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川口市民環境会議

 

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 1962年の映画「キューポラのある街」の舞台となった川口。この街で環境分野の活動を展開しているのが「川口市民環境会議」である。

 2009年は“エネルギー”をテーマとした「エコライフDAY」、川口市内の伐採された植木等を使った「川口マイ箸プロジェクト」「レジ袋無料配布中止」への協力など意欲的でユニークな活動を展開している。

 

私たちが今できることはなにか

 

 代表理事の浅羽理恵さんにこの会の趣旨を伺うと「地域の中で環境を守る行動を起こすことです。地元の川口市を構成する市民、事業者、行政、教育機関などのさまざまな主体が、理想的なパートナーシップの下に環境問題の解決法を考えて、市民の行動を促し、社会の仕組みを環境に配慮したものに変えていくことです」と語る。その姿勢は前向きだ。環境問題、特に地球温暖化問題が深刻になっている現在、その解決のために、被害者であり加害者でもある私たち“ 一人ひとりの行動” が求められているというのである。

 「多くの人々が行動に移すようになれば、それはとても大きな力となります。私たちが今できることは何かを考えてきました」と浅羽さん。この会の前身は1999年に設立した任意団体「川口市民環境会議」だ。設立当時から市民が行動するきっかけづくりとしての事業「エコライフDAY」や、学校等での環境学習をサポートする事業「環境出前授業」、市民の環境への取り組みをより活発にするための事業「環境フォーラム」を実施してきた。それまで述べ15万人以上にそのサービスを提供してきたという。一層の取り組みを拡大し、行政や企業との連携を強くしたいとの考えで2006年4月、NPO法人の認証を受けた。

 

エコライフDAYが県の取組に

 「エコライフDAY」とは「年に1日、みんなで地球温暖化防止にチャレンジしよう」という日を6月の第2日曜日と定め、「エコライフDAYチェックシート」(1日版環境家計簿)を使って、環境のことを考えた生活をしようというものだ。チェックシートは回収して集計を行い、成果を二酸化炭素の削減量として発表している。できるだけ多くの人が地球温暖化問題に関心を持ち、行動するきっかけとなることが目的で“1日の取り組みであること”“参加者がエコライフ行動をすること”“削減効果の視覚化”の3点が特徴だ。

 会ではこの取組を活動の柱として任意団体の頃から続けてきた。これに埼玉県が注目し、この活動をモデルとした県事業が2005年から始められた。また県だけでなく、県内の市町をはじめ徐々に全国の自治体などに広がっているそうだ。

 地元では、川口市の2000年ミレニアム事業「市民提案夢づくり事業」として採択され、以来、川口市、川口市教育委員会が共催となっている。川口市と共催となり、県や市が広報したことで参加者は大幅に増えた。2008年は、参加者69,579人、削減二酸化炭素量は4,635,163g(4.6トン)となり、杉の成木が1年間に吸収する量の333本分に相当したという。そして、2009年は参加者72,169人、1日で減らせた二酸化炭素の総量は50トンとその成果は年々増大している。

 「エコライフDAY」に参加した人からは多くの感想が寄せられ、スタッフ一同大感激で整理に追われるそうだ。印象に残った感想をお聞きすると、小学生の書いた「くるまをやめて歩こう」、「うちわで涼むみんなでやれば暑くない」などがあったとのこと。文章は拙いが、添えられるイラストに気持ちがこもっていたそうだ。「子どもたちがこの気持ちを持って成長したら素晴らしい、そんな期待と夢が広がります」と浅羽さんは語る。

 

2009年6月14日のエコライフDAY

川口駅前「そごう川口店」にて市民の皆さんに参加を呼び掛けているメンバー

 エコライフDAYのチェックシートを集計している、市内そろばん教室の子どもたち

 

 

 「チェックシート(一般用)」

2009年6月のエコライフDAYに使用した、チェックシート

思いをこめた市民への呼びかけが広がる

 そしてさらに「環境フォーラム」と「チャレンジ・エコライフ」へ活動が広がっている。これも川口市と協働した取組である。

 「エコライフDAY」や環境出前授業でいただいた子どもたちの声を、多くの児童・生徒、先生方はじめ、地域の人々にも共有してもらいたいと開催したのが「環境フォーラム」だ。

 「チャレンジ・エコライフ」は、「エコライフDAY」の10周年記念事業として実施。2,000を超える世帯に、8月の1ヵ月間、電気やガスの省エネにチャレンジしてもらい、多くの市民が省エネ意識に目覚めた。この会では、全国規模でCO2削減に取り組むMAKEtheRULEキャンペーンの参加団体として、気候変動を防ぐ法律をつくろうと訴えている。あるべき未来を描き、政治を動かし、この国に新しいルールがつくられることをめざす地球規模の環境活動だ。

 浅羽さんは、大学在学中に衛生工学を学び、職場では水処理の仕事をしていたそうだ。環境問題に取り組むリーダーとして、益々の活躍に期待したい。

 

☆協働相手からの応援コメント☆
川口市役所環境総務課
 2006年度から“共催”となった背景として、スタート時は約1万7千人の参加者が2005年度には約3万7千人を超し、NPO法人単独での実施が厳しくなってきたこと、市では「地球高温化防止を市民と協働で推進する」取組みを模索していたことから、協議のうえ共催となりました。しかし、当時は“協働”の定義が明確でなく前例もなかったことから、当初はお互いの意見が合わず、時間のないなか、事務作業の打合せではなくお互いの意見をぶつけ合うことが先でした。実際にNPO法人と1つの事業を“協働”で実施して感じたことは、同じ作業を一緒にするのではなく、お互いのスタンスや考え方を良く話し合って理解し、行政とNPO法人の得意とする分野を確認し合い、お互いの役割分担を明確に決め、それぞれの役割をしっかりこなせば、各々が単独で事業を実施するより、より良いものとなると感じました。” 協働” の成功の秘けつは、良く話し合い、お互いの考えかたや立場を理解し、事業をより良くしていこうとの同じ気持ちが持てるかが一番大切と考えています。