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彩の子ネットワーク

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tsunaga09_sainoko1.jpg彩の子ネットワークの事務所とサロンは住宅街の中にある

声にならなかった母親の声

 1990年、彩の子ネットワークが埼玉県に提案して開催した「子育てシンポジウム」の壇上で、一人のパネリストが「赤ちゃんが泣き止まなかった時に、ベランダで子どもを抱いているこの手を放してしまえばどんなに楽かと思ったことがある」と発言した。公の場でそのようなことが言われるのは初めてだったが、会場の多くの母親の共感を得たという。子育てを応援されているとは実感できず、母親一人で行なっていると感じているのは貴女だけではない。母親自らが自分たちの手で自分たちの声を確かめ、広く世に発信し、子育て仲間で支援をし合い、話し合い、協力していくことによってそれぞれの問題を解決していくためのより良い方向性を見つけられれば…そんな思いで会を立ち上げたと代表理事の一人鈴木玲子さんと事務局の桐原陽子さんは語ってくれた。会では子育てから一生にわたり「お互いを支えあう地域社会」をつくることを目標に、「子育てサロン」「子育て支援センター」「赤ちゃんサロン」「横並び型アクションリサーチ」などの活動を行なっている。

  

親共通の関心事を話し合う

 ママたちのための「子育てサロン」では、母親共通の関心事である「子育て」について、喜びや悲しみやつらいことなどを、各自が自己紹介しながら「お互いの話は尊重する」「話をしたくないときは聞くだけでよい」「ここで話した事を外に持ち出さない」を三原則に話し合う場だ。話し合うことによって自分だけではなかった、こんな考えもあったんだと気付き、人の話を聞くことによってどうしたらよいのかと考えられるようになるという。開催日や概要を書いたチラシを作成し、運営しているさいたま市子育て支援センター「さいのこ」や上尾市つどいの広場「あそぼうよ」の施設内や公民館、子育てサークルなどに配布して参加者を募っている。話し合われる内容は「子育て」の話だけではなく「子どもとの関係」「夫や親との関係」「自分自身の行き方」など多岐にわたるので、小さい子を持つ母親ばかりではなく、高校生や大学生の母親など誰でも参加できる。

 

 

ミュニケーション

 赤ちゃんは赤ちゃんが大好きで、関わり合いをストレートに表現するという。関わり合いたい赤ちゃんのそばに近よっては、髪を触ったり顔を触ったり。気になったものを口に入れたり、他の赤ちゃんが持ってるおもちゃを取り合ったりもする。これが赤ちゃんのコミュニケーション。したがってそのときは黙って見守ってあげているそうだ。赤ちゃんサロン「ベビコミ」は2003年より埼玉トヨペット(株)本社の会議室を借りて開催している。1歳未満は毎月第2木曜日、1歳以上は第4木曜日の10時から12時までである。

 

高校生が作った手作り絵本

tsunaga09_sainoko3.jpg務所で働くスタッフはみな子育て中のお母さん
 

館保育

 2000年より開催している「こども夢未来フェスティバル」は(財)いきいき埼玉との共催、県市長会、町村会、教育委員会、社会福祉協議会などの後援で埼玉県県民活動総合センターにおいて3月に行われている。「子育て」に係るトークショーやセミナー、子育てネットワーク研修交流会などと社会福祉施設の模擬店や子どもたち向けの色々な体験コーナーがところ狭しと行なわれ、まさに全館が保育所となる。2009年度は地域や企業、行政も参加し、ブース数は90を越えた。展示公演、模擬店、モール、体験コーナー、セミナー、子どもも参加の制作コーナーなどで参加人員6,000名を上回る一大イベントになっている。

 この会は個人会員146名、団体会員24団体で、参加者総数は約2,400名という。会員は、拠点を置くさいたま市、上尾市だけでなく、県北は熊谷市や深谷市、県南は川口市、戸田市、県東は草加市、栗橋市、県西は秩父市までの県内全域にわたる。また、東京都、千葉県、栃木県、群馬県などもネットワーク化されているという。老若男女の区別なく全ての人を対象に、自立し、互いに尊重し、主体的に生きてゆく意識を持ち、自らの意志の元に行動し、世代を超え障がいを超えた「互いに支えあう地域社会」のネットワークが、声なき母親たちの声によって作られている。「子育て未来地図」や「母親発 虐待予防マニュアル 心の声に出会うとき…ここがはじまり」の出版物、VHS「お母さんの声に耳をすませて みんなで子育て」、DVD「団塊の世代と子育て 支援育つときも、老いのときも安心な地域社会へ」、「虐待を防ぐためにネットワークづくりと家族再統合への取り組み」なども発行。子育てサークルのリーダー研修事業、保育ボランティア養成講座、講師派遣など、幅広く活動している。

 

☆協働相手からの応援コメント☆
埼玉トヨペット株式会社
 埼玉トヨペット㈱の「はあとねっと輪っふる」は2002年4月に「すべての人が、分け隔てのない社会でともに働き、ともに学び、ともに暮らすというノーマライゼーションの実現を、一緒にいるという中から創りあっていこう」という目的で誕生した団体です。この理念に賛同する各団体、約500名で組織が構成されています。
 「彩の子ネットワーク」も賛同した団体の一つ。弊社の会議室を利用して毎月「赤ちゃんサロン」を開催しています。近くのマンションに住んでいる若い奥さんたちが8~10
組ほど利用しています。このように子育て中の方シニアの方、障がい者の方、健常者の方と様々なイベントをやるごとに大勢の方と交流を図り、人と人とのコミュニケーションをとり皆さんがつながって地域で支えあうことが出来ればうれしいです。