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メイあさかセンター

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 マレーシアのマハティール首相(当時)が「(日本は)困ったときの友人」と述べたように、日本との良好な関係を示しているマレーシアと、絵を通じてさらなる友好を深めているのが「メイあさかセンター」である。絵を通じてというと少々堅苦しいが、実際には両国の教育機関と協働して、朝霞をはじめとした日本とマレーシアの子どもたちが描いた絵をそれぞれ交換し、巡回展覧会を開催するなど活動を行っている。

 

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 店内に飾ってあるマレーシアの子どもたちの絵の前で

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 「ミニディサービス」の風景

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 メイあさかセンター

ミニディサービスサテライトサロン

始まりは子どもたちの絵の交換から

 1987年にこの会がマレーシア・ペナン州に朝霞第四小学校の児童画を持参し交換したことから、マレーシアと日本の間での絵の交換が始まった。両国の子どもたちがお互いのことを自分の目線で分かり合おうということで、この活動はあっという間に広がり、現在では朝霞市の全部の小中学校と、県内4つの小中学校が参加している。交換する絵の数は一度に1,000点、年間では4,000点以上にも上り、これまでの枚数を合わせると合計3万点以上の絵の交換が行われたそうだ。

 両国における絵の交流は、マレーシアでは5つの州(ペナン州、スランゴール州、首都クアラルンプール、サバ州、ペラ州)の6拠点で文部省直轄の州教育局や州立図書館といった機関の協力(カウンターパート)を得て実施している。

 

現地スタッフによる取組

 代表理事の尾池富美子さんは、マレーシアにある同センターの現地局員(日本人)に国際電話回線で連絡し、現地の活動の様子をいくつか教えてくださった。サバ州はとても広く、これまでも20か所以上の場所を回り、時にはジャングルを越えて展覧会を行うことがあったという。町から離れた小学校で、生徒と先生すべて合わせても50人しかいない中で行った展覧会が一番印象に残ったと現地局員の方はおっしゃっていた。

 また、現地局員の方は、日本からの会員と現地を駆け足で走り回る時も、交換会に訪れた先でも、現地代表(マレーシア人)の方のマレー語を自ら通訳しているとのことであった。マレーシアの大学で日本語を教える立場でもあるそうで、「つたないマレー語ながらも、これからもマレー語で通訳するということにこだわりを持っていきたい」という。

 このように日本側と現地スタッフが協力し合い、活動を続けてきたこの20年間で、マレーシア各州では絵を交換するだけではなく州ごとに特徴のある活動を行い、日本からの物的支援についても5年で終わらせることができるようになったそうである。 

 マレーシアから日本への研修生の派遣も可能となり、同センターの関係者が訪れた時の受け皿として、図書館や教育局だけではなく地方の行政とも協働が進むことになった。現在マレーシア・サバ州にある国立図書館の職員であるドロティさんは、2004年に埼玉県の費用で半年間、県立図書館・県民活動総合センター等で研修を受けた。その後マレーシアに戻り、様々な地域活動、特に日本で子どもたちに対する教育を受けたことをきっかけに、子どものためのイベントのリーダー的存在となって活動しているとのことであった。

 

☆協働の相手からの応援コメント☆
「朝霞をマレーシアの子どもたちの絵でいっぱいに」
ビーンズ&カフェ「珈琲えぽっく」 吉岡修氏
 「メイあさかセンター」代表理事の尾池さんは、よくこのお店に来て下さっていました。そんな折、尾池さんのほうから「店内に何もないので是非子どもたちの絵を飾らせて下さい」と頼まれたのがきっかけで店内のコーヒー豆販売スペースに飾らせていただいております。マレーシアの子どもたちの絵は色彩感覚がとても素晴らしいが、それ以上に誇りのようなものを感じています。絵が発信するパワーをもっと多くの人たちに見てもらいたい、そのお手伝をしたいと思っています。コーヒー豆を買う時にお客さんから「この絵いいね」と言わることがあって、それがきっかけで「メイあさかセンター」に興味を持たれるお客
さんも多くいます。これからも店内に飾る絵を定期的に増やしていき、またこの店と同じような店が増えて朝霞が絵で溢れることを願っています。

 

☆取材を終えて☆
 マレーシアの学生はものすごく真面目なので、実際にはわざわざ授業を抜け出してNGOに参加する学生は少ないという。両国の橋渡しとなる研修生や留学生の受け入れ制度はこれからもお互いの交流を深めていく上で重要な役割を担っていくと思う。また国内での活動においても同センターでは、他の団体では珍しい企業からの研修生を受け入れている。そのほか、「小さな集い」と呼ばれる高齢者を対象とした事業を行っており、月1回の活動を主に、市からの助成を受けて2か所でミニデイサービスを行うなど、多種多様な分野にわたって活動を続けているそうだ。
 「マレーシアの子どもたちと絵の交換を」というシンプルな活動から始まった交流は、州教育局や図書館の力を借りて、各州が自立して活動し、研修生を派遣できるまでに成長した。今後も引き続き、同センターが両国の友好と発展に大きな役割を果たしていくことを強く感じた。