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特定非営利活動法人 小川町創り文化プロジェクト(愛称:まちぶん)

"五感でオーガニックを感じる一日"、9月に開催された小川町オーガニックフェス2017の盛り上がりは記憶に新しいところです。歴史のみち景観モデル地区への選定や有機の里小川ワイン特区の認定など、最近、和紙のふるさと小川町の元気なニュースが目を引きます。
 今回は平成29年度NPO活動サポート事業(一財)さいたま住宅検査センター住まいるまちづくり支援事業で採択され「小川町・お宝さがし事業-失われつつある地域遺産の保存活用のために-」を実施している特定非営利活動法人小川町創り文化プロジェクト(愛称:まちぶん)の代表理事田中克彦さんと理事の平山雅士さん、友子さんご夫妻にお話を伺いました。

経営するコミュニティスペースの前に立ち微笑む3人の写真

左から代表理事の田中さん、平山友子さん、平山雅士さん コミュニティスペースたまりんどの前で

  • 共助社会づくり課
    「活動のきっかけについて聞かせてください。」
  • まちぶん 田中さん
    「もともと小川町の歴史や街並みを大切にして次の世代に受け渡したいと考えてはいましたが、直接のきっかけは、所有していた長屋を平山ご夫妻が借りにきたという出会いによって背中を押されたことです。
     小川町は交通の要衝として栄えた町で、比企地域の商業の中心地でした。近年、建物の取り壊しや、お祭りの屋台を組み立てられなくなる不安などもあり、手を打たなければならないという危惧がありました。」
  • まちぶん 平山友子さん
    「私たちは都内から寄居町に移住してきました。当初は小川町が素敵な街だなと思ってはいましたが、特に保存活動などを考えてはいませんでした。田中さんが大家さんであるこの長屋がイメージにぴったりで、2年前の6月にコミュニティスペースとカフェを兼ねた「たまりんど」を開き、少しずつ歴史的建造物の再生などに向けて、町の人を集めて勉強会を始めました。
     その後、こういった活動をするには、何か団体が必要だと考え、NPO法人を設立することにしました。」
  • まちぶん 平山雅士さん
    「妻(友子さん)は建築ライターをやっていて、古民家をリノベーションした方々の取材をしていましたし、私も塾の講師をやっていて、古いものに興味がありました。また、美術館の専門職だった方や里山保全活動をしている方など、風景や自然に興味のある方々も周りに集まっているという素地があって、幅広く専門的な見識を持つメンバーが繋がり団体を結成することができました。」

  • 共助社会づくり課
    「小川町の魅力はどんなところだと感じていますか」
  • まちぶん 雅士さん
    「小川町は女性らしさがあふれる街、かわいらしさがあるという印象です。」
  • まちぶん 友子さん
    「小川町の建物にA級のものはあまりなくB・C級が多く、生活感のある街並みだと感じます。もっと立派な街並は他所にもたくさんあるけれど、小川町は第一印象で何かがあると感じさせてくれる魅力を感じ取ることができます。
    これは水と道によるところが大きいと思います。水については、町なかを流れる槻川が和紙や絹織物の染色、醸造といった小川町の主要産業を育んできました。まさに母なる川です。この槻川にそそぐ小さな流れが、町のいたるところで見れらます。道については、大きな街道から小路が分岐し、さらに路地が縦横無尽に張り巡らされていることで町に奥行きを感じることができます。
    最近代表理事の田中さんと一緒に観光バスに乗ってみました。見慣れていても新鮮な驚きがあり改めてなんて素敵な街なのだろうと感じました。」

  • 共助社会づくり課
    「ご夫妻は寄居に移住され、小川町でコミュニティスペースを経営されています。移住者側からの印象はいかがですか。」
  • まちぶん 雅士さん
    「人慣れしている街だと感じます。商都だったゆえに溶け込みやすいといいますか、よそ者を受け入れる土壌があるのでしょう。昔からよその人を受け入れてきた街だと感じています。」

