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都市づくりNPOさいたま

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tsunaga09_toshizukuri1.JPG多様な人々の参加による会議を運営(まちづくりを活性化する)

浦和、大宮、周辺の市が合併し、さらに大きくなった街、さいたま市。合併はその街の特徴を消し去ってしまうデメリットがあるともいわれる。 

 ここで紹介する「都市づくりNPOさいたま」の前身は浦和、大宮、与野の3市合併の話が本格的になる時期の1998年に設立された「新世紀都市計画研究会」である。研究会は、建築、土木、環境などの分野から都市づくりの専門家が集まり、設立した団体だ。2000年1月、新都市づくりへの提言書「第三世代の都市づくり-政令都市ビジョン2000」を発表、そして自費出版。 

 会の理事で活動の中心的な役割を担う三浦匡史さんは「都市づくりNPOさいたま」の設立の目的を次のように語る。

 「私たちは、都市づくりの専門家集団として、さいたま市を中心とした地域で活動しています。地域を支える人材の育成、交流を図るとともに、広く市民、企業、行政等とともに、都市づくり・まちづくりに主体的かつ継続的に関わって行くことを目指しています」

 

さいたま市の合併に提言

 提言書は、合併論議のさなかの旧市の主要な部署に提出したり、書店での販売を展開。そんななかで地元の街づくりに関わる企業や関係者から都市づくりに携わる市の担当部署から企画についてのいくつか問い合わせが入った。3市が合併し、さいたま市となった当時は、まだ任意団体ではあったがその活動は地域で認知されつつあり、新しい市のなかでも街づくりへの認識が芽生え始めた。ここで解散するのは惜しい…メンバーはみんな心残りで、継続的に市民参加の都市づくりを支援していく方策はないかと模索した。街だけでなく、生活全体を見渡して提言できる街づくり、その中間支援を継続するため2001年9月「都市づくりNPOさいたま」を設立し、2002年3月に法人の認証を受けた。

 

 

自分たちの街を考える

 会では、その後も「見沼グリーンベルト形成活動」、住民発意の地区計画の策定支援など、研究事業、市民活動支援、情報発信などの活動を通してこれからの「都市づくり・まちづくり」を提案している。「これからの都市づくり・まちづくりは、従来の行政主導型都市計画から、市民・企業・行政の協働による都市づくり・まちづくりに転換するとともに、各都市各地域が競い合いつつ独自の取り組みを行っていくことや自分たちの街のことを、自分たちで考えて行動することが重要です」(三浦さん)。自分たちの街のことを自分たちで考える…このことを実践しているようなこの団体の協働事例でユニークな取り組みを紹介する。

 

 

危ない自動販売機を調べる

 これは2002年に行った研究事業で、自動販売機の危険度調査。正式には「道路沿道における自働販売機等の設置物に関する実態調査」で、埼玉県消防防災課からの委託である。阪神淡路大震災の時、人的被害が多く発生し、被害が拡大した原因の一つに、自動販売機の転倒がある。転倒時の直接被害だけではなく、倒れた自販機が避難路を塞いで被災者の避難や救援活動の妨げになったことも大きいといわれる。自販機転倒の人的被害防止のための工夫がなされているか、復旧作業の障害とならないかという調査を、埼玉県全域をに広範なエリアで開始した。自販機がどこに、どれくらい設置されているかについてのデータはこれまでは無かったので、ひとつ一つ調べてまわるという大変な苦労を伴ったが、被害を未然に防げればとの気概をもって実行したやりがいのある事業だったそうだ。

 

tsunaga09_toshizukuri2.jpg市民(県民)のまちづくりへの参加をワークショップ等で支援する

次のリーダーを育てる

 2009年、県の都市計画課との協働で「彩の国都市づくりアカデミー」の企画と運営をしている。「地域のまちづくりの推進役となるリーダーの養成」が目的である。

 毎年公募で受講生を募り、リーダーとしてこれから活動しようとする方や、今以上に積極的に活動しようという皆さんに講義やワークショップ・体験学習等を通じて、地域活動を実践するための方法を学んでもらっている。これについて三浦さんは、「今後は行政組織の効率的運営の面からも市民や外部組織との連携が必要です。私たちは市民と行政の中間に立った都市づくり・まちづくりの専門家として、行政からも独立し主体的役割を果たせると確信しています。そのためには都市計画、土木、建築等のハード部門だけでなく、ソフトな分野も含めたさまざまな分野の専門家が、連携、協力できる場や仕組みを考えて行きたいと思います」とコメントしてくれた。

 仕事はリタイアしたが、自分が成し遂げてきた今までの専門分野を生かしたい…と考える人も多いだろう。そのような人材が適材適所で活躍できる場の提供…このような活動はNPOならではであろう。

取材に応じてくださった、三浦さんは都市計画コンサルタントであり福祉住環境コーディネーターでもある。同席された理事の安倍邦昭さんは生態環境専門家の立場で参加、生物との共生できる街づくりをめざしているとのこと。この団体の会員は実に多彩である。行政と連携をとった今後の街づくりに期待したい。

 

☆協働相手からの応援コメント☆

「彩の国都市づくりアカデミー」の企画について思うこと
埼玉県都市整備部都市計画課
 多様化する県民のニーズに対し、きめ細かなサービスを提供していくためには、行政とNPO等の連携・協働の重要性が一段と増しています。
 このような中、まちづくりにおけるNPOや市民団体の活動範囲は年々広がりを見せており、県内各地で様々な取り組みが行なわれています。

 県では、地域のまちづくりの推進役を育成するため、「彩の国都市づくりアカデミー」を開催してきましたが、本年度この業務の一部を「都市づくりNPOさいたま」に委託しました。「この都市づくりNPOさいたま」には、NPOが持っている経験やノウハウを、新たな人材育成や次のまちづくりへ活かしていくことを期待しています。
 今後も、NPOとの連携・協働や、県民のまちづくり活動への参画促進を図ってまいります。