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埼玉森林サポータークラブ

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林業の衰退、山村地域の高齢化、不在地主の増加等の様々な要因によって、日本の森林は管理が行き届いていないといわれている。そんな折、社会全体で森林を守り育てていく目的で、埼玉県がボランティアによる森林整備活動への参加を呼びかけた。これに応じた78名で1997年1月に発足したのが「埼玉森林サポータークラブ」の前身となった。その後会員、活動数ともに増加し、2002年4月、法人の認証を受けた。

  

豊かな森を次世代へ 

 会では毎月1回活動する固定フィールドが県内4ヶ所ある。事業として、年1回~3回活動するフィールドもあり、2008年度の活動実績は、年間114回、全て土・日・休日を利用、一般体験者も含め延べ2,500人余りが埼玉県の森づくりに協力している。こうした活動により、2005年緑化推進促進功労の内閣総理大臣賞受賞、2008年さいたま環境賞受賞、2009年地域環境保全功労の環境大臣表彰受賞と多くの評価を得た。

 「メンバーの皆さんみんな手弁当で、交通費も自己負担でこころよく参加してくれる。頭の下がる想いです」と会長の北村博さんは振り返る。

 

山の景観や生態系を取り戻す、針葉樹から広葉樹林への転換植林活動

 2009年3月、この会は埼玉県土地改良事業団体連合会とともに長瀞町の宝登山で植樹祭を行った。宝登山神社は岩畳とともに長瀞観光の中心地で多くの観光客が訪れる。しかし、山の植生はスギ・ヒノキが大部分で暗く単調である。この林が伐採時期を迎え、長瀞町では伐採跡地に四季の変化のある広葉樹を植栽し、水源の確保と町民や観光客にも親しまれる山にしたいと考えた。会では、50年、100年先を見据えた森林を目指して、伐採跡地の地ごしらえをし、植樹祭を開催した。県内だけでなく、千葉・群馬からの参加者もあり、ボランティア約240名が広葉樹11種類900本を植樹することができたそうだ。

 

技術の提供と作業のサポートで企業と協働

 2002年からは㈱NTTドコモ埼玉支社と協働して、「ドコモ都幾川(ときがわ)三境の森」づくりを進めている。

 主な活動は除伐、間伐、林内整理。企業から社員が参加し、広範囲にわたり作業している。参加者は山仕事などは未経験で、道具の使いかたもわからない。会のメンバーは、主にその指導とサポートに専念してともに働いた。大変な作業であったが、楽しみは昼食だったそうだ。現地でのバーベキューでは、参加者同志で反省点を含めていろいろな話ができ、連帯の輪が広がっていったという。

 

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力を合わせての間伐作業。まず安全重視。森での作業はなかなかきつい面もあるが、本当に楽しい。また楽しくなければこのような活動は長続きしないのだと北村さんが語る。身体は汚れ、疲れてくたくたになるが、人の役にって自然の中で心地よい汗がかけるのだそうだ

 

長瀞町の宝登山での植樹祭。大勢のボランティアが参加。宝登山神社は岩畳とともに長瀞観光の中心地だが、山の植生はスギ・ヒノキが大部分で単調だ。この林が伐採時期を迎えた長瀞町では、伐採跡地に四季の変化のある広葉樹を植栽し、皆に親しまれる山にしたいと考えた      

 

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ドコモ都幾川(ときがわ)三境の森で参加者皆さんで記念撮影。主な活動は除伐、間伐、林内整理。企業から社員が参加して広範囲にわたり作業している。参加者は初め、山仕事などは未経験で道具の手入れ方法もわからない

 

 

会のこれから

 今後はこれまで以上に森林整備に力を入れるとともに、里山体験や安全研修、自然観察会なども随時開催していきたいと会では考えているそうだ。頼まれれば、屋敷林や寺社林の手入れもするそうだ。また、さいたま市の見沼田んぼの周辺でも広葉樹で大きな森を造りりたいという計画も進行中という。

 北村さんは「森での作業はきつい面もありますが、本当に楽しい。楽しくなければ長続きしないのです」と語る。そして「身体は汚れ、くたくたになるけれど、人の役に立って自然のなかで心地よい汗がかけます。

 持参の弁当、こんなにうまかったか。そんな清々しさを家に持ち帰るのです。この活動を続けてきて本当によかったと思います」と結んだ。同会は常時メンバー、ボランティアを歓迎しているそうだ。いい汗を流してはどうだろう。