ぎょうだ足袋蔵ネットワーク
平成20年度NPO元気なまちづくり助成事業では、「足袋蔵まちづくり情報ミュージアム開設」事業に
取り組んだ「特定非営利活動法人 ぎょうだ足袋蔵ネットワーク」さんです。
★足袋蔵がミュージアムに
今回お伺いしたのは、基金の助成事業で開設した「足袋蔵まちづくりミュージアム」です。美しい白壁
としっかりとした梁が目をひく蔵は「栗代(クリダイ)蔵」と呼ばれる、明治39年に建てられた足袋の
倉庫です。長年物置として使用されていましたが、蔵めぐりの案内所兼市内NPOの情報発信の拠点と
して生まれ変わりました。ぎょうだ足袋蔵ネットワークでは店蔵をそば屋として改装した「忠次郎蔵」、
工場を再生した「足袋とくらしの博物館」に続く、蔵の活用事業になります。
ミュージアムの1階は蔵めぐりの案内と足袋などの販売を行っています。蔵の紹介は写真ではなく、イ
ラストで描かれています。これは実物を見たいと思わせる意図があるそうです。実物の栗代蔵の中でイラ
ストを見ると、他の蔵のイメージがどんどん膨らんでいきます。「見せる(魅せる)工夫」を感じました。
足袋蔵まちづくりミュージアム入口 |
1階展示室での蔵めぐりの案内 |
★情報発信を大切にする
階段を上がった2階では「栗代蔵」を所有していた栗原代八商店の紹介や、大学生が作成した蔵のまち
を紹介するポスターが展示されています。当時の蔵や行田のまちの様子が伺い知れ、所有者の方や教育機
関の強力なバックアップを感じました。
また、中央には市内のNPOが活動できるよう白木のテーブルとベンチが置かれ、活動を紹介するスペ
ースも設けられています。ミュージアムはぎょうだ足袋蔵ネットワークや行田のまちだけでなく、市内の
NPO活動の情報も発信し、お互いに刺激し合える場所にしたいとのことでした。
蔵のまちの紹介ポスター
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活動スペース
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活動紹介 |
★発想の転換
行田には多くの蔵が残り、市内に点在しています。これをネガティブに考えるのではなく、「蔵めぐり」
というソフトを考え出すことにより、その景観を楽しめるようにしました。忍(おし)城下の狭い道も、
お子さんやお孫さんと一緒に安心して歩ける道としてアピールしているそうです。
ミュージアムの開設には県の助成を活用しましたが、運営は市の助成を受けているそうです。活動をひ
ろげ、深めていくために他の団体との協働を含め、積極的に交流を進めています。交流の場としてミュー
ジアムを作ることが大切なのではなく、交流を活性化させるためのソフトが大事だということがよく分か
りました。
★自分たちが誇れるまちづくり
ぎょうだ足袋蔵ネットワークでは、行田を誰かに紹介する時に「蔵のまちの行田です」と言って、分かっ
てもらえたらうれしいという思いで活動しています。今年も5月16日(土)17日(日)に「蔵めぐり
スタンプラリー」が開催されます。県内外から多くの方が行田に訪れる姿を見て、市民が自分たちのまち
の良さを再発見してもらいたいと思っているそうです。
昨年の10月にはぎょうだ足袋蔵ネットワークの一事業であった忠次郎蔵そば店が(特)忠次郎蔵とし
て独立しました。これは忠次郎蔵そば店で取り組んできたそば打ち教室を通じて、新たなコミュニティが
生まれた結果です。
★おわりに ~訪問を終えて~
まちづくり助成事業の1期生であるぎょうだ足袋蔵ネットワークは、ハードの整備だけでなく、積極的
にソフトの整備に取り組んでいらっしゃいます。足袋蔵という目の前にある財産を生かすために、助成を
活用していただき、嬉しく思いました。
(平成21年4月取材)
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