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ぎょうだ足袋蔵ネットワーク

 

第1回  特定非営利活動法人ぎょうだ足袋蔵ネットワーク

平成18年度埼玉県NPO活動促進助成事業(ステップアップ事業)の助成を受けた団体の、その後の活動を紹介します。第1回は、特定非営利活動法人ぎょうだ足袋蔵ネットワークです。

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行田市は、江戸時代から足袋(たび)づくりが盛んで、大正から昭和初期にかけて、日本一の足袋生産量を誇る「足袋のまち」です。その足袋を保管する倉庫である「足袋蔵」が、今もなお市内に点在しています。特定非営利活動法人ぎょうだ足袋蔵ネットワークは、現在使われていない「足袋蔵」をまちのシンボルとして有効活用し、現在に蘇らせようとしている団体です。

平成17年度の県のステップアップ事業で採択された、「足袋とくらしの博物館(仮称)」開設事業では、廃業した足袋商店の工場と土蔵をNPOで借り受け、NPOと市民の手でそれを整備し、地場産業である足袋産業の歴史・文化・伝統技術を当時の姿で見学・体験学習できる「足袋とくらしの博物館」を開設・運営しました。

平成18年度もステップアップ事業で採択され、「蔵めぐりからまちおこし」の事業では、行田市の歴史的建築物を巡るコースを設定するとともに、中心市街地活性化を目的として、建物を有効活用するための提案を行いました。

今回は、今後の事業展開を中心に、朽木代表理事と中島理事にお話を伺いました。


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  • (聞き手)
    平成16年からNPO法人として活動を始められて今年で4年目ですが、地元の反応はいかがですか。
     
  • (朽木代表理事)
    手打ちそば店として生まれ変わった「忠次郎蔵」や「足袋とくらしの博物館」として活用している「牧野本店」の工場と蔵などの実績を通して、足袋蔵を所有している方に、法人の活動趣旨が理解されてきたという手ごたえを感じています。また、地元の住民の方にも、「蔵めぐりスタンプラリー」等のイベント実施などの効果もあり、行田の歴史的財産である「足袋蔵」の利活用について考えるという意識が出てきたのではないかと感じています。 
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        (蔵めぐりスタンプラリー 2007.5.19~5.20)

    • 聞き手)
      県の助成金を使った事業では、平成17年度では「足袋とくらしの博物館」の開館と運営、平成18年度では、「蔵めぐりツアー」や「蔵開きモデルプラン発表会」等の企画を実施してきましたが、この2つの事業は、現在の活動とどのようにつながっていますか。 
       
    • (朽木代表理事)
      「足袋とくらしの博物館」は、県の助成事業終了後も、引き続き建物所有者の了解を得て、土日、祝日の10時~15時に開館しています。博物館の受付等の業務はボランティアスタッフに協力してもらっています。入場料200円のほかに、足袋の売り上げ等で月10万円以上の事業収入や、補助金等でやりくりしています。また、「蔵開きモデルプラン発表会」で提案した「足袋蔵」の利用モデルプランを呼び水として、「足袋蔵」の利用についての相談が来ていますし、新規に「足袋蔵」所有者からの建物の活用の相談も来るようになっています。 
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        (足袋とくらしの博物館) 
       
    • (聞き手)
      事業の成果が着々と出てきていて、頼もしいですね。これからの事業の方針を教えてください。
       
    • (朽木代表理事)
      「蔵めぐりツアー」や地元向けの「足袋蔵」の活用についての説明会の開催により、更に協力者を増やしていきたいと考えています。
      また、今年度から、空き店舗等を活用して事業を起こしたい起業家を対象とした助成制度を市が始めました。起業家と建物のオーナーの仲介や「足袋蔵」の活用プランについてコーディネートすることで、NPO法人として行田のまちづくりに貢献したいと考えています。また、行田市内には、ものづくり大学があります。建物の改修について材料費はNPOが負担し、大学の実習を利用して作業工賃を節約するという形で大学と連携できればとも考えています。 
       
    • (聞き手)
      ぎょうだ足袋蔵ネットワークさんは、新聞やTVに掲載されるなど、メディアに掲載される機会が多いという印象があります。うまく広報する秘訣を教えてください。
       
    • (中島理事)
      団体の活動の広報には、手間隙を惜しまないことですね。私たちの団体は、イベント開催時には、チラシの郵送や電話だけでなく、必ず新聞各社を回るようにしています。
      また、イベントの時期も、マスコミが記事のネタを探している秋の行楽シーズンを狙ったりするなど、マスコミ側のニーズをつかむことも大事です。新聞記者と一杯飲める関係をつくることを目指すくらいの意気込みがほしいですね。また、チラシについては必ずカラーで作成し、デザインにも力を入れるなど、広報にはお金をかける姿勢も大切だと思います。デザインは業者任せにするのではなく、パソコンソフトを使って自前で作成すれば、印刷を安く済ませることも可能です。また、イベントに人を集めるには、インターネットを利用する方法もあります。NPOのほかイベントと関わりのあるサイトの掲示板に書き込みをすることで、関心ある人に情報を提供することもできます。

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     (今年の蔵めぐりスタンプラリーのチラシ) 

  • (聞き手)
    最後にPRをお願いします。
     
  • (朽木代表理事)
    ステップアップ事業の助成金を2年連続で頂けた事により、我々の事業に拍車が掛りました。また、助成を受ける為のコンペやその後の事業報告を行う事により、外部に対してのアピール、プレゼンテーションにも慣れ、法人としても少しは洗練されたかなと思っています。
    「まちづくり」は重い課題の様に感じられますが、自分達に出来る事から楽しみながら進めて行く事を目指しています。NPO活動といっても、計画案作成からイベント実行、ポスターづくり等多岐に渡りますが、メンバーそれぞれが自分の居場所を見つけながら参加しています。
    何処のNPOも同じだと思いますが、活動を通して仲間づくりやそのネットワークを広げていく楽しみは「仕事」とは別な何かがあるはずだと感じています。


特定非営利活動法人ぎょうだ足袋蔵ネットワーク

Tel :048-552-1010

E-mail :gyoda@tabigura.net

HP: http://www.tabigura.net/



【お話を伺った感想】
今回は、まちづくりの分野で活躍するNPOを取材しました。NPOは、地域の人々の思いを実現する「楽しい」道具であってほしいですね。ぎょうだ足袋蔵ネットワークの皆さんには、「行田」から全国にむけて情報発信できるように、これからもがんばっていただきたいと思います。原稿をまとめながら、取材のあとに食べた行田名物「フライ」を、また食べてみたくなりました。皆様もぜひ行田で「フライ」を味わってみてください。

(平成19年度・取材)