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トップページ > 活動レポート > 共助社会づくり課による取材 > 平成29年度 NPO訪問 > 特定非営利活動法人視覚障がい者支援協会・ひかりの森

特定非営利活動法人視覚障がい者支援協会・ひかりの森

点字名刺を知っていますか。

既製の名刺に点字を入れる「点字名刺」の制作で注目を集めている「ひかりの森」は全国でも珍しい視覚障害者のためのデイケア施設として平成17年に越谷市に開所しました。その後、平成22年10月にNPO法人視覚障がい者支援協会・ひかりの森を設立し、運営施設は「越谷市地域活動支援センター・ひかりの森」となって発展してきました。現在は視覚障害支援に加え、視力低下の不安について相談を受けたり、セミナーやイベントを通じた地域交流にも力を入れています。

 今回は、ご自身も中途の視覚障害者である理事長の松田和子さんにお話を伺いました。

松田理事長、大木さんの画像

理事長の松田和子さん、後ろは利用者の大木さん

  • 共助社会づくり課
    「活動のきっかけについて教えてください」
  • ひかりの森 松田さん
    「突然視力を失ってから、地域の社会福祉法人や団体を訪ねましたが、視覚障害のことはわからない、わかってもらえないと強く感じました。障害者はひとくくりにされてしまいがちですが、障害は同じではありません。そこで、視覚障害者のための訓練施設があるべきだと思いました。今では、目と生活に関わることについては全て、ひかりの森で引き受けようという思いです。」

  • 共助社会づくり課
    「利用されているのはどんな方ですか」
  • ひかりの森 松田さん
    「施設を利用されている方は、中途障害者の方がほとんどです。
    網膜の難病や緑内障、糖尿病などによって弱視(ロービジョン)になった方は、突然に、情報障害と移動障害に見舞われます。病院と自宅の往復のみで引きこもりがちです。
     ここでは、音声パソコンによって音訳図書を読んだり、メールでコミュニケーションをとることができます。パソコンを使うことで買い物も可能になります。適正な杖の種類や歩き方を教えてくれるところもなかなかないので、ひかりの森では情報交流や白杖歩行訓練などを行いQOL(生活の質)を上げていきます。
     残っている保有視力を活かす訓練(ロービジョンケア)では、できないとあきらめていたことも一つ一つできるようになります。」

  • 共助社会づくり課
    「ひかりの森にはどんな特色がありますか」
  • ひかりの森 松田さん
    「月曜日から金曜日までの毎日のプログラムを利用者自身で選んでいます。『障害があって大変ですね』、ではなく、当事者に自ら取り組んでもらうことで目的を掴み、もっと自分たちにできることがあるのではないかと可能性や役割を見出せる場所です。
    明日からのその人の再生を図るための場所になりたいです。
    その人が生活する地域に拠点があるからこそ地域に参加することができ、地域の人々にも知ってもらえます。
    そういう拠点が各市町村に、全国にあってほしいと思います。」

ひかりの森の様子画像

ひかりの森の様子。
穏やかですがとても活気があります。
火曜日(取材日)の活動はパソコン訓練のほか
生産活動(点字名刺)でした。

          にわとりのエッグスタンドとうさぎのカードスタンド                          やすりがけした木工品の販売も。
                          ※エッグスタンドとカードスタンド
たくさんの種類があり迷ってしまいます。   
                                  「好きな形で注文できますよ。」

利用者を代表して大木さんにもお話をうかがいました
大木さん
「中途の障害者は私生活にみな苦労があります。同じ環境を生きる人に会いたい。
ともすると日々の訓練だけでは物足りなさもあるかもしれないが、ここは単純な教習所ではありません。
ここに来るまでは、教習所には消極的なイメージもありましたが、来てみると、利用者は明るく元気で、目が本当に悪いのだろうか?と思うほどでした。
たいていの人は我が家にいればくつろげますが、ここは、障害のある人たちが我が家のようにくつろげる場所、家族のような存在です。
同じ環境の人がお互いに思いやることができ、勇気をもらえる場所、そこがひかりの森の一番すばらしいところです。
ひかりの森に通うと、人にこんな楽しさがあると人に教えたい、広げたい、分けてあげたい、
味わってもらいたい気持ちになります。」




  • 共助社会づくり課
    「点字名刺にはどのような思いがこめられていますか」
  • ひかりの森 松田さん
    「点字は視覚障害者にとっての言葉です。
    名刺に点字を打込むことで、名刺を見た方に、中途視覚障害者の施設があるということ、ひかりの森で訓練している人がいること、それを支援、応援している人がいることを伝えられます。
    中途視覚障害者が仕事を続けるのはとても難しく、また雇用もなかなかありません。
    少しずつ手で確かめながら名刺と機械の角を合わせ、点字加工に取り組んでいます。」

  • 展示名刺の調整作業画像
    打ち込む前に何度も調整します。「ぜひ注文をお待ちしています!」
  • 展示名刺の機械
    点字名刺の機械。全3台がフル稼働することも。

  • 共助社会づくり課
    「これから目指すのはどんな活動ですか」
  • ひかりの森 松田さん
    「自助、公助というのはできても、共助は意識しなければできません。
    ひかりの森を通して、共に助け合うことで力をつけ、お互いがいい時間を持てることを体感しています。この体験をつなぎ、全国に広げていきたいです。
    共助によって自分力がつけられ、周りへ感謝し、周りと一緒にやることでお互い豊かな時間が持てることはとても生産的だと思います。
    活動を通して探求していることをレポートにしてはどうか、などと勧められることもありますが、私たちは今を伝えていきたいと思っています。」

今後の予定

「現在、ひかりの森では高齢者施設や福祉関係の団体、教育関係者を対象にした見えない・見えにくい人たちへのサポートガイド『あるっく』のDVDを制作しています。リリースは9月1日です。
問い合わせはひかりの森まで」

特定非営利活動法人視覚障がい者支援協会・ひかりの森 ホームページ
http://npo-hikarinomori.com/