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住まいとまち創り集団 木犀

 

 第9回 特定非営利活動法人住まいとまち創り集団木犀

 平成18年度埼玉県NPO活動促進助成事業(ステップアップ事業)の助成を受けた団体の、その後の活動を紹介します。第9回は、特定非営利活動法人住まいとまち創り集団木犀です。 h19houmon_title1.jpg「特定非営利活動法人住まいとまち創り集団木犀」は県北部を舞台にまちづくりに取り組む団体です。建築士等の専門知識を持つメンバーが中心になり、伝統的建物調査と保存活用に住民、行政、団体等のパートナーシップで取り組み、歴史のある市街地の魅力を再発見しています。

平成18年度ステップアップ事業では、江戸末期から戦前にかけての歴史的建物が残る「旧七ッ梅酒造」の建物群を調査及び活用するワークショップを行うと共に、伝統的建物の魅力をアピールするイベントとして、伝統と現代の共存をテーマにした現代アート展を開催しました。

今回は、その後の活動状況を清水代表理事と大島副代表理事にお話を伺ってきました。

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  • (聞き手)
    昨年度の事業実施のその後ということで、「旧七ッ梅酒造」の活用の状況についてお話をお聞かせください。

 

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(写真左)今回の取材会場で、事業の舞台となった「旧七ッ梅酒造」 
(写真右)「旧七ッ梅酒造」でストーブを囲みながらお話を伺いました

  • (大島副代表理事)
    今年度の事業として12月に、「2000年後の美術館をつくろう!」というテーマで「旧七ッ梅酒造」を会場にして事業を実施しました。これは文化庁の「地域人材の活用による文化活動支援事業」の助成金を活用したものです。この事業は、これからのまちづくりを担う人材を育成する取り組みで、小学生を対象に落語、映画、建築、演劇の4部門の文化体験プログラムです。木犀が担当した建築部門では40名の子供たちによる「2000年後の美術館」づくりを行ないました。

 

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  (写真)「2000年後の美術館をつくろう!」のワークショップの様子
  (左)拓本作りのために素材の並べ方ををみんなで工夫しています
  (右)リーダーの高校生が子どもたちにアドバイスしながら拓本をとる作業を進めています

  • (聞き手)
    実に多彩なメニューですね。これだけ多くの事業を実施するために、どのような体制で臨まれましたか。 

 

  • (大島副代表理事)
    昨年のステップアップ事業では私たち木犀だけの事業を実施しましたが、今回の事業の際には「深谷文化創造体験実行委員会」が立ち上がりました。市教育委員会生涯学習課が事務局を担い、これまで私たちと協力関係にあった、深谷市内のNPO法人市民シアター・エフ(竹石理事長)やNPO法人深谷にぎわい工房(松本理事長)など、まちづくりNPO3団体と行政が協働したことで、数多くのメニューを実施することができました。

 

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  (写真左)敷地内で拓本に色を塗る作業を行っています
  (写真右)できあがった作品を建物内に展示して美術館づくりの仕上げを行っています

  • (聞き手)
    「2000年後の美術館」という発想がユニークですね。
     
  • (大島副代表理事)
    内容について実行委員会と木犀のメンバーが会議を重ねた結果、広島の現代美術家柴川敏之さんが夢のあるスケールの大きいアートづくりを実践しているので、子供たちに学んでもらうのには彼が適任であるということでお願いしました。2000年後には現在あるものはすべて化石になってしまうという前提で、2000年後からみた世界を「旧七ッ梅酒造」美術館に再現するワークショップです。その化石づくりを子どもたちに呼びかけて、現在にあって残したいもの(例えば)パソコン、ゲーム、オモチャなど興味のあるものや蚊取り線香、ハンガーなど日用品等々を拓本にして、裏から色付けを行い、ステンドグラスのように「旧七ッ梅酒造」のあらゆる窓に飾る展示を行いました。ワークショップでは子供たちがまちに出て、興味ある品物を借りることを商店主と交渉したりもしました。又、熊谷工業高校建築科の生徒に子供たちのリーダー役になってもらい、作業をアドバイスしてもらいながら進める試みもしました。
    「2000年後の美術館をつくろう!」のワークショップはリーダー研修を含め3日間で「旧七ッ梅酒造」を美術館に変身させる作業を行い、次の一週間は「2000年後の美術館へ行こう!」と題して美術館をオープンしました。制作に携わった子供たちの友達や親御さんをはじめ地元の方々や遠方からも見に来てくれました。今回の催しの経過は『深谷オンセンプロジェクト』と名付けたホームページでご覧下さい。

