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鶴ヶ島市学童保育の会

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 2009年10月25日、鶴ヶ島市でイベント『G-1グランプリinつるがしま2009』が開催された。全国からプロ、アマを問わずお笑い芸人を集めて、お笑いコンテストを開催。最終でグランプリを勝ちとったものに賞金100万円をという市をあげてのイベントだ。このようなイベントは珍しくないが、主催が「鶴ヶ島市学童保育の会」で、市との協働事業となると「学童保育が主催?」と首をかしげる人もいるだろう。

 学童保育室は仕事などで親が家に不在の子どもたちが放課後、過ごせるクラブである。お笑いとは一見つながらない。

 このイベントを企画、主催した「鶴ヶ島市学童保育の会」事務局長の浅見要さんに経緯を聞いてみた。

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地域の発信基地というコンセプトで運営

 「平成20年度の企画提案型協働事業制度に基づいて、こちらで企画・立案し、市との連携・協力により事業を実施することとなったんですね。たしかに子どもたちとお笑いは一見つながりませんが…われわれは、学童保育室を地域の発信基地だというコンセプトで今運営しているんです」

 この会は、鶴ヵ島市内にある7つの学童保育部門、児童館部門、地域のコミュニティレストラン部門の3つに分けて活動している。

 浅見さんは、公民館とは別にこういう施設、学童保育室のなかにも生活拠点になるものができれば、一つのエリアとして地域で充分に機能できると考えた。学童保育室からの情報発信、例えば防災や地域連携などを子どもとその親だけでなく、地域の高齢者、住民にも広げるというのである。

 「大きなイベントを地域に発信し、学童にも目をとめてもらう…」当会を地域連携のための拠点に、保育と地域の情報発信基地という形で地域連携を考えて今回の「G-1グランプリinつるがしま2009」につながった。

 学童と地域連携、なぜこの二本柱なのか。浅見さんによると「今、どの団体も事業継続が難しい。イベントを主体とするNPO団体は、事業継続が困難であれば撤退することもできる。しかし、子どもの成長に関わる学童保育は撤退するわけにはいかない。地域に馴染んだ施設は親も必要だ。当会は地域に情報発信するという位置付けで存続を図っていきたい」と語る。

 tsunaga09_tsurugashimashigakudou1.jpgG1予選、次は決勝へ!  tsunaga09_tsurugashimashigakudou2.jpg観客も熱くなった

 

なぜ「お笑い」なのか

 なぜ「お笑い」なのか。浅見さんによると若い世代がこの街に根付くように…と考えた上の判断だそうである。

 鶴ヶ島市は30年(1960年代後半)ほど前から都心のベッドタウンとして発展してきた街で近年、かつて埼玉都民とよばれた団塊世代が定年退職で地域に戻ってきた。高齢化も進み若い世代には街に根付いてほしい。そんな思いから街に人を呼び込み、子どもから大人までを楽しませるには「笑い」とみたのである。毎年当会各クラブでは地域に根付いたイベントを開催し、それはそれで成功している。しかし、あらゆる世代を巻き込むには、小規模なイベントでは無理だ。

 「もっとまじめなものを…」と異論もあろうが、「お笑いバトル」ならおおむね抵抗がない。全国に街を知ってもらおうというのである。

 この街出身の若い芸人などが登場し、事業に華を添えてもらえたのも大きな強みである。若き芸人『リトル清原』、売り出し中の『鶴』、『ハッピーエンド』、審査方法についてコミュニティレストラン「ここほっと」で打ち合わせる彼らは、この町の中学校や学童クラブ出身である。

 

フリーマーケットも開催された

 

模擬店も出て鶴ヶ島市の大きなイベントになった

 

地域の共同体としてこれからも続けていきたい

 今回のイベント、ただ人を集めて注目を集めるというものではない。街の人にもイベントへの理解を得、街に興味を持ってもらおうという主旨がある。そのため、学童約600人の子ども、親たちを含めて約1,200人にも活動趣旨を理解してもらい、この動員力をフルに活用してイベントを打っていく…その上で、街の人々を巻き込んで街の活性化を図る…という意図だ。

 この事業は行政との協働だが、ビジネスベースだけで考えるのは無理があると浅見さんは考える。

 「特に地域の共同体としての関係性がきちんとできていないといずれ破綻すると思うんですよ」みんなで盛り上げていこう!なにかやろう!と意識的なつながりを構築する、ただやればいいというものではないというのである。イベントや事業でつながりを構築するという意図的な意識がないとできないというものである。だから、今回このG-1については「これは仕事じゃなくて、ボランティアだよ。ただし、君たちにも得るところが多いと思う」とスタッフに言ったと話した。

 そのとおりで、日ごろの活動では知りえなかったことが体感できた浅見さんとスタッフである。若い芸人が舞台でみるのと違って、ネタをまじめに打ち合わせる姿、大会前の予選会場の女性センター「ハーモニー」に出演できること自体に感動する様子にスタッフも強い印象を感じた。学童のスタッフと同年代の彼らがアルバイトをしながらライブで修行を積んでいくことも知った。このような学童以外の世界の人と知り合えたのはたしかに得るところが多く、つながりができたと感じる。

 「演しものとしてはまぁ、ふざけた…お笑いですから…固いものじゃありませんよね。でも楽屋裏の彼ら、めちゃくちゃいいやつらなんで…なんかじわっときますよ」と浅見さん。

 新鮮な感動が子どもたちや大人にも伝わればいいと思う。中途半端な350人収容の施設は普通の興行では採算が合わないがライブや寄席なら350人は程よい。こういうG-1のイベントの合間に寄席やお笑いライブもできれば、それはそれでひとつの鶴ヶ島の文化を作るきっかけになる…新しい希望も出て今さらに一歩を踏み出す。

 

☆協働の相手からの応援コメント☆
「G-1グランプリ」について
株式会社タナカ 専務取締役 田中博之氏
 G-1グランプリ開催おめでとうございます。まさか地元鶴ヶ島でこんな楽しいイベントが行われようとしているなんて、知りもせず、知った時は本当に驚きました!またイベントのTシャツ制作やタレントのキャスティングでお手伝いをさせていただく事になり、実行委員会の方へお邪魔した際には、皆さんの熱い思いに感動しました!G-1グランプリから、いずれM-1グランプリ優勝者が出る日まで、ぜひ続けて行きましょう!