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グリーンフォーレストジャパン

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 日本の国土のおよそ67%を占める森林。生態系も含めて私たちの生活になくてはならない存在である。

 かつて森林ボランティア団体で活動していた代表理事の横路美喜緒さんは、ボランティア団体が抱えている問題に気付いたという。それは、それぞれのボランティア団体の特徴が異なるため、相反し、衝突し合うことがあるということだ。そんな各々の団体の位置付けや役割を見極め、まとめてあげてきた横路さんは、この問題の解決に向けて事業性の高い特定非営利活動法人を立ち上げた。それが2008年3月に法人の認証を受けた「グリーンフォーレストジャパン」だ。
 もともとマーケティングを本業としている横路さんは、森林事業のプロデュースを法人の活動の主体とし、行政や企業との協働に取り組んでいる。森林で整備した木をどう生かすかということが今大きな問題となっており、またこれからの課題ともなっているため、埼玉県の森づくり課と一緒に、山側と下流地区にいる消費者たちを繋ぐ業務の手伝いも行っている。

グリーンフォーレストジャパン.jpgエコプロダクツ

(東京ビッグサイト)で

発表する横路さん(右)

 

西川材など県産材を使った家づくりを
 その一例が家づくりである。家を建てる際、西川材を代表とする県産材の活用を進めている。いわば地産地消の一形態である。2003年から2004年にかけて、秩父郡大滝村の村長が「この村の木を一本400円で売ってもいい」と話して皆を驚かせたそうだ。これだけ安ければ買い手が殺到するだろう、と思われたが実際はそうではなく、大滝村の木を買う人はほとんどいなかったという。なぜなら原木の値段というよりも、むしろ木を切り、流通させるためのコストの方がはるかに高いからだ。資金面でいうと行政の協力がないとなかなか難しい問題なのだ。
 また一般的な住宅における木材のコストは、全体の10%もかかっていないというから驚きだ。およそ2,000万円の家の木材費用は、大手メーカーのものであっても160万円程度だという。建築費用の大部分は設備費などで占められ、高級木材を使用してもせいぜい200万円くらいということは一般的にはほとんど知られていない。


行政や企業、団体等との協働による「木づかい運動」
 このようにグリーンフォーレストジャパンでは、「木は高いものではないんですよ。日本の木を使いましょう」ということを広めるために、埼玉県と協働して2008年から「木づかい運動」を始めた。行政が中心となり、木材協会、製材団体、ハウジングメーカー、食品スーパーなどの企業、団体および応援団なども参加し、定期的に会合を行っている。木に関わる方々が埼玉県産の木を使いコーディネートするお手伝いを行い、その仕組みを企業が担当するといった構図だ。この運動を始めた同じ2008年には、上流地区から下流地区にものを流す仕組みを考えようと行政との連携により「木づかい運動マーケティング勉強会」を開催した。
 このほかにも、CO2削減20%達成などの問題も真剣に考えていかなければならないという。低炭素社会をどうやって作れるかということを具体的に考える際には、森林との関わりが大きな問題となってくる。
 多くの人たちが協力できる体制を目指し、2008年には林野庁と協働して秩父郡横瀬町に「鬼太郎の森づくり」をスタートさせた。木の上にツリーハウスを作り、子どもたちと一緒になって楽しみ、同時に植林やCO2における森林の意味合いを考えていこうという運動である。

☆取材を終えて☆
「木づかいが家を建て、家を造りあげることは協働のひとつの成果」と横路さんはいう。協働の魅力とは、それぞれの顔が見える位置関係にあることだという。通常家を建てる際、大工さんなら顔が分かるが、大工さんが使っている丸太から木材にする製材屋さんの顔は見えてこない。同じく、丸太を育てている人の顔も見えない。そんな時に素材の一本一本が目に見える形で、多くの団体と一緒に家造りを行えばそれは本当の意味での協働事業になるという。顔が見える家は住んでも訪ねても安心できそうだ。