 

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  (写真)完成した「旧七ッ梅酒造」美術館。ステンドグラスのような幻想的な趣きです
  (上)美術館外観(左下)2階内部の様子(右下)展示作品

  • (聞き手)
    今回の事業の手ごたえはいかがですか。
     
  • (大島副代表理事)
    市の教育委員会や他のNPOと協働して「旧七ッ梅酒造」を拠点に事業を展開できたことは、大きな収穫であったと感じています。今後もここを拠点に深谷ならではの魅力ある中心市街地の活性化に取り組み、次年度ではさらにその輪が広がっていく企画も出てきています。これからの課題として、単発のイベントではなく継続的に使用していくには幾つかの問題があります。その話については、代表よりお願いしたいと思います。
    (清水代表理事)
    「旧七ッ梅酒造」の地主さんは、今は東京在住ですが、深谷市出身の方で建物に愛着があることもあって、ここを有効利用してほしいということで保存する方向で協力をしていただいています。地主さんと今回の事業を実施したNPOと共同で「旧七ッ梅酒造」運営のための会社を設立するという話も出ています。しかしながら、この土地にかかる固定資産税分をどのように稼いでいくのかということや、建物の管理責任者を誰にするのか、さらには建物の修復にかかる費用をどうするのかといった問題があり、地主さんの意向が固まっていないためもうしばらく時間がかかりそうです。このあたりは、まだこの先しばらくかかるとはいえ、区画整理事業の区域で道路が通る予定であるということも、新しく何かを始めることについて躊躇させてしまう原因になっています。
     
  • (聞き手)
    今後の事業の構想について教えてください。 
  • (清水代表理事)
    「旧七ッ梅酒造」以外の深谷市内の歴史的な建物についても、このまま放置していてはどんどん傷んでだめになってしまいます。とはいっても、地主さんの了解があってのことなので、こちらで勝手に話を進めていくわけにも行かないということが難しいところです。そこで建物保存についての賛同者を募りながら、歴史的な建物を調査して、登録文化財として保存していくことに取り組んでいきたいと思います。そのためには、まず人材の確保も必要ですので、建物保存に協力してもらえる人材教育の事業を行うことができればと考えています。

 

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 (写真)「旧七ッ梅酒造」の一部は、傷みが進んでいます

  • (聞き手)
    最後に、団体のPRをお願いします。
     
  • (清水代表理事)
    まだ発足して3年目のNPOですが、地域に根ざした活動を地道に進めて行きたいと思っています。深谷市や熊谷市なども町村合併も終わり中心市街地だけでなく、その周辺地域にも多くの歴史的建物が残されています。そんな建物の掘り起こしと、保存活用の提案なども行って行きたいと思っています。また、木犀は建築士を始めとする専門家の集団です。まちづくりなどに係る大きな事業だけでなく、身近な住まいの相談等も行うなど、地域の身近なNPOを目指しています。
     
    「住まいとまち創り集団木犀」のお問い合わせは
     
    TEL&FAX:048-574-5883
    E-mail :npo-mokusei@mail.goo.ne.jp
    HP :http://npomokusei.web.fc2.com/

 

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    今回お話を伺った清水代表理事(写真左)と大島副代表理事(写真右)

 

(平成19年度・取材)