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水と緑の環境フォーラム

 

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 2008年6月14日 日高市巾着田曼珠沙華公園内で行われた植樹活動に参加した子どもたち

 

 

 

 ワンガリー・マータイさんという女性環境保護活動家がいる。彼女は祖国ケニアで豊かだった川や畑がなくなっていることに気づき、森林の大切さを考え仲間とともに7本の木を植えることから植樹活動を始めた。その後3千万本の植林を続けた「グリーンベルト運動」などで、環境から平和を推進したとして2004年にノーベル平和賞を受賞した。また、「日本語の『もったいない』という言葉は私たちの活動の真髄を表している」と、世界中で「もったいない運動をやりましょう!」と呼びかけ“もったいないのマータイさん”として日本をはじめ世界中にその名を知らしめたことでも有名である。 

 そんなマータイさんに出会い、心打たれた副理事長の伊藤恵里子さんは、マータイさんの意志に賛同し、(社)国土緑化推進機構や(社)全国子ども会連合会と協働して、2006年に「もったいないkids植林プロジェクト」という全国の子どもたちが植林を通して環境を学ぶプロジェクトを立ち上げた。子どもたちに「木を植える大切さ、木を守る大切さ」を教えるために森林ボランティア等の協力を得て全国各地で植樹会を行い、同時に「グリーンベルト運動」と「みどりの募金(国土緑化推進機構)」への募金活動も取り入れている。

 

 植樹活動を行うには協働が不可欠

 もともと広告代理店に勤めていた伊藤さんは「どうやったらプロジェクトが円滑に機能するのか」という所は熟知していたので、協働ははじめから取り入れるつもりだったという。

 「むしろ協働しなくてはできないものだと思っている」と伊藤さんは語る。農林水産省を訪れて、そこで山や土地のことが分かるかというとそうではない。地元に住んでいて、毎日山と接したり手入れしたりする人が必要になるため、植樹活動は一人ではできない仕事なのだ。実際に国内の森林のうち3割程度が国有林で残りの7割は民有林だ。これらが国の山だとか民間の山だとかそんなことよりも、むしろ山の木がどうなっているのか、陥落により押しつぶされていないだろうかということで、常に近くで見ているボランティア団体や地元の人たちが行動を起こそうとする。

 この会は、そんな森林と間近に接している人たちやボランティア団体の人たちが的確に植樹活動を行えるように、多くの機関との間に入って活動をサポートする立場にあるのだ。子どもたちが植林をしたいといっても近くにサポートするボランティアがいるか、その土地の所有者は誰で、そこには何を植えてはいけないかなども、コーディネートする立場の団体がなければ、結局、どうしていいか分らない状況に陥ってしまう。植樹活動における協働は不可欠な要素なのだ。

 

国際的な協働事業への取組

 また、国際的な協働事業として、地球温暖化の一因でもある中国の砂漠化を止めるための活動も進めている。

 地球規模で考えた時に何かできることはないかと、日本の企業と協働で、中国の農村地域で廃材として燃やされる麦わらや稲わらを加工し、パーティクルボード(床や壁などの下地材などに使われる木質ボード)のような「バイオボード」と呼ばれるものを製造。日本に輸入し、一枚使用するごとに募金を得るというシステムを確立。そこから集めた募金を「緑の募金」に寄附をして、中国の黄砂を起こす土地に植林を行う団体に協力している。

 建材を購入し、その建物を購入する日本人が、地球のCO2排出削減と、黄砂の飛来が一因とも考えられる多くの植物の命を守ることに協力できるという企画だ。

 伊藤さんは「特定の大きな組織のバックアップに頼ることなく、うまく循環させて継続的に自立できるシステム作りを目指している」と語る。そのためにも協働は不可欠で、互いの役割をつなぐこの団体の存在も不可欠だと感じた。

 

☆取材を終えて☆ 
 木の成長は非常にゆっくりで、人と重なる部分がある。種を植え、自分で木を育てるということは子どもたちの成長にも繋がっていくという。木を植えるという作業を通じて「木ってこんな小さいところから植えるんだ」ということに初めて気付いた子どもたちは、はしゃいで楽しそうにしているという。植樹活動を行うということは、単に問題解決に向かうためのものではなく、子どもたちの考え方やその後の人生に大きく影響していく大切な時間になるだろうと感じた。