科学芸術学際研究所 ISTA(イスタ)
ISTAは全国各地の科学者や芸術家などが、多くの人に科学や芸術をもっと身近に感じてもらい たいとの思いを持ち、設立しました。コンピューターなどの科学技術をいかした現代芸術作品を制作 したり、「科学おもちゃ」を用いた市民講座やワークショップを開催して、科学や芸術の面白さを伝 えています。 今回は、理事長の高木さんにお話を伺いました。
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◆科学に親しめるように工夫したおもちゃとは◆
『崖の上のポニョ』にも登場した蒸気の力で走る「ポンポン蒸気船」や、 慣性の法則を視覚的に捉えられる「だるま落とし」と言えば、イメージが 湧くかと思います。エッシャーが描いた「だまし絵」のように、錯覚を利 用したものもあります。 このように、昔から人は、遊びながら科学を学べるように工夫していま した。しかし、今の子どもの回りにある、テレビゲームのようなおもちゃ は構造が複雑なため、仕組みが分かりにくくなっています。遊んでいても 「なぜ?」と考える力は育みにくくなっています。
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◆おもちゃの開発◆ そこで、子どもでも作れる新しい科学おもちゃをISTAは開発しました。今回のチャレンジサポ ート事業で開発したおもちゃは、①多面体がポップアップする本、②錯視を誘う立体モデル、③雪の 結晶の成長モデル、④多面体万華鏡、⑤呼吸する肺胞の折り紙モデル、⑥ストローによる多面体作成 の6種類です。 例えば⑥のストローによる多面体作成では、切ったストローをつなぎ合わせることで正四面体や正 六面体を作ります。手先が器用な人ならば、もっと複雑な正十二面体や正二十面体を作ることができ ます。パズルのように楽しみながら、様々な立体の構造を学ぶことができます。
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◆子どもだけでなく、大人も楽しめるおもちゃ作り◆
子どもを主な対象者としてワークショップを開催しましたが、子どもだけでなく、付添いの保護者 にも喜んでもらえたそうです。子どもと一緒に遊び、驚き、発見し、考える機会になったとのことで した。 また、ワークショップに参加した高齢者からは、頭と手の訓練になると好評でした。シンプルな構 造だからこそ、様々な年齢の人が一緒に楽しめるのが「科学おもちゃ」の特徴の一つです。
◆「科学おもちゃ」の普及◆
ISTAは主として首都圏の科学者や芸術家などで構成されていますが、「科学おもちゃ」に関わ るスタッフが少ないので、頻繁に講座やワークショップを開催することが難しく、せっかく開発した 「科学おもちゃ」を普及させることが課題となっています。 「学校や施設などで『科学おもちゃ』を作るワークショップを開きたい方がいれば、喜んで相談に応 じます。材料費程度の負担をしていただければ結構です。」
◇訪問を終えて◇
今回紹介した「科学おもちゃ」は、どれも実物を見ないと分かりにくいものかもしれません。私自 身が取材時に抱いた感動を文章にする難しさを感じています。 ぜひ、下のURLをクリックして、「科学おもちゃ」の写真を見てください。一度、手に取って、 作ってみたいと思っていただけるはずです。
(平成22年12月取材)
◇昨年度のチャレンジサポート事業の活動報告会で、科学芸術学際研究所 ISTAが発表した「科 学おもちゃ」の資料はこちら↓ |