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キャンパー

 
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キャンプで覚えた野外での調理技術を活用

 キャンパーは、キャンプを通じて覚えた野外調理技術、野外調理機材を利用し、災害時の炊き出し活動を行う団体だ。

 もともとはインターネット上の様々なメーリングリストを利用して、全国のキャンプ場情報やオフラインミーティング(オフ会)を開催して親睦を深めてきた団体である。

 2004年に発生した新潟県中越地震の際、新潟県小国町ボランティアセンターからの要請で長期にわたり炊き出し活動を行い、多くの被災者たちに感謝されることとなった。中越地震に直面した際、「自分たちにできることは何か。そうだ、野外調理ができる」ということで、それがあまりにも好評だったため、この活動の継続を試み2005年に法人の認証を受けた。

 中越地震後も様々な被災地に赴いて、メンタル面のサポートにも尽力している。新潟県小国町では「がんばれ小国」というお祭りを開催した。「もともとキャンプで夜店の出店や様々な遊びに関する行事を開催していたため、そういった遊びの延長線上の感覚で手伝いができればと思い開催した」と代表理事の飯田芳幸さんは語る。

 

 

災害時の炊き出しマニュアルを作成

 そんな炊き出しをメインにスタートしたこの会では、「災害時炊き出しマニュアル」を日本調理科学会と共同出版という形で発行した。さらに埼玉県消防防災課と協働して、地域防災力の向上のため、「自主防災組織リーダー養成講座」を開催した。自主防災組織のリーダーの方々から炊き出しの指導をしていただけないか、との依頼があり2007年11月28日には研修の第1回目が行われた。およそ100名程度のリーダーたちが集まり、2チームに分かれて炊き出しの実践が行われた。1チームごとに「設営」「調理」「配食」「片付け」という4つのグループに分け、2時間内に各チームごとにメニューを作ってもらうといったプログラム内容だ。一般的に炊き出しのイメージというと、豚汁やすいとんなどだが、この会のメニュー集には日本調理科学会が考えたレシピが豊富にある。「こんなものが2時間でできるの?」といった疑問を体験してもらおうといった趣旨で開催している。

 また、市民から「研修会で避難所の実態を教えてほしい」という要望が増え始めている。そこで2009年からは被災地の方々にビデオインタビューを行い、それを編集して自主防災組織のリーダーたちに見てもらう形をとることになった。

 

 

 

 メニューの数も豊富だ

 

 短時間で様々な調理を行う

3年間で1,000人以上が炊き出しの講座を受講 

 また、この法人は自治会組織の中にある自主防災組織のリーダーを対象に、炊き出しに関する講習会を開催している。県と協働して2日間程度行っており、2007年には2か所(200人参加)、2008年には5ヵ所(500人参加)、2009年も5ヵ所(400人参加)で開催した。

 この3年間で、1,000人以上のリーダーたちが受講したことになる。多数のリーダーを養成することは、災害発生時に大きな力になるという。大規模災害の発生時には、3日間は他からの救援は得られないと想定されている。ゆえに自助、みんなで共助、それから地区行政の公助という形で救援活動に当たらねばならない。

 阪神淡路大震災の際にも隣の家の人であったり、近所の人々に助けられたりというケースが多い。飯田さんは「やはり埼玉県でも近隣で助け合いができるような自主防災組織が必要だろうという認識を持っています。今後もこの協働を団体のミッションとして、積極的に取り組んでいきたい」と語る。

 

 

より円滑な救援活動を目指して

 また、災害発生時には、例えばコンビニやガソリンスタンドであるなど近隣の企業の助けがなければ、現地で活動を行うには機動力不足となる。そこで2009年、埼玉県はスーパーであれば商品の提供を、企業であればボランティアの派遣等を行う「サポート企業」への登録促進する事業を始めた。この会は積極的に登録促進のため活動している。

 この会には日本全国に仲間がいるが、地域に根差した活動はなかなか難しいという。「地域に届けられるのは自分たちの経験で、長期活動を通じて、避難所の方々と仲良くなり、避難所の方々が抱えている悩みが分かる。そういった話を地域の人々に伝え、あらかじめ問題意識を持ってもらえればありがたい」と飯田さんはいう。このような意識を地域に広め、多くの人々の助けと協力が得られれば、被災地でのより円滑な救援活動が行えると思う。

 


避難所前の炊き出し