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荒川クリーンエイド・フォーラム

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 「荒川クリーンエイド・フォーラム」の活動は、川の水質や自然の回復などを願い、次世代の子どもたちにきれいな川として残そうと始まった。1994年、流路延長173kmの荒川の赤羽岩淵から下流部約22kmの人工の川、荒川放水路の通水70周年を記念して、荒川河川敷を市民、行政、様々な人々が一斉清掃をしてゴミを除いた。以降16年、毎年ゴミ拾い・ゴミの調査・水質検査を続けている。「クリーンエイド」とはクリーン(きれいにする)+エイド(助ける)の意味の造語。 

 

ゴミ拾いから企業のCSRまで

 始まりは、戸田市、川口市と東京都の下流9区板橋、北、足立、荒川、葛飾、台東、墨田、江戸川、江東であったが、現在は、最上流が秩父市の会場から、最下流会場の葛西海浜公園東なぎさまでの会場100ヵ所以上。年間参加人員1万人を超えるまでになった。一年間のうち、メインは秋で、81会場、そのうち一般の人がすぐに参加できるのが43会場。各会場を主催するのはNPO法人、市民グループ、行政、学校、通信業界、IT業界、銀行業界、スーパー業界、コンビニ業界など様々な企業の社員や家族、学校などが参加している。

 企業側もゴミ拾いという簡単でわかりやすい協働を通して、企業が社会を構成する一員としての社会貢献、地域貢献、環境保全という意識が高まった。また、社会的責任であるCSR(CorporateSocialResponsibility)が重視されるようになって参加企業も増加している。企業の社員育成の一環として新人研修プログラムに組み込んで1つの会場を運営していくという場合もある。また、企業をリタイアしたOBのボランティア、労働組合の人々の参加もある。

 会場を主催する団体は、この会が開催する実施説明会に来てもらい、実施方法を学び、共通の調査カードや実施マニュアル、ゴミ袋などを使って、それぞれの団体が主体的に会場を運営する。また、この会がインストラクターを派遣し、サポートする場合もある。

 

cleanaid2.jpg荒川土手に集まったクリーンエイド団体

cleanaid2.jpgクリーンエイドにいざ出陣

 

cleanaid1.jpg2009年度のチラシ

ゴミから見える川の浄化

 各会場では、参加者がゴミを分別し、数えながら拾う。集めたゴミは、市区町村や国土交通省荒川下流河川事務所などと連携して処理をする。実施会場主催・呼びかけ団体は、この会の会員となった上参加している。集計したゴミのデータはこの会が全会場分を集約している。

 ちなみに2008年度の散乱ゴミのワースト5は、袋・シートなどの破片、食品などのポリ袋、ペットボトル、タバコの吸殻、紙くず・紙片。細かいゴミと大きいゴミを比較すると個数ベースでは、細かいゴミが42%を占めている。袋に入りきらない大きさのゴミを粗大ゴミとした場合、木材・角材が多い。近年は衣装ケースなどのプラスチック製のケースが目立って多数回収されている。自転車・三輪車やタイヤも依然として多い。

 開始以来水質検査もゴミ拾いとともに行なっている。川の水の透視度とCOD値(水中の酸素を消費してしまう物質の量)によって川の浄化度合いが量れる。水質は流下する水量によって大きく左右されてしまう。したがって長期にわたる検査が必要だ。多くのデータを集約・平均化し経年で見ていくことによって傾向を判断できると考えているという。例えば、1995年と2008年を比較すると臭いと感じた人の割合は、半分以下に減少、COD値も下がっている。少しずつ川が浄化されてきているのだろうか。

 

環境保全は足元から

 2008年度からは、子ども向けの冊子をパンフレットに替えた。「よりわかりやすくなったのかなと思っています」と副代表理事の林美恵子さん。「ゴミを拾いながらその種類と数を確認することで、参加者一人一人が環境問題に気付き始め、ゴミの発生を抑え、ゴミのない社会をめざす心が芽生えてきています」と思いを語る。

 「様々なセクター間のパートナーシップを実現しながら、ゴミを通じて川の自然や川から見えてくる環境問題について考え、足元から環境保全意識が高まることを願っています。24時間テレビ(日本テレビ)でも取り上げられた活動ですが皆さんもぜひ活動に参加してください」と結んでくれた。

 

☆協働相手からの応援コメント☆ 

国土交通省関東地方整備局 荒川下流河川事務所

 国土交通省荒川下流河川事務所では、ゴミ問題を重要な課題として様々な取り組みを実施しております。その中で、利用者である地域住民と行政が一体となって荒川のゴミ問題を地域共有の問題として取り組んでいくために、2000年9月「荒川下流部ゴミ対策アクションプラン」を策定し、活動しているところです。また1994年から活動している「荒川クリーンエイド活動」を、アクションプランの中心的活動として位置づけ、自然豊かできれいな荒川を取り戻そうと協働で活動を続けているところです。

 2008年における荒川クリーンエイド活動は、新規参加団体や継続参加団体など昨年同様1万人以上の方々に参加していただき、着実に活動のすそ野が広がっております。また、活動開始以来増加していたゴミの量が初めて減少し、活動の効果が実証されています。

 当事務所といたしましても荒川の将来像を踏まえ住民の立場・視点に立って、時代の要請にふさわしい行政の推進によって、住民の皆様の期待に応える事が出来るよう頑張っていきます。「荒川クリーンエイド・フォーラム」には、この活動をより幅広いものにしていくために、市民と行政をつなぐ橋渡し役として、またゴミ対策における意見や提言などを市民や行政に伝える役割も期待しています。今後とも「安全・安心」で潤いのある荒川づくりをめざし地域住民と行政が一体となって「荒川クリーンエイド活動」を推進していきます。