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特定非営利活動法人生活工房 つばさ・游

活動レポートでは、毎回NPO法人を訪問して、その活動を紹介しています。

今回は、小川町の里地里山の豊かな地域資源を活かして、「“小利大安”の下里モデル」の構築に取り組む、特定非営利活動法人生活工房 つばさ・游の理事長 高橋優子さんに同法人が運営する「ベリカフェつばさ・游」でお話を伺いました。

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       特定非営利活動法人生活工房つばさ・游

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        <小川町下里地区での有機農業への取組>

Q 小川町下里地区は、平成22年に国の農林水産省の表彰行事で「天皇杯」を受賞されました。
NPO法人生活工房つばさ・游 代表 高橋さん川町下里地区での面としての有機農業への取り組みが、「全国初」と高く評価されての受賞ということで、関東ブロックでの受賞は21年ぶりとのことですね。NPO法人生活工房つばさ・游は、どのように関わられましたか。

A 下里地区で40年来、有機農業で「霜里農場」を営む金子美登さんという方がいらっしゃいます。地球温暖化や経済不況など、環境の大きな変動に際して住民が将来のことを考えたときに、金子さんに学んで有機農業への取組を始めました。 

                                

      「代表の高橋優子さん」‣                                   

 当初は付加価値の高い農産物の販路に不安があり、有機農業への参加に躊躇する農家も少なくありませんでしたが、NPO法人生活工房 つばさ・游がマネジメント&コーディネートして、企業に、生産物全量を即金で買い取っていただけるしくみを作ったことで、農家が安心して参加できるようになり、下里地区としての有機農業取組へとつながりました。 

Q 全量買い取りというのはどのようなしくみですか。 

A ㈱OKUTA(さいたま市)さんの社会貢献プログラムとの提携で、有機栽培米を即金で農家が元気が出る価格で全量買い取っていただく「こめまめプロジェクト」や、小川町駅前の豆腐店 ㈱三代目清水屋さんとの提携で在来大豆「青山在来」の全量を買い取っていただくことで、安定した販路を確保できました。ほかにも「米作りから酒造りを楽しむ会」など、いくつかのプログラムを実践しています。(詳しくは法人のホームページをご覧ください)。

                          <べリカフェ つばさ・游> 

Q こちらの「べリカフェ つばさ・游」は、どのようなことから開店されたのですか。 

A 健康で長生きするためには、良い食材を食べる必要があります。小川町の有機野菜と女性の力を活用したコミュニティカフェを開きたいと思い、市民ファンド方式で資金を集めて開設しました。今のクラウドファンディングのはしりですね。おいしくて安全で鮮度の高い“規格外”の野菜を活用することで、地域資源の活用になります。コックをどうするかということで、日替わりシェフ方式にたどり着きました。主婦が交代で得意な料理を提供すれば、一人の負担が小さくなって、運営の安定につながります。5年目になりますが、助成金なしでやっています。

◂「べリカフェ つばさ・游 外観」

NPOコバトンびん NPO法人生活工房つばさ・游のベリカフェ 

 

 

 

 

「小川の和紙を使用した間接照明」‣

 

  

 

 

 

◂ 「この日のランチは、手打ちうどん。有機野菜の付け合わせも豪華」 

 

 
 

<「下里里山百年ビジョン」 ・災害に強い里山づくり>


Q 今、特に力を入れていることはなんでしょうか。

A どれも大事ですが、里地里山の保全活動にも力を入れています。

病気をせず、健康で長生きするためには、良い食材を口にすることが必要です。良い食材の生産には、良い空気と水が必要です。それらは山や環境が良い状態であることが必要です。里地里山の環境を保全して、「食」と「エネルギー」を自給できるようにします。

Q 間伐、植樹、下草刈り、といった活動でしょうか。

A 針葉樹の手入れだけでは十分ではありません。最近の災害を見ると、木が植わっているのに土石流が発生しています。なぜでしょうか。専門家に聞いて回って、ようやく、元信州大学の山寺喜成教授を紹介していただき、「保育ブロック方式による直根(ちょっこん)苗方式」で苗を育て、植樹をすることにたどりつきました。プラスチックポットで大量生産した苗の根は短くて丸直根苗方式栽培のためのポットまっていて、「直根」がありません。これを植樹しても浅くしか根を張らないので、地盤の弱い山になってしまいます。直根苗の生育には手間がかかりますが、これを植えればしっかりした根を地中深くまで張るので、崩れにくい、災害に強い山になります。樹種も、針葉樹だけではなく、広葉樹との混交林にしていきます。

山寺先生の御協力を得て、「下里里山百年ビジョン」を策定し、災害に強い、自然と人が共生する里山づくりを目指しています。

 

▴「直根(ちょっこん)苗方式栽培のためのポット」

 

             <“小利大安”の下里モデル>

Q 素晴らしい行動力とバイタリティですね。

A やらないで後悔するより、やって後悔したほうがよいですから。自分が、最後まで必要とされる人間でありたいと思っています。誰かに必要とされていることを自覚できれば、人は生きていくことができます。年寄りは若者を助けて、人と人が励ましあって、地域の資源を分かち合って、利益は小さくても、豊かに幸せに暮らしていくこと、これが“小利大安”です。人類普遍の根源的な、最も大切なこととして世界に向けて発信していきたいと思います。

人と自然、人と人との関係が有機的に結びついていること、無関心や無視といったことのない社会、持続可能な社会を子どもたちに残していきたいと思っています。
 

― 電車から見る小川町の風景が大変美しいのは、このような方々の努力の賜物かと思います。御協力ありがとうございました。― 

 

<参考>
特定非営利活動法人生活工房 つばさ・游 
http://tubasa-u.com/

関東農政局 豊かなむらづくり全国表彰事業 
http://www.maff.go.jp/kanto/kihon/kikaku/yutamura/index.html 

小川町オーガニックフェス~五感でオーガニックを感じる一日~
http://ogawaorganicfes2014.peatix.com/ 
2014年11月2日(日)開催!
11:00~15:00 小川町下里農村センター