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Japan Close-up Magicians' Association(日本クロースアップマジシャンズ協会)

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平成20年度チャレンジサポート事業では、「サイレント・マジック~聴覚障がい者と健常者との接点を見つけるマジック・ショー」事業を行った「特定非営利活動法人 Japan Close-up magicians' Assosiation(日本クロースアップマジシャンズ協会)」さんです。

 聴覚障がいを持つロシア人マジシャンを招待し、『音のない、不思議の世界 Silent Magic』を開催しました。 

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 Japan Close-up Magicians'Associationクロースアップマジック(カードやコインなどを用いた至近距離で見せるマジック)の愛好者により平成12年に作られた団体で、平成20年にNPO法人格を取得しました。

 平成20年度のチャレンジサポート事業では「サイレント・マジック~聴覚障がい者と健常者との接点を見つけるマジック・ショー」を開催しました。聴覚障がい者と健常者が互いに向き合って、マジックを通して交流するもので、聴覚障がいを持つマジシャンがステージに立ちました。

 今回は助成事業以降の話を中心に、会長の田代茂さんと理事の上鶴伸夫さんにお話しを伺いました。

houmon_title_katsudou.pngのサムネール画像★今年の活動

 今年はJCMAにとって飛躍の年となったようです。5月には田代さんと上鶴さんがモスクワで行われた聴覚障がい者のためのマジック・ショーに招待されました。「サイレント・マジック」で招いたロシアのマジシャンのお誘いでした。
 10月には上鶴さんがアメリカで3週間にわたって東海岸の5つの州を自動車で移動しながら、マジック・ショーの舞台に立ちました。こちらは「サイレント・マジック」を見に来た、田代さんの友人で、ボランティア活動を行っているアメリカ人マジシャンの招待でした。上鶴さんはアメリカで開かれた聴覚障がい者のマジシャンの大会で2位になったことがある実力者です。これらの交流により、マジックを通じて海外の聴覚障がいを持つ人やサポートをする人との関係が深まったそうです。
 「サイレント・マジック」を経て、JCMAの活動が海外に広がる一方で、国内での活動の機会も増え、多くの聴覚障がい者の集まりに招待されました。
 8月には人工内耳友の会埼玉に招かれ、子どもたちとマジックを一緒に楽しみました。手話を用いたパフォーマンスのイベントにも招かれ、多くの聴覚障がい者にマジックの楽しみを伝えられたそうです。 
 
 

 

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★マジックを多くの人に楽しんでもらいたい

 様々な団体との出会いは、JCMAの活動に大きな影響を与えました。耳が聞こえなくても楽しむことができるマジックは、欧米の聴覚障がい者の間では一般的な娯楽だそうです。そして、聴覚障がいがあっても楽しめるように配慮された大きな施設がモスクワにはあります。アメリカには聴覚障がい者用の大学があります。田代さんと上鶴さんは日本でもこのような活動が多くの人に支持されるようにしたいと熱意をお持ちです。
 これまでJCMAは3つのことを活動の柱としていました。「マジックの情報収集・保存と研究」「国際交流」「若手育成」です。今はこれに「障がい者支援」の視点が加わりました。もともとノーマライゼーションの推進を考えていたJCMAでは、マジックは人種・性別・年齢だけでなく、障がいの有無も越えて楽しむものと考えています。
 今後の抱負を伺ったところ、2014年に「World Deaf Magicians Festival」(聴覚障がいを持つマジシャンによる世界大会)の日本開催を目指しているとのことでした。実現すれば、日本初どころか、アジア初になるそうです。世界中から集まる聴覚障がいを持つ方の十分な受入体制の確立が必要なので、多くの人の協力を得て実現を目指したいとのことでした。
 また、JCMAはクロースアップマジックの普及・発展のため、年に一度のクロースアップマジックの大会「Japan Cup」を毎年開催されています。(平成22年は3月19日~21日に池袋で開催)世界レベルのマジックが目の前で見られる贅沢なイベントだそうです。

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★助成事業に申請する意義

 最後に、「チャレンジサポート事業」に申請して、採択された感想をお伺いしました。
 最大のメリットは「締切がある」ことだそうです。
「締切があるから、いつかやろうと後回しにせず、頑張ることができました。」
 また、助成申請書の作成やプレゼンテーションも良い経験だったとおっしゃっていただきました。
「具体的に書くことでイメージが湧きますし、採択されたいという思いがより良良い企画を生み出すエネルギーにもなります。実際、当初の計画よりクオリティが上がったと思いますよ。」
 現在は新たな助成事業への申請や、補聴器メーカーなどの関連企業へ提案を計画しているそうです。「チャレンジサポート事業」の経験が、新たなチャレンジへの勇気となったそうです。

★取材を終えて

 今回は「私益」と「共益」と「公益」について考えさせられました。
 JCMAのメンバーはマジックの愛好者の集まりです。これは「私益」です。マジックを披露したい人と見たい人がお互い楽しんだということなら「共益」です。しかし「サイレント・マジック」では障がい者と健常者とが、ちょっとした工夫で一緒に楽しめるモデルを提案しました。よりよい社会の実現の提案が「公益」なのだと考えました。様々な特徴を持った人がいきいきと暮らせる埼玉県を目指し、私たちもNPOの皆さんと一緒に頑張っていきたいと思いました。


JCMAさんについて詳しくお知りになりたい方はこちら↓
http:/npo-jcma.org/