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埼玉カウンセリングセンター

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 「埼玉カウンセリングセンター」は、もともと学校、病院などで働くカウンセラーがより多くの人たちの心のケアに携わりたいと始めた。心の悩みが重くなる前に気軽に相談できるところがあれば悲惨な状態にならずにすむという。一般の人に対しても心のケアについて啓発ができればという思いがあって設立された。 

 日々の活動としては、1相談 2研修 3研究 4派遣といった活動が中心で、心の内の悩みを話せる相談室があり、またカウンセリングのことや「自分を知る」セミナーなどを随時開設している。セミナーではカウンセラーの資格を取るための研修会も行っている。 

 

 

活動概要をわかりやすく公開する

 埼玉カウンセリングセンターは数多くの協働事業の実績を有している。いくつかあるなかで、主なものを上げてみると?いきいき埼玉と組んだ「いきがいカウンセリング」(2005年)。

 これは、埼玉県県民活動総合センターの相談室を使い、訪れてくる人と面談でカウンセリングを行うという事業。

 また、東京家政大学との協働(2007年)では、大学の地域連携協力推進センターで再チャレンジ学習支援講座として、一般の人を対象にコミュニケーションの上達法や対人関係について勉強する生涯学習の提案を行った。

 このようにNPO団体にとって、得意分野を生かせる協働の依頼が来ることは理想的である。では、どのような経緯でこのような依頼がくるのだろうか。この協働依頼について代表理事の高倉恵子さんは、最初から協働を意識していたのではなく、日々の活動の積み重ねで話がまとまったのだと語る。活動の目的や主旨を機会あるごとにアピールしてきたのだという。

 「特にホームページを活用して活動記録を残しているんですね。講師など人材の派遣や無料の電話相談、子育て相談、うつの相談などテーマを絞り、コンテンツで詳しくホームページに載せてきました」

 ホームページを見て協働を依頼する相手は具体的なテーマを携えてくる。

 このホームページによる広報は一般企業では常識である。ネット上で広く“ 見られる” からだ。このセン

ターを訪れる相談者も事前に公式サイトでチェックしているという。日常の活動を記録して発表することは、大事な要素だと改めて気付かされた。

tsunaga09_counseling1.jpg2008年度「災害危機における独居高齢者、障害者支援事業」

で県内にはメンタルサポーター71人が生まれた。

メンタルサポーター研修会(浦和会場)

    

tsunaga09_couseling2.JPGメンタルサポーターをサポートする有資格者、

アドバイザーもいる。

アドバイザー研修会(2009.1.24)

 

協働の良さとやりづらさ

 「悩む方たちがここに電話してきたことによって救われたのだという確信をもって、こちらも相手方にアピールしていきます。」高倉さんに協働の魅力を伺うと「いろいろな協働と相手によって活動がさらに広がること、より自分たちの個性やできることが浮き彫りになるということです」と語る。一方でカウンセリングという自分たちの活動内容がはっきりしているだけに、協働しやすいと感じるときと「協働の必要性を理解してもらうのが難しい」と感じるときがあるそうだ。高倉さんは、「カウンセリングそのものをイメージで捉えており、どのようにして人を癒していくかについてはご存じない方が多いんですね」と感想を述べた。うつや子育ての相談事業の件を例にとっても、「相談する人がどういうところで悩んでいるかについては、その人によって違うのだからわからないのは当然のことです」と語る。イベントであれば、チェックシートによる一般的な性格判断などを体験してもらうという方法で、協働相手側に成果を示しやすいのだが、深い悩みを抱えた人たちのカウンセリングともなると内容は個人情報、具体的な内容は公表不可である。結果が公表できるとすれば相談の件数、年齢層といった表面的な話までで、その効果となるとアピールしづらい。協働相手との考え方や進め方の相違は、話し合いを重ねて解消していく。これによって自分たちの進む方向がはっきりし、また、そこから新たな企画も生まれると高倉さんは話す。

 

災害時における新しい協働も企画中

 このセンターでは、2008年度、「災害危機における独居高齢者、障害者支援事業」(独立行政法人福祉医療機構の助成事業)の一環として「災害時におけるメンタルサポーター養成事業」を県内の社会福祉協議会の協力を得て行なった。その結果、県内にはサポーター71人、それをサポートする有資格者15名が生まれメンタルサポーターのグループができた。

 メンタルサポーターとは、避難所で災害救助や炊き出しなどを行う他のボランティアグループとともに、荷物を運び、テントを設営したりしながら、被災者の心の部分のケアを行うのである。

 災害時、心のケアはとかく後回しになる部分。思わぬ災害で肉体的にも精神的にもダメージを受け、耐え難い状況に我慢し続ける人や、自分の気持ちを伝えられない人も多数出てくる。そんなとき、例えば避難所にいる人たちの話を聴いて被災者の言動から心理状態を測り、深い傷にならないように早めのメンタルケアをしていきたいと高倉さんは考えている。

 このほか、民生委員や社会福祉協議会に所属している傾聴ボランティアの応援も考えている。災害を想定して普段から独り住まいの人たちを支援している彼らをメンタル部分で支える活動である。

 この協働が実現することを期待したい。