  • 共助社会づくり課
    「暮らしてみての実際の生活はどうでしょう。移住や二拠点住居を考えている人の参考になるようなことはありますか。」
  • まちぶん 雅士さん
    「移住して、例えば「食」、についていえば、ずっといい。有機栽培の野菜、顔のみえる生産者がつくる安全なものが安い値段で買えます。そして食の安全に興味のある方が集まっている。お酒でいえば、地酒、地ワイン、地ビールと個性豊かだし、お肉屋さんだって都内に負けないソーセージやベーコンの品ぞろえです。また、昼間は暑くても槻川のおかげで、夕方には涼しくなり暮らしやすい。
    便利さはなくてもほっとする街です。」
  • まちぶん 友子さん
    「生活はなんとかなります。家賃はそれほどかからないし、出ていくお金も少なくなりました。都内からたった1時間で環境が変わります。山林が迫る風景で空気がきれい。小川はちんまり、小さくて可愛く、何でも近い。山には手が届きそうで、その山は見上げるような大きな山ではなく身近で、圧迫感がありません。」

  • 共助社会づくり課
    「地元の人でもある田中さんはどう感じていますか」
  • まちぶん 田中さん
    「おもしろいな、とみていますよ。小川町の商人たちは継業せず、子供たちは帰ってきていないことで町は疲弊しています。継いでもらえず空き家になるけれど、お金に困っているわけではないから、誰かに貸してまでとはなかなかいかずに町は荒れていきます。小売業をしても食べていけない。同じように、伝統の和紙も商売の継続は難しいです。マンションでは和室がなく障子もふすまもない。紙の消費はなくなり、技術があるだけでは食べていくのは困難です。」
  • まちぶん 友子さん
    「ニッチなところだからこそ、継承者がいないから新しく入る余地というのもあるのではないでしょうか。観光と結びつけたりしてやっていくことで収益をあげることができる例もあるので、そういった発想の転換をしなければなりません。そこが難しい。」

七夕飾りをしたたまりんど 人でにぎわう画像

  • 共助社会づくり課
    「街のにぎわいづくりにはどのようなことが必要でしょうか」
  • まちぶん 田中さん
    「もともと小川町は町内で全てが足りる、生活できるシステムがある本来の街でした。これが基本的な街の条件ですが、いろいろなところでこれが崩壊しています。」
  • まちぶん 友子さん
    「今、特に都内は運ばれてくるものを消費するだけの街になりつつありますね。でも、これまでの価値観から異なる価値観へと見直される最中です。小川町でも有機農業や竹細工といった仕事に携わる若い人たちがよそから来て、増えてきています。職人たちが集まると街はおもしろいです。」
  • まちぶん 雅士さん
    「駅前もシャッター通りのようなところもあります。店は閉じているけれど奥には人が住んでいる。空いているところを少しずつ活用できるような、そんなバトンタッチの手助けができるようにしたいと思います。
     加えて、小川町にも、都内に通勤する人達が住むニュータウンもあります。街中へ歩ける距離に住みながら、どんな建物や価値があるか知らない人も多くそこに断絶があります。関係性の希薄さ。これはきっかけがなかっただけということもあります。」
  • まちぶん 友子さん
    「つい街に人を呼ぶとなると都内に目を向けがちですが、そういった方たちを対象にすることも必要ですね。」
  • まちぶん 田中さん
    「特に男性は定年してからそういう意識が出てきますね。街づくりや活性化というと、新しいビルを建てたらどうかなどと再開発の話が中心になりますが、考え方が変わってきています。古いものを保存してどう活用するかに関心を寄せていってほしいと思っています。」

