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国境なき楽団

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 「国境なき楽団」とは、代表理事の庄野真代さんが2001年5月に大学の学生有志で始めた任意ボランティア団体「TSUBASAmusic デリバリー」をベースとして、2006年3月に法人の認証を受けた。 

 国境なき楽団では、4つの大きな柱の「TSUBASA」「海を渡る風」「音倉-おとくら-」そして「セプテンバーコンサート」のもとで様々な活動を展開している。

 

「TSUBASA」~異なる小さな羽を合わせて大きな翼となる~

 1つめの「TSUBASA」とはその名に由来するように、異なる小さな羽を合わせ、大きな翼となり、いろんな人のところへ飛んでいく、異なる立場の人々のもとへ音楽を届けるというプロジェクトである。施設や学校などを訪問して行うコンサートやイベントなどに演奏家を派遣する協働コンサート、またシニア向けのワークショップなども行っている。また、災害時には義援金を募るチャリティーコンサートを開催したり、養護施設などの運営資金を集めるためのイベントにも積極的に協力している。文化交流コンサートも重要な活動で、国内外の音楽交流や活動促進にも努めているそうだ。「TSUBASA」リーダーの加藤実さんは、音楽の持つパワーが人や社会を明るくすることを実感しているという。2008年にはステージトラックを所有し、日本の家庭から寄贈された楽器を積んで、子どもたちの施設を訪問し、子どもが自由に楽器に触れて音を鳴らすことにより、心に抱えている不調和を少しでも緩和させるという音楽セラピーの試みも行っている。

 

「海を渡る風」と「音倉-おとくら-」

 2つめの「海を渡る風」は世界の子どもたちに楽器を送る活動である。政治経済や学問よりも音楽が得意なこの会は国際支援や世界平和のために音楽をツールに選んだ。「君を応援しているよ!」というメッセージを楽器に託したのである。「眠っている楽器はありませんか?」という呼びかけで集まってきた楽器は、ボランティアの手を経て海外に届けられるほか、国内で販売して楽器のメンテナンス費用などにも充てられる。海を越えて届けられた楽器は、子どもたちの手に触れて新たな生命を持つだろう。

 3つめの「音倉-おとくら-」は、みんなが集えるコミュニティ・カフェとして2009年夏に下北沢にオープンした。カフェ、ギャラリー、ライブハウスの3つの機能を持ち、中古の楽器やCDなどの販売も手掛けていて、この会の活動を陰ながら支えている。「海を渡る風」で集めた楽器の一部もここで販売している。この会にとっては、活動費を補い、ミッションをあらゆる面でサポートする、まさに” 縁の下の力持ち” 的な存在なのである。

 

 

 

同時多発テロからスタートしたセプテンバーコンサート

  

 

 

2009年9月12日に行われた久喜菖蒲公園での

セプテンバーコンサート

 

テロから始まった「セプテンバーコンサート」

 2009年9月12日、たくさんの人が久喜菖蒲公園に集まりセプテンバーコンサートを楽しんだ。セプテンバーコンサートとは庄野さんを中心に様々なアーティストが平和のために音楽ライブを行う、この会のメインプロジェクトのひとつである。2001年9月の同時多発テロをきっかけにニューヨークで始まったもので、主催者のスミスさんとその友人である庄野さんが2004年9月にニューヨークで開催されたこのコンサートに参加し「日本でやりましょう」と意気投合した。翌2005年9月に東京を出発点とし、それ以来毎年9月に開催している。

 この久喜菖蒲公園でのセプテンバーコンサートは「久喜菖蒲公園をよくする会」の協力を得て開催した。この会は、久喜菖蒲公園の指定管理者である日本環境マネジメント株式会社と「特定非営利活動法人NPO埼玉ネット」の連携のもと生まれた会だ。この会からの「NPOの繋がりの中で平和を目指すために会場をお借りしたい」との申し出に同社が快諾して開催する運びとなった。

 また、当日公演に訪れていた「川口龍虎太鼓」さんの提供で、本来なら多額の費用がかかるところをほんの少しの費用で会場内の照明を設置していただくことができたそうだ。

 庄野さんはこの日、ステージでこう話した。「みんなが自分の手でコンサートを作り、いろんな形で参加する。行動を起こすことで平和の創造への第一歩を踏み出しているんだということを感じ合うために、毎年セプテンバーコンサートを行っているのです」

 国境を超えて人と人とが音楽で通じ合い、平和への道を一緒に歩き出していくという願いを込めて、この会はこれからも人々の心を繋ぐ音楽を届けていくだろう。

 

 

☆協働相手からの応援コメント☆ 

日本環境マネジメント株式会社

 久喜菖蒲公園は、指定管理者である弊社と「NPO埼玉ネット」が協働して、毎月第4日曜日を中心にコンサート、フリーマーケット、NPO活動の紹介等のイベントを協働して開催しています。特に9月にはコンサートの集大成として「星空コンサート」を開催していましたが、2008年より「国境なき楽団」の協力を得て「セプテンバーコンサート」へと形を変えました。多数の県民の参加と協力を経て、イベントも定着してきたことと思われます。今後ともNPO団体と協働し、活動していきたいと思っています。