、苦手だからといって避けるのではなく、挑戦して少しずつ克服していきたいという思い、ギニアをたくさんの人に知ってもらいたいと、学校での講演活動に取り組んでいます。

これらの経験を通して、夢を持ち諦めないでほしい、といつも伝えています。

学校で講演する木村さん

学校で講演する木村さん

共助社会づくり課

今まで活動してきて、大変だったことはありますか。

木村さん

今まで様々なことに挑戦してきましたが、全て楽しんで取り組んできました。大変だ、と思ったことは一度もありません。
たくさんの人との出会いにも恵まれました。

小さなことでも出来ることをギニアで支援活動に取り組んだことで、「ギニアを支援するためには、同じ志を持つ人たちで集まって活動することが重要ではないか」とNPO法人設立に踏み切ったという経緯もあります。

共助社会づくり課

2020年の活動予定を教えてください。

木村さん

2020年1月25日に、川口市にある彩の国ビジュアルプラザにて、糸や織物をテーマとした国際交流イベントを開催します。(※)
川口市、蕨市でもかつて盛んだった糸や織物という共通するテーマを通じて、クルドやギニアについて知ってもらうためのイベントです。
ギニアの民族衣装についてオスマン・サンコンさんに御登壇いただくほか、クルド伝統の音楽演奏や、アフリカ伝統のダンスを踊るプログラムなど、楽しみながら、地域に暮らす外国にルーツを持つ人への理解を深めてもらいたい、という思いがあります。

3月からはギニア現地に赴き、現地の女の子たちの就労支援の取り組みとして、テーラーの養成に取り組む予定です。ギニア現地で裁縫を仕事にしてもらうだけではなく、就労支援に将来は繋げていくつもりです。

※令和元年度埼玉県NPO基金共助社会づくり支援事業の一環として実施予定。

イベントでのワークショップの様子

これまでのイベントで実施した、蕨市の双子織とアフリカの布を使った切り絵を作るワークショップ

共助社会づくり課

今後の活動の目標を教えてください。

木村さん

ギニア現地での支援に、より積極的に取り組んでいく予定です。
現地では特に女性が就ける仕事が不足しており、テーラー養成を含め、就労支援に力を入れていきたいです。

また、今後取り組みたいと考えているのが、ギニアの井戸水やトイレなどの水環境の整備です。技術を持つ日本企業と連携して、ギニアの水環境改善を目指して活動したいと思っています。賛同いただける企業がありましたら、ぜひ御協力いただきたいです。

特定非営利活動法人ギニアこころのクリニックとおむすびの会

コバトンびん NPOデータベース・団体ページ
http://www.saitamaken-npo.net/database/kyoudou/group.php?mode=detail&id=180906161110

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