  • 共助社会づくり課
    「助成事業のワークショップはいかがでしたか。
    町のお宝を探し地図づくりをするということですが、どんなお宝をみつけましたか。」
  • まちぶん 雅士さん
    「お宝はそれぞれの人によって異なり、何気ないもの、生活感のある水道ポンプや苔など様々でした。まちの歴史を知っている人がいてくれてこそ、一人ではなかなか行くことのない路地など初めて見た景色に興味が深まると思います。田中さんのような地元の名士がいることでよそ者がお隣とうまく活動できるのはありがたいことです。」
  • まちぶん 友子さん
    「小川高校の放送部が大会にエントリーするドキュメンタリー作品の取材対象に選んでくれたおかげで、生徒たちは楽しんでいきいきとワークショップをやってくれたし、まわりのおじさんたちも元気がでました。結果的に多世代交流にも一役買うことができました。
     ワークショップには地元の人にも入っていってほしいです。ワークショップに出た人は100パーセント喜んでくれていますので、地元の人も面白さを発見してくれるといいなと思っています。1人、2人と参加する方が増えれば、加速度がついていくのではないでしょうか。」

  • 共助社会づくり課
    「今後のワークショップはお宝を保存する仕組みづくりということですね。どのような展開をお考えですか。」
  • まちぶん 友子さん
    「ケーススタディを4つ考えています。1つ目はカフェ、2つ目はレストラン、3つ目は古い旅館、4つ目は町の施設です。参加者に活用のアイデア出しをしてもらおうと考えています。カフェとレストランはもう開店することが決まっている建物ですが、旅館は全く決まっていません。そして、4つ目の町の施設については、町を挙げて何とか保存・活用していきたいと考えているものです。」

  • 共助社会づくり課
    「お話しにあった町の施設はどんなものですか。」
  • まちぶん 田中さん
    「小川町和紙体験学習センターといって昭和11年(1936年)に和紙の研究施設として埼玉県が建設した建造物です。 平成11年に埼玉県より小川町に移管され、 現在では手漉き体験ができる他、和紙で作成された多様な展示物を見学することができる施設です。原料の仕込みから紙漉きに至るすべての和紙作りの工程を体験できます。この施設をより多くの人に訪れてもらえるようにし、町の活性化につなげたいと考えています。
    小川町はまだ情報発信が圧倒的に足りないのではないでしょうか。和紙であれば買えるところが分からないし、町まで来てみないと分からないこともたくさんあります。和紙を使って商売できるように考えたいし、すんなりとはいかないけれども、もっともっとやりようがあるのではないか、と考えるようになってくるといいですね。」

小川町和紙体験学習センター

小川町和紙体験学習センターの入り口で立つ田中さん、平山さん                        
小川町和紙体験学習センターの前に立つ田中さん、平山雅士さんの画像
レトロな雰囲気が素敵な建物。
旧埼玉県製紙工業試験場の機材を引き継ぎ充実した設備。

まちもり広場

まちもり広場の入り口にあるまちぶんの看板の画像

「まちもり広場」は空き地を活用して広場にするプロジェクト。
施工は市民のワークショップでみんなで作り、育てます。
立ち入り自由な集いの場です。
"まちを盛り上げる広場、まちを守る広場、まちともりを結ぶ広場"

  • 共助社会づくり課「小川町が最近元気な理由は何ですか。それぞれが影響を与え合っているからでしょうか。」
  • まちぶん 雅士さん
    「それぞれのプレーヤーが緩やかに、けれどもそれぞれ刺激を受けている。集まってきているのでしょうね。空き家にしても、貸す人、借りる人の両者が幸せになれるように。また、カフェやギャラリー以外にできることも考えたいです。和紙も売り方次第で変わるはずなので、作り手とのマッチングが必要になってくるし、小川町のそこでなければ出せない味を作るなど、まだまだ考える余地はいろいろありますね。」

  • 共助社会づくり課
    「法人活動で苦労している点は何ですか」
  • まちぶん 田中さん
    「資金の調達です。現在は県と町の補助金がありますが、補助金をとるのも大変ですが税金泥棒などと言われないために、市民にも還元しているという実感をもってもらわなければならないとも感じています。」

  • 共助社会づくり課
    「今後の予定や活動の目標をお聞かせください。」
  • まちぶん 友子さん
    「全国街並み保存連盟の関東ブロック大会を小川町で開催したいとのお話がありました。来年は法人の総力をあげて取り組みたいです。ちょうどいいタイミングだと思います。
    また、現在、行政との関係も深まっていい連携ができてきています。もっと官民連携の成功例を増やしていきたいです。」

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