コンテンツにジャンプ
サイト内検索
トップページ > 活動レポート > 共助社会づくり課による取材 > 特定非営利活動法人ワールド・サポート・プロジェクト

特定非営利活動法人ワールド・サポート・プロジェクト

世界には日本も含め196(平成30年3月時点)もの国があります。しかし、そのうちの約75%、約150か国が開発途上国*であると言われています。
 その中でも国連の決議によって、認定された特に開発の遅れた国々は「後発開発途上国」と呼ばれ、アジアではラオスやカンボジアなど9か国(平成30年3月時点)がリストに登録されています。
 そこで今回は、東南アジアの開発途上国の環境改善を目指し活動している特定非営利活動法人ワールド・サポート・プロジェクト(以下「WSP」)代表理事の秋本さんにお話を伺ってきました。
※経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が作成した、「援助受取国・地域リスト」に掲載されている国を開発途上国として記載。

共助社会づくり課
 「活動を始められたきっかけを教えてください。」

WSP 秋本さん
 「私は学生時代から一人で旅行をするのが好きでした。就職してからは、時間もなく、時が過ぎて60歳近くになっていました。
 観光でしか海外には行ったことがなかったのですが、数年前、タイのチェンマイに使用済みのストッキングで義足を作る財団があることを知り、何かの役に立てばと思い、日本から使い古しのストッキングを持っていきました。
 そのときの経験、開発途上国で決して豊かではない生活を送っている人々を支援したい気持ち、その二つが相まり東南アジアに対する支援をしようと決めました。」

共助社会づくり課
 「現在は海外と国内で活動をされていると伺いました。まずは海外での活動について教えていただけますか。」

秋本さん
 「東南アジアのラオスとベトナムを中心に活動を展開しています。
 ラオスでは都市部から離れた農村部に行き、河川や井戸水の水質調査を行っています。
 場所にもよりますが、東南アジアは日本のような四季はなく、乾季と雨季がはっきりしているところが多いです。
 雨季には大量の雨が降るのですが、乾季になるとあまり雨が降らない地域もあり、井戸が枯れることが多々あります。
 地元の小学校では乾季になると水不足が深刻になります。乾季に地元の小学校を訪れた際、校長先生から井戸を掘ってほしいとの依頼を受けました。
 水源の近くに小学校が位置していたこともあり、30mほど掘ると水が湧き出てきました。
 ですが、水質調査をしてみると水質は決して良いとは言えず、井戸の水より、雨水の方が水質が良いような状態でした。土壌汚染が進んでいるのだと改めて認識しました。
 井戸を掘ることも大切ですが、子供たちが安全に飲料水として利用できるようなレベルの水を提供したいと考え、浄化装置を試行錯誤しながら開発しているところです。」

小学校の井戸を掘った際の集合写真 元気いっぱいのラオスの子供たち

小学校の井戸を掘った際の集合写真  元気いっぱいのラオスの子供たち

共助社会づくり課
 「国内の活動では、チョコレートを販売されていると伺いました。詳しく教えていただけますか。」

秋本さん
 「WSPではベトナムのカカオ農園からカカオ豆を輸入して、福祉施設でクラフトチョコレート(手作りチョコレート)を作っています。
 実際にベトナムまで赴いて、カカオ農園も視察し、生産者にも会い、顔の見える関係性を構築できるように努めています。
 また、ラオスからコーヒー生豆を輸入し、これも福祉施設でコーヒー焙煎してイベントやECサイト*で販売しています。
 これらの製品は生産者を支援するフェアトレード*でもあり、障害者を支援する施設の仕事にもなります。それに加え、WSPの重要な活動資金源となっています。多くの人・団体を巻き込んでWIN-WINな関係を構築できているのではないかと思います。」
※ECサイト・・・インターネット上で商品を販売するウェブサイト。
※フェアトレード・・・立場の弱い開発途上国の生産者に対して、平均的な国際価格やそれ以上の値段で取引をすること。

共助社会づくり課
 「製品の販売に加えどのように活動資金を調達しているのですか。」

秋本さん
 「昨年度は川口市市民活動助成を受け、イベントを開催しました。今後は助成金だけに頼るのではなく、モノを作って、売り、自ら活動資金を調達することで団体を運営していきたいと考えています。先程のコーヒーやチョコレートはWSPの看板となる製品にしていきたいです。
 各種の団体が運営するイベントなどには積極的に参加をして売り込んでいきたいと考えています。
 その他に、クラウドファンディングも検討しています。具体的な事業については未定ですが、みなさんの興味をそそるようなことができたらと思います。」

デコレーションされたチョコレート 第1回フェアトレードフェスタの入口

デコレーションされたチョコレート  第1回フェアトレードフェスタの入口

共助社会づくり課
 「昨年の12月に川口市市民ホールで第1回フェアトレードフェスタを開催したと伺いました。そのイベントについて教えてください。」

秋本さん
 「第1回フェアトレードフェスタ川口は川口市市民活動助成で採択され開催したものです。来場者は1000人弱、20の団体・企業が出店しました。
 川口にはフェアトレードラベル商品を扱っているNPOはありますが、フェアトレードをテーマにしたイベントはありませんでした。
 当イベントでは『デコレーションチョコづくり』や『お絵かきドリップ・パックコーヒー』などの子どもが楽しめるものから、フェアトレードの見本品の展示やフェアトレードの仕組みのパネル展示といった本格的なものまで多くの方に満足していただける内容となりました。」

共助社会づくり課
 「第1回フェアトレードフェスタにも企業の方がブース出展されたと伺ったのですが、どのように企業との連携を進めていったのですか。」

秋本さん
 「企業の担当者の方にアポイントを取って、面談をして、自分たちの団体をアピールする。自分たちのメリットではなく、企業の方に興味を持ってもらえるようなアピールを心がけています。
 近頃はSDGs*に関心のある企業が増えてきています。NPOの取り組んでいる活動はSDGsの17のゴールのいずれかに当てはまります。
 例えばフェアトレードだと『1.貧困をなくそう』に当てはまります。というのも開発途上国では児童労働が行われている場合が多く、その子供たち学校に通うことができていないことが多いからです。また、『4.質の高い教育をみんなに』など多くの分野に当てはまります。
 NPOが企業に提案する際には、SDGsを意識しながら取り組むことが大切ではないかと考えます。」
※SDGs・・「誰一人取り残さない」持続可能な社会を実現するために、国連が平成27年9月に採択した17の国際目標。

第1回フェアトレードフェスタの展示の様子

第1回フェアトレードフェスタの展示の様子

共助社会づくり課
 「来年のフェアトレードフェスタの構想について教えてください。」

 

秋本さん
 「来年度は、『フェアトレードからSDGsへ・・・』という内容にしていこうと検討しているところです。近頃はフェアトレードという名称ではなく、エシカル消費が定着しつつある様です。エシカル商品とは『倫理的な製品』という意味で人や社会、地球環境に配慮した製品とのことです。
 前回は、物販・展示的な要素が強かったのですが、フェアトレードを含めたSDGsを推進出来る様なイベントが出来たらいいなと思っています。」

共助社会づくり課
 「最後に将来の展望について教えてください。」

秋本さん
 「当法人と他団体がつながっていけるような市民活動をしていきたいです。
 当法人だけで解決するのではなく、つながって大きなパワーを発揮して、より困難な問題に立ち向かいたいと考えています。
 最終的には日本と発展途上国の間を取り持つような団体になれたらと思います。」

活動レポート

  • NPOデータベース
  • NPO法人ただいま縦覧中
  • NPO法人 届出・申請
  • facebook