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特定非営利活動法人荒川流域ネットワーク

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 特定非営利活動法人荒川流域ネットワーク

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           ◆NPO紹介◆

 

 『荒川を生きもの、いのちの道、一本の川へ』というキャッチフレーズで、海から源流まで自由に自力で生き物が往来できる川と自然環境の復元を目指し活動しているNPO法人“荒川流域ネットワーク”を紹介します。1995年に結成して活動を開始し、2002年にNPO法人となりました。2006年から入間川・越辺川水系の天然アユの復活を目指して、環境改善に向けた活動を継続して行っています。今回は、代表理事の鈴木勝行さんにお話を伺いました。

 

◆インタビュー◆ 

Q 主な活動内容を教えてください。

 川の環境復元に力を入れています。結成当時から毎年、6月の第1日曜日に荒川流域において、多くの団体の協力を得て一斉水質調査を行っています。40団体以上の皆さんで調査した結果を基に「荒川流域環境調査マップ」を作成し、水質改善の進み具合を確認しています。水質が改善してきたことで、様々な生物が荒川に戻ってきています。その一つが、アユです。アユのアブラビレを切除して放流し、取水堰等の遡上環境を調査します。その結果、遡上できなくなっている所について、関係機関に改善を求める活動を行っています。現在、入間川の8ヶ所において魚道の設置事業が行われ、6ヶ所が完了しました。残りは笹井堰と菅間堰の工事です。また、魚捕りの方法や生活排水等について考える場として“川遊びのイベント”を実施しています。イベントを通じて、自然の大切さについて訴えています。 

  

Q アユの遡上調査について、ここ数年の結果を教えてください。

 2005年頃までは、秋ヶ瀬取水堰の魚道を遡上する稚アユ数は少ない時で5万匹程度でした。荒川流域の水質改善の活動を地道に進めてきた影響もあってか、2006年頃から遡上数が急増し、ここ数年は40万~90万匹で推移しています。荒川流域の水質調査から始まり、様々な活動により少しずつ水質や環境が改善され、アユが遡上してくる川になってきたと実感しています。 

 

Q アユの生態について教えてください。

 荒川のアユは10月から11月にかけて各河川で産卵して、生まれた稚アユは川を下り、冬の間は東京湾でシラスの状態で越冬します。3月から5月にかけて川の中上流域の藻が生育し易い場所を目指して川を遡上します。遡上したアユは、川の石や岩に付着している藻を食べて成長します。アユの身は食べた藻の内容によって影響を受けるので、とてもきれいな水環境で生育した藻を食べて成長したアユの身はとても風味豊かでおいしいのです。逆に、工場排水や生活排水の影響を受けている水環境で生息した藻を食べて成長したアユの身は、ドブ臭さや泥臭さが残ります。藻が生育している川の水質が非常に大事です。本当の意味で、荒川流域の環境が改善されたと判断するためには、中下流域で捕獲した川魚等がおいしく食べられるようになることが必要です。そのレベルにはまだ達していません。

 

 

Q 埼玉県NPO活動促進助成事業(NPO活動サポート事業)で「親子で親しみ、川を知る」が採択されました。親子で参加を募集する狙いは何ですか。

 昔は川遊びの仕方や楽しさ、安全を確保する方法等を上級生が下級生へ教えていました。地域のつながりの中で伝承されてきました。しかし、現在は30代から40代の親世代が子供の頃、川遊びをした経験が少ないので、子供に教えることが難しい状況になっています。そこで、親子で参加してもらい、魚捕りの方法や魚の種類を知り、安全な遊び方等を体験してもらいたいと思っています。また、川遊びを一緒にすることを通して、親子関係の深まりや家族の絆を強くしていく機会にしてもらえればと思っています。

 

Q 体験を通して、学んでほしいことは何ですか。

 今回の体験では、川遊びやアユを地曳網で採ったり、採ったアユを食べたりします。アユを食べることで、味覚から川の水質や環境を考えてもらいたいです。そして、川遊びを通して、自然と荒川の恵みを実感してほしいと思っています。自然の中で遊ぶ大切さを体験し、将来、子供が親になった時に役立ててもらえたら本当に嬉しいです。日常生活で使用している洗剤についても考える機会にし、環境改善に対する意識を高め、小さな活動から実践していく子供を育てていければ、未来にも恵み豊かな荒川を残していけると考えています。 

 

Q 荒川流域の環境や水質改善を進めていくことで、具体的に現れてくる効果は何ですか。

 すぐに分かる効果は、川から発する異臭が軽減され透明度が増してくることです。下流域での異臭がなくなるということは、水質環境が良いところでしか生息できない生物が増加し、今まで以上に生物多様性に繋がることになります。現状ではまだまだ下流域の水質改善には課題が残ります。これからも継続して水質改善に取り組んでいき、荒川流域を清流に近づけていきたいです。 

 

Q  環境について抱えている課題は何ですか。

 河川の環境を改善していくことは一人ではできません。共感していただける方々と協力し、行政と協働しながら進めていくことが必要です。一人ひとりが環境を改善していく意識を高め、日常生活からできることを積極的に実践していくことが大きな課題だと思います。たくさんの人に意識づけができるように、継続的に活動しながらイベント等を通して働きかけていきたいです。

 

Q 今後、力を入れたい活動を教えてください。

 今まで以上に、アユの遡上が増えるように荒川流域の水質を改善していきたいです。そして、保水力のある山が再生され、荒川流域の水量が復元してほしいと願っています。さらに、流域で育てられた作物や川の恵みを消費することができるよう地産地消を推進し、流域住民の繋がりと循環が生まれるような活動に力を入れたいと思います。

 

 

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