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コミュニティ活動支援センター

 
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 「コミュニティ活動支援センター」は、キリスト教プロテスタント学校法人の聖学院関係者が2001年4月に設立した。2001年10月には法人として法人の認証を受けた。

 本部は東京だが、活動の大半は上尾市の聖学院大学キャンパス内にある埼玉支部で、地域との結びつきを目的に行われている。

 

大学がNPOを立ち上げた理由

 ひと昔前、大学教育とは学問を教えること、学生は一般教養と専門の知識を身につけ、その知識を広く社会のために役立てていくものと考えられていたが、そこに一つ大切な落とし穴がある。大学内だけの教育、机上の学問だけでは、昨今の希薄な人間関係や個人主義偏重の考え方、地域の衰退という社会の多様な問題に太刀打ちできず、知識を十分に役立てられないことがわかってきたからだ。

 本来は大学も地域社会の一組織であり、大学教育と地域社会における教育は結合されてこそ有機的な力となる。大学での専門知識を生かすためには地域に目を向け、住民に向き合い、ともに手を組んで問題を解決していく、それが地域、街、県ひいては国を良くしていくことではないか。学校と地域社会総体の“ 教育力” の開発・発展のためには地域と連携を図る組織が必要になる。このように、社会的要請を受けて設立されたのが「コミュニティ活動支援センター」である。この組織の会員は教育者、教育関係者、学生それに地元市民である。

 

shiencenter1.JPG プロジェクトの努力が実ってよみがえった蛍

 

ホ、ホ、ホタルこい、自然よ蘇れ、人々の輪広がれ…

「ホタル再生プロジェクト」

 「地域との連携」はどのような活動なのか。いくつか挙げると、上尾市やまちづくり協議会クローバーと協働した地域の「桜マップ」づくりや「小学生絵画展」「グリーンフェスタ」、ここ数年続いている「ホタル再生プロジェクト」などである。地味だが、地域社会に着実に根付きつつある活動だ。

 日常的な活動には主にNPO事務局指導のもと、聖学院大学コミュニティ政策学科を中心に多くの学生が参加しているという。まず自分たちが学んでいるこの地域を元気にしよう、楽しくしよう、地道でも地元に目をむけた活動をしようという考えだそうだ。

 「ホタル再生プロジェクト」についてお聞きした。「かつて、ここの周辺には、ホタルがたくさん生息していた。ホタルが飛ぶ頃になると、近隣の人々がホタルを見に自然豊かな川に集い、人々の交流があったという。しかし、開発とともに、ホタルは姿を消してしまった。もし、ホタルがまた来たら、交流の場ができる。ホタルを通して自然との共生を地域の人たちと一緒に考える場所を作れるのではないか…そんな学生や教職員たちの思いが、2004年、『ホタルが住む環境再現』というホタル再生プロジェクトを立ち上げました」と事務局を務める鈴木美登利さんは言う。キャンパス内にビオトープ「光のせせらぎ」を作り、ホタルを飼育した。試行錯誤もあったが、NPO会員の教職員・学生が一丸となって維持管理している。年に一度のホタル鑑賞会「ほたる祭り」では、環境共生を考える地域コミュニティづくりにも取り組んでいる。地元もこの楽しい取り組みに対し親しみをもって見守っている。

 

地域の菜園を借りての「野菜全書プロジェクト」

 これからの時代大いに期待できる活動が「野菜全書プロジェクト」。地域の菜園を借りた野菜作りである。収穫した野菜は先生方や職員や希望する地域の方へ販売している。学生たちが農業体験を通じて収穫の喜びを知り、日本の農業を考える機会になっているという。このほかに、「フリーマーケット・模擬店」、「ふれあいステージ」、「小学生絵画展」「車椅子・高齢者疑似体験」などが開催される宮原商工会が主催するイベント「宮原ふれあいフェスタ」にも運営や出店で学生たちは積極的に参加している。

 

「ありがとうの気持ちをデナリで…」

 学内にボランティア団体を置いているこの大学には教育の根幹にプロテスタントの精神が息づいている。大学では学生たちが先生方の手伝い、キリスト教関連事業への参加、学内の清掃など活動に対して、「デナリ」と呼ばれる地域通貨が使われることもある。これはNPOが管理している。「デナリ」とは聖書に出てくるローマの通貨のこと。労働者の一日分とされている。ちなみに1 デナリは、学バス券等として使えるそうだ。

 「あくまでも学生に対する学内教育の一環ですが、いずれは地域に広げられたらとも考えています」とは運営管理責任者で学生にとってテューターのような存在の鈴木さん。現在ではあくまでも地に足をつけた活動優先と謙遜するが、校内、地域だけでなく、2007年の新潟県中越沖地震では、学生達は現地へ赴き、現地の人たちへの手助けと交流を行っている。現在も被災地との交流は続いているそうだ。地域との連携を深め、さらに大きく羽ばたくことを願う。 

shiencenter2.JPG学生たちの農業体験。

収穫の感動を味わう

shiencenter3.JPGふれあいフェスタin宮原。

踊りに参加の学生たち

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「デナリ」とは聖書に出てくる

ローマの通貨のこと。

労働者の一日分とされている。

 

☆協働相手からの応援コメント☆ 
 まちづくり協議会クローバー 会長 髙橋 良氏
 聖学院大学のNPOさんとは、2001年に「一緒にまちづくりを!」と有志が集まり、ともに「まちづくり協議会」を結成して以来の仲間です。私たちはどんな企画もこなせる!?ほどの多彩な人材に恵まれ、野外フェスタの開催をはじめ、竹炭焼きの窯まで作ってしまうほどでした。タウン紙を年2回発行しつつ、地域での認知も進んできました。今後も新たなメンバーをどんどん増やしながら、「地域にクローバーあり」といわれる存在であり続けたいですね。