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ときがわ山里文化研究所

第4回 特定非営利活動法人ときがわ山里文化研究所
平成18年度埼玉県NPO活動促進助成事業(ステップアップ事業)の助成を受けた団体の、その後の活動を紹介します。第4回は、特定非営利活動法人ときがわ山里文化研究所です。

h19houmon_title1.jpg「特定非営利活動法人ときがわ山里文化研究所」は、山里の生活、文化に関心のある人達と共に、自然と共存しながら育んできた山里文化の調査・研究・体験・学習を中心に、山里文化の振興と継承普及に取り組む団体です。また、都市住民と地元との交流や、山里の豊かな自然と文化を体験する活動にも力を入れています。

平成18年度ステップアップ事業では、都市住民と山里との交流を目的として、竹炭や竹酢液づくり、そば打ち体験やこんにゃく作り等のほか、「収穫祭」を開催し、都市と山村の相互理解と交流促進を図りました。

今回は、団体のその後の活動について柴崎理事長にお話を伺ってきました。

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  • (聞き手)
    昨年度のステップアップ事業で実施したことを、今年はどのように事業を展開されていますか。
     
  • (柴崎理事長)
    昨年度ステップアップ事業で実施した「竹炭・竹酢液づくり」は、当団体の活動の定番になっています。夏の期間は、暑さのため土窯で作業というわけにはいきませんが、秋以降に竹炭づくりに力を入れていきたいと考えています。今年は、竹炭づくり体験のような時に使える小振りな土窯を含め、新たに二つ窯を増やす予定です。
    また、「手打ちそばづくり」や「手づくりこんにゃく」については、材料であるそば粉やコンニャクイモから自家製にこだわろうと、畑の植え付けから始めています。そのほか、間伐材の活用や、山の学校も実施しました。これから秋にかけて、秋野菜の収穫や、収穫祭の「いも煮会」の準備などで忙しくなります。
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          (写真左)ときがわ町大野地区の山里の風景

          (写真右)ときがわ山里文化研究所の活動拠点のログハウス

  • (聞き手)
    間伐材の活用や山の学校について詳しく教えてください。
     
  • (柴崎理事長)
    先ほどご案内したログハウスは、桧(ひのき)の間伐材の丸太を使って組み立てたのですが、間伐材の有効活用ということで、約80名の参加者がありました。また、桧の丸太を差し上げますというイベントを実施し、200本を間伐しました。余った丸太は、コースターや植木鉢、小鳥の小屋に加工しました。コースターは有料で販売しています。
    山の学校は、鶴ヶ島市に在住の学童保育や少年野球の子どもたちを対象に、廃校を利用して夏休みの期間に延べ550名の子どもたちを受け入れました。山の学校のメニューは、川遊びのほか、山のウォーキングなどを盛り込み、ときがわの自然を思う存分楽しんでもらいました。
    将来的には、夏だけでなく、通年で子どもたちを受け入れられるような体制を整えたいと考えています。また、団塊世代の田舎暮らし体験の企画も考えています。
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          (写真左)山の学校の川遊びの様子

          (写真右)自然の豊かさにふれて子どもたちの表情も生き生きしています

  • (聞き手)
    活動を地元に根付かせるために心がけていることがあれば教えてください。
     
  • (柴崎理事長)
    ときがわ町大野地区の自然の恵みを楽しんでもらう際は、都市部から来た方には、「お世話になった地元の心を理解する」ということを心がけていただいています。具体的には、

    ・都市部から来て「山里」のいいとこ取りだけをしないようにする。
    地元の人へのあいさつのほか、ごみを捨てないこと、勝手に人家のもの(果実等)をとらないことを徹底してもらう。

    ・地域に貢献するという意識を持ってもらうための活動を盛り込む。
    例えば、山の学校では、校庭のゴミ拾い、川のゴミ拾いを活動メニューに含める。

    ・地元の方の生活スタイルを尊重する。
    夜更かしをして騒いだりせず、早寝早起きをする。お話はていねいに聞く。

    というようなことです。このような気配りをすることが、都市部の人を山里に招いて、地元の人と楽しい交流をするためには大切です。
    そのほか、地元の方とは、年1、2回の交流会で親睦を深めるほか、そば打ちや桧の伐採、竹炭づくり体験の講師をお願いしています。ログハウスで活動していると、隣家の方からお茶に呼ばれたりすることもあるんですよ。そのお礼ということで旅行のお土産をおすそ分けするなど、近所づきあいのようなことをさせていただいています。
    一方方向ではなく、持ちつ持たれつという関係がポイントですね。
     
  • (聞き手)
    「山里からの贈り物」について教えていただけますか。
     
  • (柴崎理事長)
    竹炭、お茶やわさび等、当団体の生産物をブランド化して販売するための商標です。現在、商標登録の手続き中です。現在の会員数は、340~350人ですが、会費収入だけでは経済的に自立した組織にするのは難しいと思います。ある程度事業収入を増やして、収入の安定化をはかるための工夫です。
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          (写真左)「山里からの贈り物」の竹炭と竹酢液

          (写真右)有機無農薬農法で栽培しているお茶の畑

  • (聞き手)
    将来的にこんなことを実現してみたいという夢をお聞かせください。
     
  • (柴崎理事長)
    個人的に国際交流に関心があり、日本で知り合いになった中国の方に故郷を案内していただくなど、外国の方に親切にしていただく機会が今までにありました。そのお礼に、今度はときがわ町に招いて、日本の田舎暮らしのよさを知ってもらいたいなという思いがあります。
    現在は、主に都市市民と山間住民の交流をテーマに活動していますが、日本の田舎暮らしや伝統文化のよさを日本人だけではなく、外国の方にも紹介することによって、日本の良さを再認識することもあるのではないかと思います。実際に実現するには、一定の規模の宿泊施設を用意するなど、現時点では受け入れ態勢に課題がありますが、現在の活動を継続しながら、いつかその夢を団体や地域の方と共有して、実現できればよいなと考えています。
     
  • (聞き手)
    最後に、団体のPRをお願いします。
     
  • (柴崎理事長)
    「山里」は、過疎や高齢化で貴重な文化が失われつつあります。私達は、都会に住む皆さんと「山里」の交流の架け橋として活動しながら、「山里文化」を守っていきたいと考えています。同時に、本当に人間らしい「豊かな文化体験」を皆さんに提供していきたいと考えています。
     

    「ときがわ山里文化研究所」のお問い合わせは
    TEL:049-285-5296
    E-mail:tokigawa2005@aol.com
    HP :http://tokigawayamazato.web.fc2.com/
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          (写真左)ログハウスの前にて~今回取材にご協力いただいた柴崎理事長

          (写真右)自分で打ったそばは、やっぱりおいしい~手打ちそば体験の様子


【お話を伺った感想】
あいにく取材の当日は、台風の影響による豪雨で川が濁流になっていたりしましたが、実際の山里の自然のよさを肌で感じながら取材ができたことは、貴重な体験となりました。
ログハウスのお隣の荻野さんには、取材中にわざわざお茶を出していただいたほか、しょうがや梅干し、昆布をごちそうになり、山里の方のあたたかい心に触れることができました。ありがとうございました。(と) 

(平成19年度・取材)